世の中にはNPCアタッカーと呼ばれる人々がいる。
NPCアタッカーというのは、同じ場所にいるNPCと何らかの良好な関係(ほとんどが恋愛関係だが、たまに友情ということもある)を築くことを目指してゲームをする人のことである。かくいうわたしも常習者のひとりで、最近ではわざわざいいNPCのいるシナリオを選んでPCを入れたりしている。 そういった活動(?)の中で得た、NPCアタックのための法則というか目安というかを講座にしたものである。「NPCアタックしたいんだけど、どうすればいいかわかんない〜」という初心者を主な対象に、ごくごく基本的な事柄をまとめてみたので、参考にしてもらえれば幸いである。 ![]() 分類……NPCアタック、ふたつの方法 NPCアタックには、今のところふたつの方法がある。 ![]() じっくり型 シナリオの全ターンをかけてじわじわとNPCへの気持ちをアピール、最終回で結果を出すというもの。割と“正統派”と見られているやりかたであり、大部分のアタッカーが選択するのはこの方法。 正統派だけにパターンもある程度確立されており、成功率は高い。また、「じわじわとアピール=けなげに純愛」というイメージが働くのか、マスターや他のプレイヤーからも好意的に受け止められることが多く、四方八方丸くおさまりやすいパターンでもある。 一方で、とにかく根気と忍耐、それに恥ずかしいラブラブアクションを延々書き連ねることに耐えぬく神経が必要。また、大抵通常の問題解決行動と平行して進めなくてはならないため、プレイヤーの負担も大きい。なにより、数人での争奪戦になった場合、皆同様の思いや行動に走りがちになり、結果リアクションは似たようなラブラブアピールのオンパレード、他のプレイヤーからうざったがられることもある。 実績先行型 とにかくいち早く実績(大抵はNPCと肉体関係を結ぶことを意味する)を作ってしまうことで、周囲にカップルであると認めさせるもの。どちらかといえば最近になって出てきたやりかたであり、競争者が多い時に時折見られる。 うまく当たれば一撃必殺でNPCはメロメロ、競争者は一気にあきらめモードと効果は絶大だが、どうもプレイヤーがあせるのか、シナリオ初期または中期の関係が固まりきっていない時に行われることが多い。必然的に、相当慎重な伏線をはってから行動を起こさないと、「なにを唐突に」とばかりにNPC(マスター)から拒否されたりして失敗する可能性も高くなる。さらに、大抵はPCのほうから迫る形になるので、他のプレイヤーの生理的嫌悪感を招いて下手をするとシナリオそのものにいづらくなることもある。 また、関係が成立しても、そこでもうOKと安心しその後のフォローをしないでいると、したたかにアピールを続けた“正統派”に最終回あたりでいきなりかっさらわれたりする。 ![]() NPCアタック実践のコツ 実際にアタックする時のポイントはここ。 ![]() 公然とそばにいられる地位を手に入れよう 副官、護衛役、直属の上司、親友……とにかく、公然とNPCのそばにいられる地位・役目を手に入れよう。「必要もないのにそばにいる」より「立場上そばにいる」ほうが他のプレイヤーに与える印象は良くなるし、リアクションでそのNPCとセットで描写されるようになると、不思議なことになんとなくカップリングが公認されてしまうものである。 ただし、この地位は「自称」ではダメ。あくまでマスターに公認されたものであることが必須。それと、地位に見合った活躍はちゃんとしよう。役にも立たないのにただ地位を利用してまとわりついているだけと見られると最悪。 最後まであきらめるない 意中のNPCの彼は、あのPCの女の子と仲が良さそう。リアクションでもなんとなくそんな感じだし、あたしはもう駄目なのね……そう思っても、最後まであきらめないこと。 マスターがカップリングの相手を決定するのは、大抵の場合最終回である。それまでは全員に対して八方美人にふるまうか、逆に全員に態度保留的な雰囲気を見せ続けることがほとんど。なので、一見「決まってそう」に描写されるPCも、案外なんでもない場合が多い。 逆に言えば、その時にどれだけあきらめないでいられるかが最後の結果を左右するとも言える。 肝心のアクションをないがしろにするな シナリオや他のPCの様子に見向きもせずひたすらNPC大好きよ〜☆とかやっていても、いい結果は出ない。