ヒマワリの罠


「ひまわり~♪」
 一旦外に出ると、長門はなかなかカゴの中に戻ってくれない。
 手に乗せようにも、この鳥は人間様の手は乗るものではなく寝転がるものだと思っているし、ならばと追い立てて入れようとすると怒って噛みついてくる。
 長門が人間様の言うことをきかないのは今に始まったことではないが、他はともかくカゴの出入りについては言うことを聞いてくれないと困るので、大好物のヒマワリで釣るという、大抵の場合成功する方法でしつけることにした。
 長門が見ている前でヒマワリの容器を開けて種を何粒か取り出し、カゴの中のエサ入れに入れると、どんな所からでも長門はいそいそと戻ってきてカゴの中に入り、ヒマワリを食べ始める。
 たまにもっと遊んでいたくて葛藤していることがあるが、そんな時には別途1粒ヒマワリをつまんで目の前に出してやると、あっさり釣られて入ってくる。
 そんなことを繰り返しているうちにすっかり習慣になったらしく、最近は別になにもしてないのに、ひとしきり遊ぶと自分からカゴの入り口に戻っていき、中をのぞき込んでは「入るけどヒマワリは?」という顔をして振り返ったりする。
 時々、のぞきこむことすらせずにとことこカゴに入っていき、扉を閉められた後でヒマワリがないのに気付いて愕然としている。
 ヒマワリの嗜好性おそるべしだが、エサ入れの中のを食べ尽くすとまた出たがるので、役に立ってるのか立ってないのか、いまいち微妙なところではある。
 しかもよく考えたらダイエット中だし。

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