メイルゲームとは

メイルゲームについての一般的な解説です。
個々の運営団体、ゲームによっては異なる場合もあります。

注:この記事は2003年に書いたものです。現在、ほとんどの運営会社が廃業あるいはメイルゲームから撤退しています。




どんな遊びですか

 数百人から千人規模のプレイヤーが、運営団体が提供する架空世界に料金を払って自分が作ったキャラクター(プレイヤーキャラクター。以下PC)を入れ、その世界で起こる様々な事件(シナリオと呼ばれます。シナリオとはいいますが、ほとんどのものはPCの行動によって結末が変わるマルチエンディングです)に参加しながら疑似人生を楽しむ遊びです。
 架空世界には「西洋風ファンタジー」「現実にあった歴史・国家のパラレルワールド」「時は宇宙、所は未来」などがあります。また、シナリオも、限りなく日常生活に近いものから、ドタバタギャグ、国家動乱、世界滅亡をかけた戦いなど、様々なジャンルのものが提供されます。
 ひとつのメイルゲームで遊べる期間は、大体半年から1年です。いちばん多いのは「ある時、この世界の各地で様々な事件が起こり始めた」という形で数本から10本以上のシナリオが一斉に始まり、数ヶ月後一斉にエンディングを迎えてゲーム終了という形のものですが、最近はひとつのシナリオが終わるたびに新しいシナリオが開始され、同じPCでいつまでも遊ぶことができるエンドレス型と呼ばれるものも出てきています。

詳しく知りたいかたはこちら →こんなメイルゲームがありました



どうやれば遊べますか

 メイルゲームを運営している企業、団体から、参加できるゲームについてのパンフレットをもらいます。そこに書いてある指示に従って料金を振り込めば参加できます。

どうやって遊ぶんですか

1.PCを登録します。
 料金を払い込むと送られてくるマニュアルに従って、PCを登録します。
 ゲームの世界によって、いろいろなタイプのPCが作れます。

例えばこんな感じ →深度測定長のPCたち

2.運営団体から送られてくる初期情報(シナリオ情報)を読み、参加するシナリオを選びます。
 マニュアルと同時に、またはPC登録後に、数個〜数十個の初期情報が送られてきます。これを読んで自分が参加するシナリオを決め、それに対応したPCの行動(一般的にアクションと言います。以下この語を使います)を運営団体に送ります。

3.アクションの判定結果が送られてきます。
 シナリオ担当のゲームマスター(アクションを判定、結果をまとめる人。以下GMと言います)は、送られてきた数十人から数百人のPCのアクションを読み、それぞれの行動が成功か失敗か、どのように状況に影響を与えているかを判定します。そして判定結果とそれによって状況がどう変化したかを書いて返送します(一般的にリアクションと言います。以下この語を使います)。
 返送形式でいちばん多いのは、GMが執筆したPCたちが登場する短編小説ですが、中にはコンピュータで成功、失敗が判定され、数値表の形で結果を受け取るものもあります。

4.リアクションには、同時に次回のアクションへの指針やヒントが示されています。これをもとにまたPCの行動を決め、運営団体に送ります。

5.リアクションが送られてきます。

6.約1ヶ月に1度、4〜5をくり返します。

詳しく知りたいかたはこちら →こんな風にゲームは進みます

なにが面白いんですか

 難しい質問です……というのも、他に似たタイプの遊びがないため、知らない人にはその面白さを説明しづらいからです。
 やっぱり最大のものは「現実では絶対なれないものになれ、絶対できない生きかたができる」ということでしょう。貴族、流れ者、異星人、パイロット、騎士、邪悪な破壊者……現実世界では夢物語でしかないものになることができます。
 しかも、その人生は、コンシューマゲームのようにプログラムによって示される選択肢を漠然と選んで、いくつかある決められたエンディングを見るのではなく、プレイヤー自身で自分のPCの行動や目指しているものを考え、様々な困難や運命をくぐり抜け、作り出していくものです。その生きかたは無限大、とは言えませんが、コンシューマゲームにくらべると遙かに豊かでスリリングです。はっきり言ってやみつきになります。

 ただし、そういう楽しい部分ばかりではありません。「つまらない」と思えることも当然あります。例えば、コンシューマゲームでは自分のPCこそが唯一無二の英雄ですが、メイルゲームはそうではありません。自分のPCは数十人、数百人いるこの世界の住人のひとりにすぎないのです。そして、PCの行動をプレイヤー自身が考えるということは、プレイヤーの実力……つまり、うまい考えを思いつける人か、そうでない人かによってPCの立場に差が出てきてしまうということでもあるのです。自分もあの人も出発点は同じ兵士なのに、気付いたらあの人は貴族の側近に取り立てられ、自分は相変わらず下っ端のまんまということも現実としてあるのです。
 また、これは本来許されないことですが……運営団体のクオリティ善し悪しによって、面白さが大きく変わってしまうこともあります。中には、小説以前に日本語の文章すらまともに書けないマスターを平気で使う、リアクションの返送日をプレイヤーに連絡もなく数ヶ月も遅らせる、ユーザーサポートの態度が悪く、相談するとお客を相手にしているとは思えない言動をする、等々の行いをする団体もあります。こういうトラブルを防ぐには、料金を払う前にその団体について充分情報収集をするしかありません。
 でも、たとえどんなに不満があったとしても、ゲームが終了し、自分のPCが素晴らしい人生を送ることができた時、そんなものは全てふっとんでしまいます。そしてそれこそが、メイルゲームの醍醐味だとも言えます。



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