常識的に考えれば分かると思うが、自分や周囲が問題を解決しようと一生懸命になっている中、一切それに関わろうとせずにただ好き好きこれプレゼントあなたを守ってあげるとまとわりついているだけの人に好意を持つことができるだろうか?(もっとも、マスターによっては「シナリオなんて関係ないけどあなただけ見てる」型のほうが効果的な場合も確かにある。どちらかといえば女性マスターのほうにそういう人が多いかもしれない) わたしの経験では、通常どおりのアクションをかけ、なおかつNPCに対してアプローチをするのは、よっぽど野暮か四角四面なマスターでもない限りダブルアクションとは見なされない。NPCラブとは別に、提示されている問題にはきちんと関わるようにしよう。 「くっついていないと症候群」に注意 競争相手が多いと、ついつい「離れたら他の人に取られるんじゃ……」という危機感を抱きがち。が、だからといって、とりあえず無難にそばいられるようなアクションばかりかけると、結局十把ひとからげでNPCにまとわりついているだけで終わってしまう。 もちろん、離れているよりくっついているほうがNPCの獲得率が高くなるのは確かだが、くっついて「いるだけ」なら、いてもいなくても同じもの。時折顔を合わせるあの人は、いつも本人の持ち味を活かして役に立ってくれている、しかも自分に好意を持ってくれているようだ……というPCのほうが、NPC的な好感度は高い場合もある。 同じマスターのところでなら、若干NPCから離れても「離れちゃいますけどこの人が好きだし役に立ちたいので」ときちんと主張をしておけば考慮してもらえる場合がほとんど。そばにいて埋もれるより、ちょっと離れて活躍して目に留まるというのも、ひとつの方法である。 まずNPCの気持ちを大切に 愛情や思いやりの押し売りは百害あって一利なし。NPCがPCに対してなにを求めているかをきちんと把握して動こう。イエスマン/イエスウーマンか、愚痴聞き相手か、参謀役か、同じ目標を持つ同志か、はたまた欲望のはけ口か……求めるものを勘違いしたアプローチは効果がないどころか、NPCから悪感情を持たれてしまうこともあるのだ。 愛は欲ではない PCの気持ちとプレイヤーの欲を混同するのもいただけない。 「PC的にはこういうことはできないんだけど、プレイヤー的にもうひとおししたい」ということはよくある。この時はPCの気持ちのほうに従おう。っていうか、ロールプレイングゲームの一種であるメイルゲームではそれが当然。 NPC“ゲット”に燃えるあまりPCをねじまげてアクション、NPCを得るのは、その時は「してやったり」という気分になれるかもしれない。が、大体の場合「ずるをした」というのはちゃんと見抜かれている(競争者には特に)。「この人はこういうことをするプレイヤーだ」と思われたら、後々のゲームにまで支障が出るかもしれない。 マスターの傾向を読もう まるで予備校の中間テスト対策みたい。 そのマスターがどういうアプローチを好むのか良く読もう。純愛系を優遇するマスター、救いのないドロドロな恋が好きなマスター……純愛が好きなマスターにドロドロしたアプローチをしかけても嫌がられるだろうし、ドロドロ系が好きなマスターに純愛をしかけてもお子ちゃま扱いされておしまいかもしれない。 中には、NPCとの恋愛一切できませんというタイプもいる。こういうマスターの所のNPCには、恋心など抱くだけ無駄なのでご注意。 はしゃぐのは程々に つまり、電車の中で人目もはばからずいちゃつくカップルを見ると、皆イライラするということ。 NPCとの関係が順調にいっていると、なんとなくうきうきして他の人たちにも「経過報告」したくなりがちだが、ありていに言えば、そんな報告を聞きたい人などいない。そもそも、NPCアタックなんて究極の「自分にしか意味のないアクション」であり、自分が思っているほど他の人は恋のなりゆきに興味を持ってくれているわけではない(その恋の行方が世界を左右するというなら別だけど)。個人的な恋愛ストームに他の人を巻き込むのは控えよう。何事も節度が大事。 こんな所だろうか。 ただし、当然、これを実践したから結果が保証されるというわけではないのでご注意。「書いてあるとおりにしたけどうまくいかなかった」と文句を言われても困るので、ご了承を。 それと、実際の恋愛には使用しないでください。 戻る |