マイナス1.0

「ゴジラ-1.0」を見てきた。
 実は始まった時に見ようと思って完全に忘れてたのよね。

 いろいろ突っ込み所はあれど、面白かった。
 ドラマとしては、主人公敷島の「罪と救い」の物語なので、ゴジラは出てくる度に大暴れこそするものの、立ち位置としては脇役。
 戦場で自分がやったこと/やらなかったことの記憶に苦しむ復員兵というのは、私の世代からするといささか手垢がついた題材という感はあるが、今は逆に新鮮なのかもしれない。
 特に映像のリアリティがものすごい。ゴジラとの対決に当たって進駐軍から返還されたという『雪風』たち駆逐艦のベコベコの船体とか、ラストで駆けつけてくる雑多な船たちとか。
 あと、国鉄の車両と銀座和光が壊されてるのはお約束だし、ビルの屋上からラジオで実況していてゴジラの破壊に巻き込まれたアナウンサー達の悲鳴は、最後まで無事なマイクを通してお茶の間にそのまま流れたんだろうとぞっとしたし、登場時に薄汚れた浮浪児みたいだったヒロイン典子が段々やぼったいながらもこぎれいになっていくのが、暮らし向きの変化を分かりやすく伝えてくるし、エキストラは皆平たい顔族だし、ゴジラが再上陸した横須賀(多分)はとてつもない田舎だし。
 一体どれだけ力を入れて苦労して作ったんだろうなあと思った。
 あと、ゴジラにしがみつかれて傾いた『高尾』の砲が、そのまんまゴジラにゼロ距離砲撃していたのには度肝を抜かれた。
 多分、砲に装填を終えた所でゴジラにしがみつかれて砲が傾き、照準不能になったと思いきや、砲口が偶然ゴジラの方を向いたのに気付いた砲塔長がすかさず「このまま撃て!」となったんだろうなあと、何となくそんな展開が想像されたりして。
 そういう想像の余地がふんだんにあるのも、面白い部分だと思う。

 敷島の隣家の澄子役の安藤サクラと、ヒロイン典子の連れ子の明子を演じた子役が印象的だった。安藤サクラはもともと上手な人だけど、何というか、画面に登場するだけでビシッとはまる迫力がある。
 あと明子役の子。「両親」が実の両親でないことは知らないが、それでも2人の関係の不安定さを敏感に感じているのか、笑わないししゃべる声もかぼそくて頼りない。敷島が掃海艇の仲間を家に連れてきた時も、抱っこされるのは「お父ちゃん」の敷島ではなく、あきちゃんと呼んで可愛がる艇長秋津の膝。大体画面に子供と動物が出てくるとそっちに目線が行きがちだが、この子は表情とか目線のやり方とか、多分まだ3歳ぐらいなのに、とにかく演技臭さがなくて自然なのが、逆にいやどうしてそんな自然なのってなる。どういう指導したらああいう演技をさせられるんだろうと思った。


 ゴジラが恐竜か爬虫類から変化したものなら、長門はゴジラの遠い親戚。

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