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![]() イプザーロン星系概略 ![]() ![]() イプザーロン星系は、地球から約43光年離れている。惑星8(うちひとつは木星と同じ巨大ガス惑星)、アステロイド群2で構成され、恒星イプザーロンから第1惑星までの距離は太陽-火星間の距離にほぼ等しく、第8惑星までの距離は太陽系の約3.5倍となる。 8つの惑星のうち、第3(クレアド)、第4(ククト)、第5(ベルウィック)のみっつが酸素-窒素型大気とH2Oの海を持ち、生命の発生が可能な条件となっている。事実、この3惑星全てで生命が発生し、うち第4惑星ククトのものは知的生命体にまで進化した。この生命体はククトニアンと呼ばれ、地球人とほぼ変わりのない外見を持っている。 確認されている限りでは、第4惑星ククトが衛星を持つ。タウトと呼ばれるこの衛星は、直径20キロ程度の不定形の岩の固まりであり、恐らく過去にククト星に捕獲された小惑星であると思われる。 2ヶ所のアステロイド群は、恒星イプザーロンと木星型惑星である第7惑星とのラグランジュ・ポイント(L4及びL5)に位置する。これは太陽系でいうトロヤ群、ヒルダ群と同様の構造である。 このうち1ヶ所には、1400年前に建設されたククトニアンのコロニー群が存在する。 この星系でもっとも特異なのは、第5惑星ベルウィックである。公転円の中心点が他の惑星と比べてずれており、一部軌道が第4惑星ククトの内側に入り込んでいる。一見、太陽系の冥王星と似ているが、冥王星は軌道が極端に細長いために一部が内側の海王星の軌道に入っているのであり、ベルウィック星の状態とは異なっている。 ベルウィック星のみがこのような軌道を持つ理由、また、このような不安定な軌道を持ちながら、生物が生存可能な環境を保っている理由は不明である。 一般に、惑星が地球型(固体)になるか木星型(ガス惑星)になるかは、原始惑星が水素などの軽いガスを逃がさないだけの重力を獲得できるほど大きくなれるか、なれないかによって決められる。恒星から遠い惑星がえてして木星型なのは、軌道が外側であればあるほど公転円も大きくなり、従って惑星の材料である微小天体をたくさん集めることができるようになるからである。 地球型と木星型の境界線は比較的はっきりしている。太陽系の場合、火星と木星の間にあり、この内側は全て地球型、外側は全て木星型となっている(冥王星は地球型であるが、これは惑星というより太陽系の重力に捕獲された小惑星の可能性が高いので、例外とする)。 ひるがえって、イプザーロン星系では第1惑星がほぼ太陽から火星までの距離に等しい。従って、太陽系の法則をそのまま当てはめるならば、第2惑星以遠は全て木星型惑星となるはずである。が、現実には火星より遙か遠い距離に位置する第5惑星ベルウィックまで地球型となっている。なぜこうなのかの理由は不明だが、恐らく、恒星イプザーロンは太陽より活動が活発なためではないかと推測される。 惑星の成長の終わりは、恒星の活動の活発化によってもたらされる。恒星から放出される恒星風が強くなるため、材料となる微小天体が吹き飛ばされてしまうのである。イプザーロン星系ではこの恒星風が激しくなった時期が太陽系より早く、従って、火星より遠い位置にある惑星もあまり大きくなれずに地球型になったのではないかと思われる。 また、本来なら冷たい惑星となるはずのククト、クレアド、ベルウィックが人類の居住に適した温暖な気候であることも、恒星イプザーロンの活動が太陽に比べて活発なことを裏付けている。 人類が居住している惑星、コロニーのデータは以下のとおり。 ○ククト(第3惑星) 人口:53,933人/地球人・ククトニアン (うち居住実験用ククトニアン犯罪者18,592人、地球人捕虜35,135人) *軍の駐留部隊は含まず 直径:不明 自転周期:不明 公転周期:3.5地球年 特徴:呼吸可能な大気と海を中心とする水域を持つが、核戦争のダメージからいまだ回復しきっておらず、陸地の多くを砂漠が占める。水辺など、場所によっては豊かな森や林とそれに基づく生態系が見られるが、全体的には荒れた土地であり、ここに収容されている犯罪者や捕虜が脱走したとしても生きていくのは難しい。 戦前の建造物の廃墟の多くが撤去されないまま放置されており、いくつかはリベラリストの拠点となっている。 ○クレアド(第4惑星) 人口:2,200人/地球人(駐留軍含む) 直径:不明 自転周期:不明 公転周期:不明 特徴:3惑星の中では最も自然の回復が進んでおり、地球に良く似た青い惑星となっている。 ○ベルウィック(第5惑星)首都:アゾレック 人口:不明/地球人(軍2個師団駐留) 自転周期:不明 公転周期:不明 特徴:赤い荒涼とした惑星。海はないが、各地に大小様々のオアシス群が散在しており、大量の地下水と共に気候の安定に役立っている。 ○新ククトコロニー群(アステロイド群) 人口:不明/ククトニアン 総数:14(うち軍用コロニー1) 公転周期:不明 特徴:小惑星を利用した大規模なコロニー群。1400年前の核戦争で3惑星が居住不能になって以後、全てのククトニアンはここで生活している。 |