9月16日から岩手に旅行に来ていますが、16日の宿がネットワーク環境のない場所だったため、2日分まとめてアップします。
というわけで、いずもに気持ちを残しながらも、旅行の予定は変えられないので岩手の八幡平にやってきた。
この八幡平、公共交通機関で行こうとすると、1日1往復の盛岡駅からの直通バスしかない(途中乗り換えであればもう1-2本あるらしい)。つまり、車を持っていないと限りなくハードルが高い山なのだ。
さらにこの直通バス、盛岡駅発が9:10。東京を朝6時半ぐらいに出発しないと間に合わない。なぜそこまでして行きたかったのか自分でもよく分からないが、行くのが困難であればあるほど頑張って行こうとしてしまう、そこはもう性としか言いようがない。
岩手を代表する山、岩手山。
一方から見ると富士山に似た独立峰だが、他方から見ると連山という変わった山。
なんか最近山道にカラースプレーでむちゃくちゃ落書きをされたらしい。どうもやったのは外国人らしいが、この山は標高2,038メートルあるそうで、落書きするためにわざわざ登るとかご苦労様な話である。
というか、前にもどこかの山で落書きしてた外国人いなかったか?
10時半過ぎごろ八幡平に到着。山頂のレストハウスでバスを降りて、登りを開始する。
富士山の森林限界は2,500メートル付近だそうだが、寒冷地の八幡平では1,500メートルぐらいでもう高い木はなくなってしまう。
道はこんな感じで、完全に観光地として整備されている。登山装備を整えてくるまでもない。
でも石が結構でこぼこしているので、ハイヒールやサンダルだとちときついかもしれない。
鏡沼。
春、円形の氷の周辺だけが溶けて青い水になった「ドラゴンアイ」と呼ばれる写真を見たことがあるだろうか。
それが起こるのがこの沼。元々は火口だそうだが、大きさといい形といい周囲の草木の生え方といい景色といい、これは完璧なバランス。
氷がなくても十分に美しい沼だった。
めがね沼。
向こう側にあるもうひとつの似たような沼と並べて眼鏡に見立てる、良くあるパターン。
アオモリトドマツという松らしい。青くてきれいなのか気持ち悪いのかよく分からないまつぼっくりをつける。
風雪のせいでこんな風にいびつに変形してしまっている。
でも眺めは微妙だった。
晴れていればもっといろいろ見えるらしいのだが……。
でもここが最終目的地ではない。
多分次に行く所では、もっとよく見えるはずなのだ。
気を取り直して、次の目的地に向かうことにする。
次に向かう所とは、この地図の右側にある「源太森」という場所。
源太って誰だよと思うのだが、ネットでの情報によれば、ここからの見晴らしが素晴らしいらしい。
源太森の先にもうひとつ、茶臼岳(那須の茶臼岳と同名)という絶景ポイントがあるのだが、ここまで行くと明るいうちに戻って来れなくなる可能性があるので、源太森までで我慢することにした。
丁度初秋の花と晩秋の花の間の時期で、野生のリンドウぐらいしか咲いていないが、結構あちこちにあるのでそれなりに楽しめる。
あと、ところどころで紅葉が始まっている。
いびつな松と何かの紅葉と岩手山。
八幡平最大の沼、八幡沼。
周辺の黄色い部分は全部高地湿原なんだって。
湿原を越えて中央左よりの地平線にぽつんと出ているのが、目標の源太森。ずいぶん距離がありそうに見えるが、1時間程度で行ける。
湿原に踏み込むと、平日だからか人が全くいない。見渡す限り自分一人。
これはあれだ、踊りながら歩いてもばれないやつだ。
上の地図の「源太分かれ」を越えたあたりで、道が段々悪くなってきた。
木道が次第に壊れがちになり、とうとうそれすらなくなって石ころだらけの山道に。
さすがにこれぐらいになると簡単なトレッキング装備ぐらいはしていた方がいいかも。
あと、湿原が終わって森に入ったので熊が出る。しかも人がいないので熊鈴必須。
用心のために今回は持ってきておいて良かった。
熊鈴をチリチリ鳴らしながら歩くことしばし。源太森へ到着。
名前こそ「森」だが、ここは八幡平山頂に次ぐ高さの山のてっぺんになる。
しかも、八幡平のようになだらかではなく、ここだけぴょこっと突き出している(おかげで登りがとても大変)ので、八幡平より遙かに見晴らしがいい。
これ、雲がなかったら遙か遠くまで見えるんだろうな。
しばらく滞在して景色を堪能したので、また引き返すことにした。
低くて厚い雲がちらほら近づく様子も見えてきているので、いろいろ見えるうちに帰ろうっと。
これは草紅葉と言うらしい(うしろでおじさんが連れにそう言ってた)。
確かに、単純に枯れてるのじゃなくて、赤や黄色やら紅葉っぽいな。
緑の部分が草地で、黄色の部分が湿原。
こんなきれいな色分けが見れるのはこの季節だけ(多分)。
そしてレストハウスに到着。
なんだか原初の風景が広がっていた。日光でも同じような風景はあったけど、山の深さが比べものにならない。
なるほど、これは確かにいろんな何かがひっそりと息づいていそうだ。
とまあ、こんな感じで八幡平を堪能したのだが、今回はこのまま下山しないで、山頂近くにある藤七温泉という温泉に泊まることにしている。
これが藤七温泉。旅館の名前は彩雲荘。
行きのバスから撮ったもの。
この温泉、標高1,400メートルにある上、お風呂は地面を掘って木材で簡単に縁をこしらえると、そこにお湯が沸いてくるという、源泉掛け流しどころか源泉にそのまま入る温泉なのだ。しかもお湯が白濁しているので、入ったら足で慎重に探りながら歩かないと、うっかり源泉を踏んで熱い! となる。
そして、さらに大きな特徴があるのだが、写真からおわかりいただけるだろうか。
露天風呂が敷地内どころか、道路からも丸見えなのだ。
さらに言えば、混浴なのだ。
さすがに女性はバスタオルや湯あみ着で入浴できるし、簾で周囲を囲った女性専用風呂もあるので、そうそうけしからんことにはならないのだが、男性は基本、すっぽんぽんを全世界に晒していると思っていい。
建物も、豪雪地帯で年間半年程度しか人が常駐して営業していないためか、1階部分を中心に大きく痛んでいる。客室へ向かう途中の廊下や、食事をする大広間などは完全に床が傾いていて、初めて見るとぎょっとする。
が、建物の作りそのものは頑丈だし、客室は全く問題ない。きれいに掃除されて手入れも行き届いており、スタッフの皆さんもホスピタリティが高くて、そのへんの民宿などよりよっぽど居心地がいい。風呂さえ気にならなければ、すごくいい場所だと思う。
電気が通っていないため自家発電とのことで、各部屋にテレビはないし(ラウンジにはある)、ドライヤーは洗面所に1個あるだけだし、電波もほとんど入らないが、たまにはそういう物から離れてみるのもいいかもしれない。