お前さえなければ

 最近、ようやくハシゴが動かない原因がこの針金にあるのに気付いたらしく、暇さえあればほどこうとかじっている。
 止めてからすでに半年以上がたっているのだが、まあ、全く気付かないよりはましか。

 はずすにはねじってある部分をほどけばいいというのは一応分かっているらしく、外に出るとわざわざ降りていってかじり始める。

 何を見ている。
 ま、ほどいてもまた固定しちゃうんだけどね。

足の向き

 超内股でがっちり金網をホールド。
 こうなると、つかんで離そうとしても、ちっとやそっとの力ではむしり取れない。

 でもさすがにちょっと苦しいらしく、時々足の向きをこっそり変えている。
 外股もやればいいと思うのだが、なぜかそれは絶対やらない。

吠える鳥


 ……ぎっくちゃん。
 人間様はかわいいお前を撮りたいの。
 そんなトリケラトプスが吠えてるみたいな顔じゃなくて、狐に寄り添ってうっとりしている顔が撮りたいの。
 なんでシャッターのタイミングにあわせてわざわざアクビをするのかね。

やればできる子

 ぎっくちゃんは、掃除機の音を聞くと水浴びがしたくなっている。
 ご先祖様が南米出身だけあって、スコールの音にでも聞こえるのだろうか?
 いつもなら催促があるとすぐ霧吹きをしてやるのだが、面倒臭いので掃除が終わるまで放っておこうと無視したところ、待ちきれなくなって自分でやってみることにしたらしい。

 感心なことに、霧吹きと同じことが水入れでもできるとちゃんと認識している。
 ……いや、ブロッサム、通称ちびころはどうも認識していないらしいので。
 でも結局、じたばたもがくだけで全然濡れないので、見かねていつものとおり掃除を中断して霧吹きしてやった。

1日1怒

 1日に1回、必ず突然怒り出すぎっくちゃん。
 しかもその怒りかたたるや尋常ではない。「ぎゅーう、ぎゅーう!」といううなり声と共にオモチャを激しくどつきまわし、そのオモチャが反動で自分の身体に当たるとまたそれに腹を立ててどつきまわし、しまいには自分でもなんで怒っているのか分からなくなるという、怒りの無限ループ状態に陥っている。
 まあ見ている分には大変面白いのだが、一体毎日毎日何をそんなに怒ることがあるのかと思っていたら、どうやら、オモチャに頭をこすりつけている時、筆毛に当たって痛かったということらしい。
 変な奴。

真夜中は別の物

 カゴの中で居眠りする時、いつも壁によりかかっているぎっくちゃん。
 夜もそうやって眠っているのかふと確かめたくなった人間様は、おやすみカバーをかけた後で、上からそっと、止まり木のあたりに指を当ててみた。
 ぎっくちゃんが寄りかかっていれば、こうやって触ればそれなりの感触や反応があると踏んだのだが、果たして、カゴの中から聞こえてきたのはどう考えてもぎっくちゃんのものではない、猫か何かと思われる「ぎゃうっ!」という一声の悲鳴。
 ……?!

素の風景

 面白いことに、カゴの中と外では、カメラを向けられた時の鳥どもの反応は全く違う。
 カゴの外では平気なぎっくちゃんだが、中にいる時にカメラを向けると、なぜか常にこんな顔。

 背後からオーラが立ちのぼりそうな、全身全霊のカメラ目線。
 そこで、ナチュラルな姿を撮りたいときに登場するのが、観艦式でも活躍したSP-510UZの10倍ズーム。
 他のコンパクトカメラより遠くから構えられるので、インコどもに気付かれにくい。

 気付いてない。

 全く気付いてない。
 問題は、被写体ではなくカゴのほうになぜかピントがあってしまうことか。

ぎっくのテイスティング

 マグカップを使うとすぐぎっくちゃんが来てしまうので、別の器でお茶を飲んでみた。

 でもやっぱり寄ってくる。
 しかも今回は寄ってくるどころか、いつもよりカップの背が低いのを見たぎっくちゃん、あっという間にお味見とばかりにいれたてのお茶の中へくちばしをちゃぽん。

「……熱い!」
 そりゃ熱いよ。