シン・ゴジラを見てきた。
うーん、面白いのかつまんないのかいまいち分からない映画だったな。
中盤までのゴジラ大活躍はすごい。最初、明らかに何も考えていない、本能だけで動いている目をしたゴジラが、見慣れた都市を踏み倒しながらゆっくりと進んでいく姿は、あーあ、あそこが壊された、ここが壊されたという、なんというかパロディめいた面白さも感じながら見ていられる。
が、攻撃されて激高したゴジラが、レーザーであたりをなぎ払い(銀座和光が壊されるのはお約束)、東京を文字通り業火の海にし始めると事態はシャレでは済まなくなる。どんな兵器も効かず、攻撃されれば死が確実。ゴジラのあまりの無双っぷりに、これもうどうしようもないじゃんと漂う絶望感がものすごい。
だが、面白いのはここまでで、人類が反撃を画策し始めると、途端に内容はつまらなくなってくる。というのもゴジラが強すぎて歯が立たない存在となってしまったため、人間側にそれを埋めるプラス補正が少しずつかけられていくのだ。
顕著なのが、ゴジラが突然活動を停止し、その間に何とか反撃の方法を研究しようという展開。物語としては、ゴジラによる被害拡大と競争で対抗策を組み上げていくという方が絶対盛り上がるのだが、それをやると日本がなすすべもなく全滅しかねない(し、見ている側の精神も多分もたない)。そこで、ゴジラには途中でご休憩いただいて、その間に反撃を考えるということになっている。ここで一気にテンポがだれるのだ。
芝居についても、後半になると同じような場所で説明や解説を繰り返すシーンが多くなり、さらに最近はやりのプロジェクトX的な「地味にがんばる民間人」的要素が加わると、作りは急速に雑になっていく。それでも、前半から中盤にかけてゴジラの出現を丁寧に書いたことで、かろうじて劣化には気付かれないまま終われているが、一歩間違えれば危なかったかもしれない。
ただ、ギミックや小ネタはとても面白かった。
自衛隊がゴジラを多摩川河川敷で迎撃するのだが、どうやってあんな大量の10式戦車や砲車を輸送、展開したんだろうとか、いわゆる無人新幹線爆弾とか無人在来線爆弾とか(ネーミングが秀逸)、一体どうやって準備したんだろうとか、JRがそんな風にがんばっている反面いいとこなくひどい目に遭う京浜急行とか、最初は無責任でぐだってるのに、危機が深刻になるにつれて肝が据わってくる政治家とか、そういう部分がものすごく上手い。こういう小ネタを探すのに何度でもリピートしてしまうというのは分かる気がする。
ゴジラに比べれば、ピリカの目つきもかわいい。
そういえば、ゴジラに瞬膜がなかったのが気になった。
唯一むき出しになった目を保護するためにあっても良かったと思う。