羽の下

 羽づくろい中。

 インコに限らず、鳥の翼の下はなんだかのっぺりして妙な印象なのだが、ぎっくちゃんの場合、ウロコ模様がさらにプラスされて、なんだか気持ちが悪い。

「すっきり」
 すっきりはいいが、下に散ってるフケを掃除するのは人間様なんだからな。

呪いの踊り

 また何かに憑かれたらしく、突然飛び跳ねながら「ケロケケピヨロ、ピヨケケロケロ」と変な声でわめきだしたぎっくちゃん。
 ひとしきり大騒ぎした後、固まることしばし……。

 …………。

 …………おーい。

 下のカゴのブロッサム、通称ちびころもびっくり……はしてない模様。
 「?」
 隣の水槽で魚がひらひらするのがいきなり恐くなったかと思ったが、どうやら違ったらしい。
 多分、呪いの踊りでも踊っていたのだろう。

どうしたらいい?

 左がペット用消毒液噴霧ボトル、右がぎっくちゃんの水浴び(兼アイロンがけ)用霧吹き。

 どうやらぎっくちゃんは、似たような形のこのふたつの容器をちゃんと見分けているらしい。
 消毒液のほうを人間様が持つと、ぴよっぷよっと派手に威嚇の声を上げながら攻撃体勢に入る。一方で、霧吹きを持っているのを見ると、何も言わないのにいそいそとカゴの壁に貼り付いて水浴びポーズで待っている。
 で、試しに、最初消毒液を持ってみせ、威嚇に入ったところで霧吹きに持ち替えると、どうしていいのか分からなくなるらしく、止まり木の上で硬直している。

私はここよ

 昼間にベランダの窓を網戸にしていたら、外で野良猫がニャーニャー鳴き出した。
 このあたりの野良猫は、近所にエサをやっている人がいるせいでなかなかずうずうしく、油断するといつの間にか網戸に鼻をおっつけて、部屋の中のインコどもを眺めていたりする。
 なので来たら即撃退だなと思って用心していたところ、その猫の鳴き声に必死で「ぴよ!」「ぴよ!」返事をし始めたのは誰あろうぎっくちゃん。
 ……お前って奴は……。
 …………
 ところで、猫の身体に忌避剤がかかると、その猫はどうなるのかがちょっと気になる今日この頃。

愛は懲りない


 今日も今日とて、ぎっくちゃんは愛の告白にやってくる。
 いい加減うっとおしいんですが。

 で、離れてもらおうと指ではじいたら、ちょっと力を入れすぎたようですっ飛んでしまった。

 さすがにこれにはびっくりしたらしく、様子をうかがうぎっくちゃん。
「…………」

「でも好き」
 ……そうかい。

朝のあいさつ

 朝、カゴカバーを取るとき、人間様は必ず前もってインコどもに一声かけることにしている。
 無言でいきなり取ると必ずびっくりして暴れる奴が出るので、それ防止のためなのだが、この時必ず嬉しそうに「ぎっくー」と返事をするのがぎっくちゃん。
 でもカバーを取ると、びくびくしながら低くなって警戒体勢を取っている。
 お前には学習能力がないのか。