6/15、16と上高地に行ってきたので、後追いでアップします。
上高地。
北アルプスの間にできた谷間に伏流水が流れ込んでできる梓川と、その周辺の湿地帯が、明治になって産業や観光に利用されながら今に至る場所である。
ホテルは高いし取れないし、人は多いし良く分かんないしなのでそれまであまり興味はなかったのだが、穂高神社の奥宮があると知ってそこは行きたいと思うようになった。
が、実は上高地は車がないと大変行きにくい(前にも書いた流れ)。
まず松本に行って、そこからさらに電車で新島々駅まで行って上高地バスターミナル行きの路線バスに乗るか、松本駅または長野駅から出ている直通バスを使うかしかないのだが、新島々からのバスが1日13本、直通バスに至っては1日1~2本しかない。
まあよっぽど余裕がなければ行く機会もなさそうだなと思っていたら、JTBで松本駅-バスターミナル間の送迎つき、値段もそこそこのフリーツアーを見つけたので、使ってみる事にした。
来た。
宿の都合で帝国ホテル前でバスを降りたので(帝国ホテルに泊まる訳ではない)、有名な河童橋とはちょっと違う風景。
ホテルに荷物を預けてさて奥宮へ! と意気込んだが、ここで想定外のトラブルに気付いた。
前日、『くまの』と潜水艦の見学に、必要に迫られて革のローファーを履いていったのだが、これでマメができてしまっていた。
上高地に来るに当たっては、数年使ったローカットの軽いトレッキングシューズにしたので、普通に歩いているうちはまあ問題はないのだが、不整地を長期間歩き続けると分からない。
河童橋から奥宮までは、自然探索路の山道を1時間ちょっと行く必要がある。ここは四輪二輪を問わず、関係者以外の車両の運行が認められていないので、途中で駄目になったからタクシーを呼ぼうとかいう技が使えない。歩き出したら最後まで歩き通すしかないのだ。
大丈夫かな……とりあえず行ってみよう。
ちなみに、上高地では物を食ってる観光客の足元をうろつき回っておこぼれを狙う役目は、ドバトではなくキジバトが担っている。
こんな近くまで寄ってくるキジバト初めて見た。
自然探索路を歩き始めたら、早速カモが羽繕いをしていた。
ちなみに、今回もα6000×タムロンの18-300ミリを持っていっている。
早くもこの重さに慣れてきている自分がちょっとイヤ。
尻を見せるお母さんと、構わず泳ぐヒナたち。
結構大きくなっているが、まだヒナ毛ぽやぽや。
ヒナを堪能してからまたしばらくてくてく歩いていくと、突然開けた場所に出た。
静かに音もなく流れる川(多分梓川に流れ込む伏流水のひとつ)と、立ち枯れた木々。
すごい風景だ……。
いつまでも眺めていたいが、実はこの場所、結構人でごった返している。
外国人、特に中国人が多くて、彼らはわーわーやーやー言いながら、周囲などお構いなく一番いい場所にいつまでも居座って仲間同士で撮影している。
なんで中国人って、写真撮る時にいちいちモデルポーズをしたがるの?
