咳払い

 ヒューストンは移動中大変大人しいので、電車に乗る時や店に入る時にとても楽である。
 かのベルカは狭いケージの中をひっきりなしにカタコトカタコト右往左往しっぱなし、外出好きのセキセイインコのぽちに到っては、ご機嫌で延々さえずり続けてまわりの人に不審がられる程だったのだが、ヒューストンはケージに入る時こそ嫌がるものの、目隠しの手提げにおさまって一旦外に連れ出されてしまうと、あとは静かに居眠りしたり、羽づくろいをしたりして過ごしている(らしい)。
 そんなヒューストンが唯一反応するのは人間様の咳払い。咳払いをすると、手提げの中から一声、大声で返事を返してくる。
 しかもこれが、周囲がどんなに騒がしくても100%聞き分けるという精度の良さである。
 でも、咳払い以外の人間様の声は、周囲がどんなに静かでも完全無視する。
 一体どこに返事の基準があるんだか。
 というか、なんでそういう時だけ返事をするんだ。

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