おまけ・ゴーレム小隊の人々はその後……



「そうだな、また宅配の商売を始めようと思っているよ。幸い軍人さんたちともいろいろコネができたし、そっちのほうからやっていけば軌道に乗りそうな感触もあるから……その時には司令もごひいきにしてもらえると、ありがたいね。安くしておくよ」
 ユースト・ロディーギンは、妻の肩を抱きながらそう言って笑った。




「もし生きていたら……マリアナとずっと一緒にやっていきたいと思う。もっとも正直な所、あのマルグリスが義兄になると思うと少し気が重いんだが。
 ああ、多分、傭兵は廃業だな。アイスマンという名前ともお別れだ。随分長く使った名だったが……」
 そう言うと、アイスマン……アルベルト・ルイスは照れ臭いようなさびしいような、ほんの少し複雑な顔をした。




「実はあたし、アレンスールと結婚することにしたんだ。そんでとりあえずあいつの実家に顔を出して挨拶して……あとはまだ決めてないんだけど、まあ、適当にやるよ。
 知ってる? あいつのお袋さん、イスタンブールで執政官やってるんだって。それの息子がああだってんだからねえ。世の中うまくいってるんだか、いかないんだか」
 ポーリーン・マエダは実に楽しそうに笑った。




「アルソフィア学術院へ入って魔法科学を学ぼうと思っています。幸い、ポーリーンがイスタンブールへ行くそうですし、同行させてもらうつもりです」
 マルーファ・アルボルノスは相変わらず硬い表情でそう答えた。




「家族を呼んでここに入植するつもりだ。ヴェネチアにとどまるより、こちらの土地のほうが将来性がありそうなんでね。なにしろ能さえあれば、傭兵が副将軍に出世するくらいだ。わたしも……ああすまんな。悪意はなかったんだが」
 ハンサムな顔に野心を漂わせて、ジョン・ダナオスは言った。




「妹に子供が生まれたんで、とりあえず見に戻ろうと思ってるよ。その後? まあ、また適当に傭兵をやるさ。多分あんたをあてにすれば職にはあぶれないだろうし。そん時はよろしく頼むぜ」
 そう言ってグラーフ・シュペー……カール・トリトハイムはにっと笑った。




「一旦ペテルブルクに戻らせてもらいたいんですが……いやいや、あそこで暮らしたいというんではなくて、残してきた研究資料がやはりどうしても気になるんです。なにしろ大戦前の技術に関する貴重な資料ですから。
 もちろん戻ってきますよ。どうもあの魔王というのは性にあいませんし、実は……わたしの夢は高名なレジンスキー将軍と遺失文明について論じるというものでしてね」
 パトリケイ・スヴァロフは、おっとりとやや恥かしげに微笑んだ。




「俺、イングランド軍に入ろうと思ってるんです。マデリーンT世とイングランドのために誇りある騎士になりたいんです。
 ここではほんとにいい経験をさせてもらいました。ありがとうございます司令!」
 ハサン・ハトゥシリシュは元気良く敬礼した。




「ポーリーンを連れて、一旦イスタンブールに帰りますよ。とりあえず母や姉兄に彼女を紹介しなくてはなりませんから……その後? さあ、どうするかはまだ決めていませんが、あのポーリーンがウィノ家夫人に満足できるとは思えないのでね。まあ、彼女の自由にさせるつもりですよ」
 いつもどおりの慇懃無礼な表情で、アレンスール・ウィノはうなずいた。




イスリーン・ハヤム……ウマニ砦防衛戦において戦死。




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