もちろんレンゲツツジ以外にもたくさん花が咲いている。
なんだろうこの花。
後でネイチャーガイドの人に聞いたのだが、元々林だった所に川の流れが移動してくると、そこにあった木が水につかって立ち枯れてああいう風景になるらしい。
有名な大正池の例から、100年でほぼ全ての立ち枯れが倒れてしまうことが分かっているので、ここは大体50年ぐらい前に川になったところでは、ということだった。
そしてまたてくてく歩いていくと、木の上にサルがいた。
そして気付けばサルの群れが探索路のまっただ中に陣取っていた。
どうもメスと子供の群れらしいが、全く人間を警戒していない。むしろサルが歩いてくると人間の方がよけて道を譲る始末。
赤ん坊サルが親の側を離れてひとり遊びを始めても、親は全く気にしないで毛繕いなどしあっている。
どんだけ警戒されていないんだ人間。
動物写真家みたいな写真撮れた。
よく見ると大人のサルは絶対こっちと目線を合わせようとしない。
1回目が合ったら微妙な感じで威嚇された。
これも後でネイチャーガイドの人に聞いたのだが、このサルたち、少々人間との距離が近くなりすぎて問題になってきているらしい。
今はまだサルの方が人間に無関心でいるのだが、この先人間が食べ物など与えてしまうと、それを狙って人間、特に子供などをターゲットにする恐れもあるのだとか。
欧米人は割と自然保護のルールが確立しているし、何しろ先祖が狩猟民族だから、野生動物は基本人間にとって危険な存在であるという事を実地で学んでいてちゃんとわきまえて行動するが、そういうのが全く頭にないお花畑のアホの子やアホの大人が、かわいいとか映えるとかいう自分の欲望だけで何も考えずに食べ物をやってしまう事例は、国を問わず存在するからな。
水辺を過ぎると、今度はこんな感じで林が続く。
涼しくて爽やかで良い感じだが、やっぱり人が多い。
川に根元を浸食されて倒れている木も見る。
結構野生の川なんだな、梓川って。
途中いろいろ眺めたりしながらなので、1時間半ほどかかっただろうか。
ようやく奥宮に到着した。
ご神体で嶺宮のある奥穂高岳の山頂を、ここから遙拝する。
明神池と岸辺の笹を食べるサル。
α6000持ってきて良かったわ。コンデジじゃこんな雰囲気ある写真撮れなかった。
さて目的も果たしたしホテルに戻ろうか。
距離が4キロほどあるけど……マメを無意識にかばって歩いているのか、足の疲れがちょっと小休止したぐらいじゃ取れなくなってきてるけど。
でもやるしかないので頑張る。
カケスがいた。
明らかにこちらに気付いていて、カメラを向けると近くの木の後ろにすっと入ってしまう。
でもちょっと位置を変えるとすぐ見えるので、移動してまたカメラを構えると、また近くの木の後ろにすっと入って隠れたつもりでいる。
頭が良いのか悪いのかわかんないな、この鳥。
山中なのに、地面はこんな砂浜みたいな白砂になっている。
このあたりは花崗岩でできているのだが、花崗岩は脆くてすぐ砂になるので、こういうちょっと変わった風景になるらしい。
確かにこれだと少し川に浸食されたら木も倒れちゃうな。
本日4度目のサル。
もう珍しくもなんともなくなっているが、2匹の子ザルが人目もはばからず取っ組み合いをしているのがかわいかった。
この後、おっさんみたいに倒木に腰掛けてこっちを眺めるオスザルにも遭遇するが、こっちを見ている個体はちょっと恐いので写真は撮らなかった。
それでも土産物屋に寄りながら1時間半ぐらいでホテルにたどりついた自分を、ちょっと誉めたい。
で、今日の予定はこれで終了ではない。
夕食後の20:30から、近くのホテル(といっても徒歩20分)で行われるネイチャーツアーのナイトウォークに参加するのだ。
ホテルまでは当然歩いていくのだが、なにしろこの上高地、環境保護のため街灯というものが全くない。
さらに、クマ等の対策のため、夜間は人は外になるべく出ないように言われている。
「暗いですよ、本当に暗いですよ!」とホテルの人に心配されたのだが、たまたまこの日が曇りがちの半月だったのと、途中にいくつかホテルや建物の窓の明かりがあるので、懐中電灯さえあれば思っていた程真っ暗感はなかった。
逆に言えば、動物と足元にさえ気をつければ、むしろ人間の不審者や犯罪者に遭遇する可能性がない分、懸念要素は少ないのではないか? という気もちょっとしたりして。
夜の河童橋。
iPhoneで撮ったら美麗補正されてしまったので、見たとおりに修正し直すのがちょっと大変だった。
これでもまだ実際より明るい。
ナイトウォークの内容は、夜の自然探索路を1時間ほど歩いて、夜の林を体感しようというもの。
ガイドの人を含め数人で懐中電灯を使いながら行くので動物の類いは気配を消して隠れてしまうが、それでも静かな中にカジカガエルやフクロウの声が聞こえてくる。
昼間行った川と立ち枯れ林。これも相当明るいのを修正しきれないでいる。
面白かった!
夜のホテルの往復がちょっと大変だけど、それも含めて夜の上高地を体感できる、すごくいいツアーだと思う。
ただ、何かにつけてギャーピー金切り声を上げるたちの人はやめた方がいい。