インコですから

 水槽の掃除をしていたら、何やら一生懸命ぎっくちゃんが呼んでいる声がする。
 何をかまってほしいのかとそばへ行ってみたら、ぎっくちゃんはただきょとんとして人間様を見上げている。
 そして、ぎっくちゃんの声はヒューストンのカゴの中から聞こえてくる。
 ……またしてもやられた……。

紙と猫

 実家の猫は、普段テーブルの上に乗ってはいけないとしつけられている。
 ただ、テーブルの上に新聞紙なり何なりを敷いたその上なら、乗ってもいいとされている。
 なので猫は、テーブルの上に乗りたくなると、紙を敷いてくれと催促するようになった。

 ……完全に本末転倒のような気がするんですが。

一計を案じる

 どうも警戒して「森のおうち」に入ってくれないぎっくちゃん。
 結構高かったので人間様としてはぜひ使ってもらいたい。
 そこで、ぎっくちゃん愛用のキーボードカバーを上にかけて誘ってみた。

 だまされてる、だまされてる……。

 でも何かが変だとは思うらしく、後ろに回ってみたりしている。

ひゃっほう

 こんな時間に書いてる人間様もいいかげんひゃっほうですが。
 まあいいか、休みだし。
 電源コードからぶらさがってご機嫌のぎっくちゃん。

 サザナミインコという種類は、どうやら足の力が強いらしい。
 見た感じも身体に比べて大きくてがっしりしているし、指にとまるにしても、ブロッサム、通称ちびころが割と乗っかるような感じなのに対し、ぎくちゃんはしっかりとつかんでいかにも「握ってます」という感じ。
 だからこんなさかさ降りなんて芸当ができるのだろう。

ヒューちゃんの羽づくろい

 そういえば「そろそろ家でもカラーをはずして羽づくろいさせてあげてください」と病院で言われていたのだった。
 よし、それじゃいっちょ始めるとするか。
【準備するもの】
ニッパー
ホチキス(普通のホチキスより針のサイズが大きいもの)
捕獲用布(巾着袋でも可)
絆創膏(人間様が噛まれて流血した時のため)
【手順】
1.カゴの中を逃げ回るヒューストンを布をかぶせて捕獲。そのままカゴから引きずり出す。
2.布でおくるみ状態にした後、カラーを留めてあるホチキスをニッパーで切断。
 この時、何かされると思ったらしいヒューストンがとんでもない悲鳴をあげるが、とりあえず無視。
3.じたばたするヒューストンを押さえながら、カラーを両手でひねるようにしてはずす。
 2本しかない手でインコを押さえながらカラーをはずすのにはなかなか高度な技術がいることが判明。手がもう1本ほしい所だが、こればかりはどうにもならないのでとりあえずがんばる。
4.続いて緩衝材がわりに巻いてあるフェルトのホチキスをニッパーで切断。
 これもはず……そうとしたところでとうとうヒューストンに逃げられる。逃げ出したヒューストンは一目散にカゴの中へ。
5.ヒューストンが自力でフェルトを脱いで床に落としたので、フンをされる前に素早く回収。
6.しばらく呆然としていたヒューストン、やがてものすごい勢いで羽づくろい開始。

 たまーにどさくさにまぎれて鞘に入った羽を抜いているようだが、とりあえず今日は見逃してやる。
8.1時間ほどカゴの前でゴロゴロしながら様子を見守る。
 なんだかもうめんどくさいからこのままでいいやという気もしてくるが、そうもいかないので再装着の準備開始。
9.再び逃げまどうヒューストンを捕獲。おくるみ状態にしてカゴの外へ引きずり出す。
10.くちばしの攻撃をかわしつつ、再び両手でカラーをひねるようにして首につける。
 カラーのないヒューストンは意外と保持しにくいことが判明。ひっかかりがないのですぐつるりと逃げ出してしまう。
 でもトロいのですぐに再捕獲。
11.ホチキスに噛みついてくるのをかわしつつ、カラーを固定。勢い余って変なところにホチキスしてしまうが、気にしないことにする。
12.カラーの後ろにフェルトを回してこれもホチキスで留める。
 そろそろ疲れてきたのか、ヒューストンが抵抗しなくなってくる。
13.カゴの中へ放逐。ご機嫌取りにヒマワリの種をやる。
14.完了。
 ……大騒動でございます。

森のおうち

 もぐるのが好きなぎっくちゃんに、オモチャを買ってあげることにした。
 その名も『森のおうち』。

 何だか自衛隊のテントのような外観。意味もなくごてごてとくっついている葉っぱや花のアップリケ(?)が涙ぐましい。
 気に入ってくれるかな?

「…………」
 どうやら警戒しているらしい。

ぼんやりぎっく

 何やら人間様には想像もつかない深遠な思索にふけっているらしいぎっくちゃん。
 いつまでたっても身じろぎひとつしないので、同じ写真しか撮れない。

 考えている。

 考えている。

 まだ考えている。
 次に生まれてくるとしたらインコか猫がいい。
 もっとも、インコは毛引きになったり何だりとインコなりに悩みがあるようだから、やっぱり猫だろうか。
 実家の猫を見ているとつくづくそう思う。
 まあ、生まれ変わるにはまず死ぬのが必須な訳ですが。