サーラル大災難

 チャンドラに噛まれてサーラルが入院した。

 事の起こりは、サーラルがチャンドラのカゴの上に行ったことからだった。
 サーラルがカゴの上を走り回ってもケンカにならないように、サーラルが出る時他のマメたちのカゴの上にはタオルや布をかけてある。この時もそうしてあったのだが、そのうちサーラルはチャンドラのカゴの上からタオルのない側面に伝い歩きを始め、そこにいたチャンドラに無防備な足指を思いっきり噛まれてしまったのだ。
 人間様のところに逃げ戻ってきたサーラルの足は、ちょっと血が出てはいたものの、爪を深く切りすぎた時の方がよっぽど多いという程度の出血量だった。なので、まあ傍若無人なサーラルにはいい薬になっただろう程度に考えてそのままカゴに戻した。
 が、止まり木に止まる様子を良く見ると、爪がありえない方向を向いている。
 ぎょっとしてピリカでおなじみの動物病院の緊急外来に連れていったところ、指先がちぎれかけていて、恐らく切断しないとならないだろうということだった。
 どうやらチャンドラは一切の手加減なく、最初から仕留める気満々で行ったらしい。
 長門には噛まれないよう普段から注意していたが、まさかマメルリハ同士でここまでの傷を負わせるとは思わなかった。ふぶきやフェデフルールも時折サーラルの足を噛んでいるが、ちょっとびっくりするか、せいぜい数時間足を引っ込めて静かにした後けろりとしている程度だった。
 もしかするとふぶきを始めとする手乗り組は、手加減してやっていたのだろうか。
 だとすると、これも手乗りと荒鳥の差なのだろうか。

 そしてサーラルはとりあえず一晩入院して様子を見た後、精密検査をして手術になる。
 1本指先が不自由でも生活に何の問題もないことは、ブロッサム、通称ちびころで知っているが(実はブロッサム、通称ちびころも、子供の頃ヤンチャで怪我したのがもとで、1本爪が正常にのびない指があった)、巣立ちしたばかりでこんな風にしてしまったのが申し訳ない。
「自然界では良くあることですよ」と獣医さんから妙な慰めをされてしまったが、治療用のケースの中で、自分が置かれた状況が理解できなくてきょとんとしているのがかわいそうだった。


 でもチャンドラは悪くないからね。分かってるよ。

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