スピーチができない王様の話

『英国王のスピーチ』を見てきた。
 多分これ、英語だとウィットに富んだ台詞がいろいろあるんだろうけど、なにしろ英語に不自由なのでそのあたりの楽しさが全く分からないのが残念。
 いわゆる感動巨編ではないけれど、安定していて、いかにもイギリスらしい品のある誰でも安心して見れる作品だと思う。
 衣装やセット、小道具も凝っていて、特に建物の内装はそれだけで楽しい。
 ただ、シンプソン夫人の「皇太子(後に国王)を籠絡しアゴで使う卑俗なアメリカ女」的な表現は、ちょっと作りすぎの感があった。
 あと、王たる人物が「ファック!」とか「シット!」とかわめき散らすのはけしからんという人は避けたほうがいいかも(笑)。
 ちょっと全体としてはしょり気味で、内気できまじめだけど短気な王族ジョージ6世と、やりたい放題で歯に衣着せないように見えながら、実は慎重に相手を思いやっている平民治療士ライオネル・ローグがお互いに信頼しあっていく過程が掘り下げきれてなかったのが、難といえば難かも。
 そういえば『テルマエ・ロマエ』が阿部寛主役で映画化だって……。
 見ていて思うんだけど、阿部寛って変な役が好きなのかな……。
 というか、あの作品のおもしろさは、日本の湯をローマの感覚でとらえるルシウスのちぐはぐっぷりにあるので、日本人の阿部寛がいくらそれっぽく演じても、根本的な部分で日本人でしかない以上、結局は「ローマ人のふりをしている日本人」にしかならないと思う。
 そもそも、ローマ人て黄色人種じゃないじゃん。

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