新高山に登った日

 どうも終戦の日に比べて存在感が薄いが、今日は真珠湾の日だった。
 少し前に、旧海軍将校の奥さんから手紙を頂いた。読んでいて思ったのが、そういえば日本には、あの戦争を実際に体験し、それを生の記憶として持ち続けている人がまだまだいる。だがその事実を、我々は忘れがちになっているなあということ。
 硫黄島にしても、我々はスクリーンの中の作られた映像としてしか知らないあのとんでもねー戦闘を、まぎれもない現実として見聞きした、というより、その真っ只中に身を置いてきた人がいまだにいる。それを思い起こすと、何というか、何とも言いようのない気分になる。
 この将校も、ご本人は数年前に亡くなっているが、真珠湾から始まって、戦争の間、各地の海を駆け回り、アメリカと死闘を繰り返してきた人である。そして奥さんも、そんな夫を何度となく送り出し、出迎え、自らも空襲で家を焼かれて逃げまどい、戦後は軍人蔑視と困窮の中で家族を支えてここまで来たのだった。
 我々がもはや記録としてしか知り得ない戦争を、今でも自身の記憶として持ち続けているこういう人たちのことは、やはり忘れてはいけないと思う。

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