気付いてくれなくて

 ヒューストンのカゴの扉を開けたままほったらかしにして本を読んでいたら、とさっ、と小さな音が聞こえた。
 顔を上げると、ヒューストンの姿がカゴの中にも外にもない。
 どこへ行ったんだろうと思ってしばらく考えていたら、やがてカゴの後ろからヒューストンがとことこと歩いて出てくると、すました顔で開いたままだった扉をよじのぼり、カゴの中に戻っていった。
 またカーテンにぶら下がって注意を引こうとしたら、気付いてもらえなくて力尽きたのか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)