寺と桜と恐竜三昧

 上野で国立博物館の「東福寺展」と、国立科学博物館の「大恐竜博2023」をハシゴしてきた。


 まずは東福寺展。これは母親と妹と一緒。
 母親が行きたがるので妹が連れて行くことにしたのだが、妹は仏教美術に興味がないので、あちこちで御朱印をもらって歩いてる姉を誘ってきたらしい。
 とはいえ姉も、奈良の東大寺と興福寺に憧れた京都の坊さんが作った寺、ぐらいしか知らないのだが。


 そして途中で見かけた看板。
 なにそれ意味が分からない。

 展示は例によって一部をのぞき撮影禁止。
 書画や仏像がメインだが、中でも目玉は明兆という、江戸時代までは雪舟とも並び称された画僧の五百羅漢図を中心とした画と、数々の慶派の仏像。
 五百羅漢図は1枚の画に10人、合計50枚の連作だが、どれを見ても愛嬌のある中国風おじいちゃんたちが、キャッキャしながら奇跡を起こしたりどこかに遊びに行ったり勉強したりしている図で、大変かわいい。
 仏像は、鎌倉時代の運慶の流れを汲む写実的で力強いもので、めちゃくちゃ迫力がある。


 撮影可能な仏像の手。
 東大寺に憧れていた東福寺では、当初7メートルもある仏像を作って本尊としていたのだが、2度の火災で焼失してしまい、残っているのはこの手だけということらしい。
 なおこれだけで2メートル以上ある。大きすぎて逆に生々しい。

 書とかは正直良く分からなかったけど、五百羅漢図と仏像が面白かった。
 五百羅漢図は複製画とかあれば欲しかったんだけれど、小さな絵はがきしかなかったのが残念。

 この後はお昼を食べて科学博物館の大恐竜博だが、予約した時間までまだかなりあるので、丁度桜が咲いている国立博物館の庭園を見ることにした。


 実は朝9時半頃から行っているので、この時点でまだ昼過ぎ。
 なので庭園もあまり人がいない。


 カモたちも油断して地上でエサを探している。


 それぞれ色の違う花が咲いている。


 花鳥っぽい写真撮れた。

 そして次は本館。
 実は本館見るの初めてなんだよね。いつも企画展しか行かないから。


 かわいい。


 かわいい。


 かわいいけどじわじわくる。


 かわいい。


 今は絶対作ることができない総鼈甲の鳥かご。
 マメどもや文鳥に丁度いい大きさだったが、恐らくあっという間に破壊されるのでマメどもは絶対入れられない。


 明治時代の推し活うちわ。


 全てを許していそうな笑顔がすごい土偶。
 笑いで悪い物を追い払う意味があるらしい。


 鶏の土偶。かわいい。
 夜明けに鳴く鶏は闇を払う魔除けとして扱われたそうな。

 本館内はものすごく外国人観光客が多かった。
 あと、カテゴリの説明の冒頭に必ず「日本では云々」みたいな、日本人に対しては意味がないと思える文言が必ず入っている。
 それでようやく気付いたのだが、この上野国立博物館は、日本に来る外国人的には、一度は来たい伝統的な日本の、しかも一流の文物に触れる事ができる日本を代表する場所、みたいな感じになるらしい。
 言われてみれば、海外の物が多数を占めるルーブルや大英博物館あたりにはない発想の博物館だもんね。
 似たような位置づけとしてはアメリカのスミソニアンかもしれないけど、そもそも蓄積された歴史の長さが全然違うし。

 まあそんな感じで意外と堪能してしまった後、科学博物館に移動した。


 この恐竜の皮膚化石が見たくて来たんだけれど……。


 うんまあ混んでるだろうとは思ってた。
 でも雨だから普段の土日よりかなりましなんじゃないかな。


 ヘテロドントサウルス。
 前歯がすごい。ウサギか(でも肉食らしい)。


 スクテロサウルス。
 背中や肋骨のあたりにぽつぽつとあるのは、皮骨(ひこつ)といって、皮膚の下に形成された鎧状の骨組織。
 こういうのを持つ恐竜を通称鎧竜と言う。
 これはアメリカの一部でしか見つかっていない貴重な化石らしい。


 皮骨が外骨格みたいに全身を覆って、そのまんま化石になっているスケリドサウルス。
 体格や顔つきまで分かるのが生々しい。


 孵化直前の恐竜の卵。
 考古学的には貴重だけど、ここまで育ちながら生まれることができなかったと考えると不憫。


 ステゴザウルスに似てるけど実は別の種らしいヘスペロサウルス。


 アニマンタルクス。
 一体何が彼をそこまでの過剰防衛に走らせたのか……。


 今回の目玉、ズールの頭部化石。
 骨ではなくて皮骨(皮膚)がそのまま化石化している。つまり、実物もこんな感じの外見をしていた。


 全身。右が頭で左がしっぽ。下が背中で上がお腹。脚は浸食か死後に他の動物に食べられたかでなくなっている。
 ここに見えているのは全部皮膚で、この下にさらに骨の化石が入っている。


 これは上の写真と逆で左が頭側、右がしっぽ側上が背中側、下がお腹側。一番上に2列に並んでいる斜め後ろを向いている角が丁度背骨のあたり。
 小石みたいにいっぱいあるのが全部皮骨で、まさに文字通りの鎧竜。すごいな。


 ズールのしっぽ。
 右端の丸い物は重り。これを振り回して護身用打撃武器として使っていた。
 ちなみにズールのラテン語名の別名は「脛の破壊者」。上から襲ってくる肉食恐竜に対して、低い位置から脛のあたりにこのしっぽをぶち当てて撃退していたらしい。
 実際に、この恐竜に返り討ちされたとおぼしい脛を骨折した肉食恐竜の化石も見つかっているそうな。


 ズールを襲うゴルゴサウルス。ここからズールが脛を狙ってしっぽで殴りに行こうとしている。
 ゴルゴサウルスの名前につっこんではいけない。


 ケラトプス化の新種ではないかと言われる化石。
 左が復元、右のばらけているのが現物。


 みんな大好きティラノサウルス。
 ニックネームがついていて、左がタイソン、右がスコッティ。
 スコッティはティッシュとか言われていたけど、どうしても「転送してくれ、スコッティ」の方を思い出すんだな。


 尻。


 横顔。とにかく大きい。
 しばらく恐竜の展示なんて見てなかったから、恐竜の大きさを忘れていたわ。


 前足ちっちゃ!


 と思ったらもっと前足がちっちゃい奴がいた。
 カルノタウルス。頭に2個の角があってちょっとおちゃめに見えるが、ティラノより大きな肉食恐竜だったらしい。

 面白かった。
 ずいぶん恐竜関係の知識をアップデートしていないから、名前も分からない恐竜ばっかりだったけれど、ほんと次から次へと新しい物が見つかってるんだな。
 体系的にまとまっているのを見つけるのは難しそうだけれど、最新の本を探して読んでみよう。

○おまけ

 恐竜戯画。
(売店で売っていた絵はがき)

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