あまり手に乗りたがらないぎっくちゃんは、コントロールがしづらい。
コントロールといっても人間様の言うなりにさせるのではなく、行ってほしくない場所に行ってしまった時、今いる場所からちょっとどいてほしい時などに、手に乗せて移動できないのが困るのである。
これがベルカやブロッサム、通称ちびころなら、人間様の手は翼に代わる移動手段だと思ってるから(そう思われるのもそれはそれで哀しい)、簡単に別の場所に持っていくことができる。が、ぎっくちゃんの場合は、手を出しても「イヤ」とばかりに顔をそむけて拒否したり、知らんぷりしたりするのだ。まあ、いきなり噛みに走るヒューストンよりは遙かにマシとは言えるが、いずれにしろこちらが困ることには変わりない。
そこで、手に乗せるための「おやくそく」をぎっくちゃんとの間に作ることにした。
ぎっくちゃんは外で遊ぶのも好きだがカゴに戻るのも好きである。なので「人間様が止まり木を叩いてから手を出す時には、必ずカゴの中に入れてくれる」と教えるのである。方法は簡単。ぎっくちゃんがカゴの上にいる時に、止まり木を指先で軽く叩いて前に手を出す、乗ってきたら必ずカゴに入れる、これだけである。
で、ぎっくちゃんだが、最初の何度かをやや無理矢理気味に手に乗せて戻したところ、すぐにこの法則を理解したらしい。じきに、止まり木を指先でコンコンと叩いてから手を出すといそいそと乗ってくるようになった。そして今では、離れた床の上などにいても、わたしがぎっくちゃんのカゴの所で止まり木を叩くと飛んで来る。そして嬉しげに手に乗ってカゴの中に戻されている。
……もっとも、それ以外では相変わらずの態度なので、このおやくそくも実は役に立っているとは言いにくい。