外出用ケージ=病院と分かっているヒューストンは、ケージが大嫌いである。
ちょっとでも人間様が手に触れようものなら落ち着きをなくしてカゴのすみっこに逃げ込んでしまう。当然、病院に行く時も入れるまでが大騒ぎで、人間様が流血せずに移動完了すれば運がいいぐらいである。
ところが、病院でカラーの交換が終わり、診察室へ人間様が呼ばれていったら(この病院では、治療の時は人間様は外で待つことになっている)、新しいカラーをつけたヒューストンが、自分からいそいそとケージの中に入っていくのが見えた。
あれほど嫌いなケージに自分から入るなんて、と思って先生に聞いてみると、先生曰く。
「ああ、時々こうやって自分から戻っていってますよ」
……ふーん。