チャンドラと言葉

 手乗りとそうでない鳥の最大の違いは、鳴いて人とコミュニケーションを取るかどうかだという気がしてきた。
 チャンドラは手乗りではないが、非常に人なつこくて、すぐ人間様のそばに寄ってくるし、手から物を食べたり、指をカゴに入れると自分から頭をすり寄せて掻かせたりする。
 だが、ビビやパムのように、人間様が話しかけても一緒になってさえずらないし、言葉も覚えようとしない。また、鳴いて人間様を呼ぶこともない(他の鳥どもが呼び鳴きを始めると、つられて鳴くことはある)。明らかに、人間様の言葉に対する反応が、他の鳥どもとは違っている。
 人間様はこれまで荒鳥を飼ったことがないので、これは推測でしかないのだが、鳥の親に育てられたチャンドラは、人間に育てられた手乗りの鳥のようには、人間の声や言葉をコミュニケーション手段として認識できないのではないだろうか。
 手乗りの鳥は、幼い頃から人間に話しかけられ、その音域や調子に慣れている。また、鳥自身も人間を親と認識しているから、その働きかけに反応しようとする。結果として、ごく自然に、同類の鳴き声以外に人間の声や言葉もコミュニケーション手段のひとつに含める“回路”ができあがっていく。
 ところが、親も鳥だったチャンドラは、人間の言葉に接する機会がほぼ皆無だったため、手乗りと違ってその“回路”ができず、人間の声や言葉を雑音としてしか認識できない。なので、人間の言葉に反応しない。
 とまあ、さっきから黙ったまま人間様の様子を伺っているチャンドラを横目で見ながら、そんなことを考えたりもする。

 チラチラ見てる。
 もっとも、他の鳥どもの様子を見て学習したのか、最近のチャンドラは、声をかけると実に控えめに返事らしきものをつぶやくようになった。
 その調子で慣れていってくれ。

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