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本編以外のバイファム作品

OVA1 カチュアからの便り

 1984年発売のバイファムOVAシリーズ第1弾。といっても本命は3本目の完全オリジナル『消えた12人』で、総集編である1と2はその前座。とはいっても、ただの“名場面の寄せ集め”にとどまらない、どちらかといえば、というか誰が見てもスタッフの悪ノリが炸裂した、いろんな意味で独特の味のある作品になっている。
 地球へ帰ってそれぞれの日々を過ごす11人のもとへ、カチュアからビデオメールが届いた。そこにはボギーが記録していた自分たちの旅の間の出来事が入っていて、じゃあみんなで見てみようという話に……。
 一応“その後の13人”という筋立てがあるが、このあたりは完全におふざけなので、本編とはなんの関係もなく見るのが妥当。だが、地球帰還後マスコミに祭り上げられ、ファンにストーキングされて神経衰弱になるスコット、それぞれのファンにやっかまれて引き裂かれるフレッドとペンチ、調子に乗って変な映画に出演してしまうシャロンなど、妙なところで説得力があるのがまあなんといいますか。
 この巻では1〜23話がフォローされている。
OVA2 集まった13人

『カチュアからの便り』の続き。主にククト星編がフォローされているが、「通訳の脳みそくるくる体操(注:もちろん本編ではこのシーンは体操ではありません、念のため)」、「しかばね老人クラブの田中さん」など、前作にも増して悪ノリ度がパワーアップしている。
OVA3 消えた12人

 1985年発売。ジェイナス内で13人に起こった「ある事件」を描いた完全オリジナル。中心になるスコットの感じからすると22〜27話間のいずれかの時期だと思われる。若干サスペンスの要素をからめたギャグタッチのドタバタ劇で、本編当時の「笑える部分は時折あるが、本質はあくまでもシリアス」という雰囲気と重ねるとかなりの違和感があるが、この時点ですでに本編が大団円を迎えて1年以上がたっており、今更重くてシリアスな話をやるのもちょっとというのもあるので、これはこれでありかも。
 内容としては、枯れ尾花騒動にアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』のパロディをからめたもの。全編に渡ってひたすら貧乏くじをひかされるスコットが気の毒といえば気の毒かもしれない……がクレアにチュしてもらったんだからいいか。
OVA4 ケイトの記憶、涙の奪回作戦!

 1985年発売。これも完全オリジナルで、しかも「その後の13人」が(今度こそまっとうに)描かれるというので、ファンの間での期待は高かった。
 2060年、休戦協定を結んだ地球とククトの平和記念式典に13人が招待された13人は、記憶を失ったケイトさんと彼女を助け保護していたミューラァに再会する。子供たちは式典を抜け出し、ケイトさんを連れて記憶を取り戻すための小旅行に出かけるが……というのがストーリーなのだが……。
「13人のその後」と言いつつ実際に「その後」が描かれていたのはケイトさんとミューラァだけというのもさることながら、設定、展開、すべての面において説得力がなく、当時の時点で見ていてすでに興ざめだった。特に、ケイトさんの記憶を取り戻すために両政府主催の式典をすっぽかすという(さらに、心配して追ってきた大人たちを問答無用で追い散らすという)子供たちの姿は、どう見ても「かつての恩人のために一生懸命」を越えた「単なる自分勝手」にしか見えず、ちょっぴり悲しい気持ちになったりする。変わったのは周囲の状況であり、13人は全く変わっていないのだという見方もできるが、だとしても、周囲が変わったことを受け入れようとせず、頑なに本編と同じ行動を取ろうとする子供たちにはかつてのような共感は覚えられないのも確か。
 もともとこの作品は、ケイトさんとミューラァの登場を最大の売りとして作られたものであるというのは有名な話であり、そういう意味では13人の新コスチューム+めっきりか弱いケイトさん+すっかりいいお兄さんになったミューラァ以外に見るところはない。
シカゴ・スーパーポリス13

 実は独立した作品ではなく、『ケイトの記憶、涙の奪回作戦!』のビデオ初回版のみについていたおまけ映像。禁酒法時代のアメリカ、シカゴを舞台に、シカゴ警察の刑事たちである13人がマフィアのククトファミリーと熾烈な戦いを繰り広げる……という作品の予告編。おまけでありながら凝りまくった作りになっており、『ケイトの記憶』よりこっちが見たかったという声もちらほら……。
銀河漂流バイファム13

 本編終了後13年を経て作られたテレビ版完全新作。当時のスタッフをできる限りそろえ、1998年2月から毎日放送深夜枠『あにめシャワー』で全26話に渡って放映された。ストーリー的には22〜26話の間を補完(?)するものであり、ククトニアンの双子の赤ちゃんを拾い、ククトニアンの難民保護組織『ラピス』と接触する「双子の赤ちゃん編」、正体不明の老夫婦を救助し、彼らと共にタウト星(本編のタウト星ではなく、実は“タウト”と呼ばれる衛星はふたつあったという後付の設定に基づいた別の衛星)に向かう「旧タウト星編」で構成される。
 未見なので内容の詳細は不明だが、各方面の評価はあまり芳しくない。特に後半を占める「旧タウト星編」は、もし世界が100人のバイファムファンだったら、99人がそっぽを向き、ひとりがかろうじて同情的なコメントをするといった有様になっている。

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