さて、人間様とインコとのつきあいは、ほしいという物を買ってくれたためしのない両親が、10歳の誕生日に例によって欲しがっていた手乗り文鳥ではなく、セキセイインコを買ってきたことにさかのぼる。
なぜ、娘が欲しいというものを素直に買ってこないのか謎なのだが、恐らく両親の頭の中では「娘はこれが欲しいと言っているけど、こっちのほうが自分たち的には良さそうな気がする。うんそうだ、本人が欲しがるものよりお父さんとお母さんがいいと思う物を買ってあげたほうが、娘も喜ぶに違いない!」という訳の分からん脳内変換が行われているのだろう。期待していた物がもらえないばかりか、常に微妙に欲しくない物が来るのを喜んでみせねばならない娘のほうこそ大変だったが、まあ昔の思い出なのでそれはおいておく。
そんな訳で、インコどもとは結構長いつきあいだし、それなりに生態なども分かっている人間様だが、ひとつだけ、いまだに良く分からない奴らの行動がある。
それは「寝ぐず」。
うとうとしている時や、気合いを入れて背中に頭をつっこんで「さあ寝るぞ!」となった時に、ごじょごじょ、ぴちぴちつぶやき始めるあれである。熟睡すると止まるので、どうやら寝入りばな限定の行動らしい。もちろん寝言でもないし、聞いていると、鳴いているのではなく、人間様や他のインコの声を真似したいわゆる「おしゃべり」である。これを延々ブツブツ続けている。
しかも、全員がやるのかといえばそうでもなく、たとえば、歴代の鳥どもの中では、やっているのはぎっくちゃんだけである。セキセイインコは比較的寝ぐず率が高いようだが、これもまたやるのとやらないのがいたりする。やらない奴がいるということは、必ずしも生活に必要な行動という訳でもないのだろう。
まあ見てるとかわいいからいいのだが、この行動の意味だけは、ずいぶんとインコを見てきた今も分からないでいる。
誰か教えて。