岩手2日目。
昨日とは打って変わっていいお天気。
上の方でちょこっと湯気が見えているのも藤七温泉だが、こっちは完全な高温の源泉ばかりで人は入れない。
さて、昨日も書いた通り、八幡平と盛岡駅は、1日1往復のバスでしか結ばれていない。
そして、帰りのバスは15時にならないと来ない。
チェックアウト後も居残って別料金で温泉に入る事は可能だが、そこまで入り続けていたいほどではない。もう1度八幡平に行こうか、どうしようかと悩んで宿の人に相談したら、チェックアウトの後、用事のついでに最寄りの路線バスの始発バス停まで車で送っていってくれるという。
なんというホスピタリティ。
というわけで、車で30分ほどのバス停に送ってもらい、そこから路線バスに乗って11時頃には盛岡駅に着くことができた。
彩雲荘のおじさん、ありがとう!
思いがけず時間に余裕ができたから、近くの小岩井農場まで行ってみよう!
実は全然近くなかった。
確かに小岩井農場は盛岡から田沢湖線で2駅なのだが、この田沢湖線のダイヤが1時間に1本。しかもこの時間は1時間半以上間が開いている。
盛岡からの路線バスもあるにはあるが、こちらは1日2往復で全然時間が合わない。
しょうがないので盛岡からタクシーで5,000円かけて行ったのだった。
運転手さんにいろいろ説明してもらって楽しかったけど、なんでこのあたりは無免許の人間に優しくないのだろうか。
小岩井農場は牛乳でおなじみのあの小岩井農場。
岩手山山麓に、東京風に言うと山手線の内側ぐらい、地元風に言うと田沢湖よりちょっと広いぐらいの広大な敷地を持っていて、その中で牧畜、養鶏(卵ではなく採卵用のヒヨコを出荷する方)、農業(乳牛用の資料を作っている)、林業(牧畜に最適な環境の保全のため)、観光をやっている。
今日来た小岩井農場は、その広大な敷地の中の指先ほどのごくごく一部をレジャー施設に整備して一般公開している場所になる。
なんか園内を歩いているのに出くわした。
ドラえもんのパチモンみたいだと思ったが口には出さなかった。
そして入園後すぐに向かったのが「ファームトラクターライド」というアトラクション。
トラクターが引く客車に乗って、非公開エリアの森林を見せてもらうガイドツアーなのだ。
ウェブサイトで見た時に、これだけは絶対乗りたいと思っていたのだが、首尾良く最終回である14時半の回の予約に成功。
しかも最前席。やったね。
後は名物牛乳ラーメンでも食べた後、適当に回って時間を潰そうかな。
餌やり体験のポニーはニンジンが欲しくてこちらを伺っている。
ごめんよ、まだ餌やり体験の時間は遙か先っぽいんだよ。
秋の花に虫がたくさん来ている。
いろんなシジミチョウとアブだと思うがもしかするとミツバチかもしれない。
トンボもわんさかいる。アカトンボは早くも真っ赤。
ところで、こうやってとまっているトンボにちょっかいを出すと、いち早く察して逃げたり、羽をぴしぴし触られても動じなかったり、いろんな反応のがいるのだが、やっぱり性格なのだろうか?
羊牧場。
暑いのかみんなゼイゼイやっている。
台風前のこの蒸し暑い日に分厚い天然ウールだもんね、無理もない。
少しでも身体を冷やそうとしているのか、地面にぴったりとくっついて謎の生物化している。
なんだか可哀想になってきた。
なんだろう、なんだかあんまり楽しくない。
那須の南が丘牧場の方が、動物と人との距離が近くて断然楽しい。
もっとも、全力で観光牧場をやっている南が丘牧場と、プロ畜産業の片手間に観光事業をやっているだけの小岩井農場を、同列に見るのが間違っているとは思うけれど。
まあそんなことを考えながら、上丸牛舎と呼ばれる歴史区画にやってきた。
ここには小岩井農場創設当時の設備が保存されていて、牛舎を中心とするいくつかはまだ現役で使用されている。
搾乳可能な雌牛がずらりと並ぶ牛舎。
今はお昼寝タイムなのか、みんな反芻しながらまったりしている。
ずらりと並ぶ牛の尻。
ちなみに、可能な限り清潔にしてあるのだが、フンの臭いやら何やらで独特の悪臭がする。
畜産関係の設備なんて20年以上近づく機会がなかったから、こういう臭さがあるというのを久しく忘れていた。
というか、日本人がささいな臭いまで気にするようになったのは最近の話で、昔の日本はこういう臭いが日常的にしている悪臭の国でもあったんだよね。別に日本に限らないけれど。
優しい顔してるね。カメラ向けたら目を背けちゃったけど。
牛もカメラが駄目なのか?
んーまあこんなもんかなという感じ。個人的には、昔の物より今の最新の畜産設備の方を見たかったけど。
そうこうしているうちに、ファームトラクターライドの時間がやってきた。
そしてマフラーにとまるオニヤンマ。
このマフラーはトンボにとってよっぽど魅力的に見えるのか、この後も隙あらばトンボがとまろうとしていた。
走り出すとこんな感じ。
客車の車高が高いので、意外と遠くまで見渡せる。
まず最初は牧草地に連れて行かれて、トラクターと遠くに見えるD51とブルートレインをバックに記念撮影。
この車両は農場名物らしいが、なんで農場にD51とブルートレインがあるのかは良く分からない。
いよいよ森へ。このあたりは不整地なので振動がすごくて、手ぶれ写真しか撮れない。
周囲のスギの森林は全て、小岩井農場が植林して育てているもの。
その森林が見渡す限り続いていくので圧倒される。
スギたちは10年、20年、30年……とグループごとに少しずつ年齢をずらしながら飢えられていて、道路沿いのきれいなスギは、樹齢100年以上とのこと。
ちなみにこの森林ができる前は、住む人もいない荒野だったらしい。そこに文字通り1本1本木を植えて、今の小岩井農場ができあがったんだって。
それが山手線の内側ぐらいの広さ。
なんかすごい歴史を聞いちゃったな。
森の中の広場にやってきた。
これはキノコの一種が寄生してしまったスギ。もうこうなると材木にはできないらしい。
ガイドさん「真下から見上げると、木がらせん状に育っているのが分かりますか?」
ほんとだ! 不思議! なんで!?
参加者の子供がその辺で発見し、ガイドさんが大捕物の末に捕まえたヤマアカガエル。
山に住むので吸盤がなく、代わりにジャンプ力がすごい。
かわいい。
捕まったショックか、放されてもしばらく呆然としていた。
かわいい。
この後我に返ってぴょんと跳んだら、見ていた子供がとんでもない金切り声を上げたもんだから、そっちの方にびっくりした。
森を出ると牧草地が続く。
ここにそのまま牛を放して食べさせるわけではなく、収穫して保存用資料にする。草を7年、飼料用トウモロコシを3年、小麦を1年輪作しながら使っているんだって。
トラクターにわざわざ挨拶しに出てきてくれた、羊牧場の牧羊犬とバディのお兄さん。
牧羊犬はおじいちゃんだけどお兄さんに甘えるのが大好き。
楽しかった!
林業って畜産以上に触れる機会がないから、ほんと知らない事だらけだった。
10年、100年という先を見越しながら、成果を次世代に渡す前提で計画をして回していくのって、どんな感じなんだろう。
帰りは今度こそ小岩井駅から田沢湖線で帰った(ただし小岩井駅まではバス路線がないのでやっぱりタクシー)。
特定の時間しか駅員さんがいない半無人駅なのに、普通に秋田新幹線が通過していくのがちょっと面白かった。