奈良の花とニワトリと

 奈良に来ている。
 飛鳥の石舞台古墳が見たくなったのだ。
 幸い、2月から続いていた乳がんの治療も、放射線治療まで完了して余裕ができたので、じゃあ一人快気祝いに行こうかなとなった次第。


 というわけでまず長谷寺にやってきた。

 前にも1度来ているのだが、丁度5/7まで長谷寺は牡丹祭りをやっているらしい。
 長谷寺は別名「花の御寺」と言われるほど、季節の花々が有名なのだという。つまりこの牡丹祭りも見事なのではないか。
 よし行こう。
 前の時は途中で與喜天満神社に寄って階段を100段以上上ってしまったために、へろへろになりながらようやく参拝したのだが、今回は與喜天満神社はあきらめて長谷寺に直行した。
 なので体力は満々。


 でも牡丹ほぼ終わってた。
 階段に添ってびっしり植わっているので、盛りの時は相当見応えがあったと思われる。


 かろうじて階段のディスプレイで祭りっぽさを頑張っている。


 でも一面の新緑はそれはそれで爽やかで楽しい。


 牡丹は終わっているけれど、それ以外の花はあちこちで咲いている。
 さすが「花の御寺」だけのことはあるな。


 オオデマリと咲き残りの牡丹。
 花の中央の黒いのはミツバチ。


 なぜかここだけ傘を差されて大切にされていた牡丹たち。


 天気はいいし風は爽やかだし、いい気持ち。
 ただ日差しがめちゃくちゃ強くて、日なたにいると暑くてたまらない。

 丁度本尊の10メートルを越える観音様を間近で見れる特別拝観をやっていたので拝んできた。
 さて、次は室生寺に足を伸ばしてみることにしよう。
 前回は交通事情が微妙だったので行かなかったが、今回はゴールデンウィーク限定で、長谷寺と室生寺の間を直通バスが運行している。
 本数は30分に1本だし、最終は14時台だし、山また山を越えていくので45分ほどかかるが、バスに乗ったら後は勝手に連れて行ってもらえるのはありがたい。


 途中下車して室生龍穴神社にも寄ってみた。
 バスも通るような道路のすぐ近くなのに、うっそうとした杉の森の中にあるためか人里離れた感が半端ない。


 本殿。
 その名の通り竜神を祀る神社で、奥の院は龍穴と言われる岩窟。
 ただし車でないと往復1時間弱かかるので、今回はあきらめた。


 龍穴神社から歩いて10分ほどで室生寺に到着。
 ここはシャクナゲ寺のようで、あちこちにシャクナゲの木がある。


 でもやっぱりほぼ終わっていた。
 まあ今年は春の気温が高かったし、しょうがないね。


 確か弥勒堂。
 ここも長谷寺と同じように、山の斜面を使って伽藍が作られている。
 なのでお参りするにはせっせと階段を上っていく必要がある。


 ……そんな高度差があると思わないんだけど、上の方に来るとまだ結構シャクナゲが残っていた。
 日当たりとかが関係するのかな?


 五重塔とシャクナゲ。


 奥の院への階段。
 実は400段以上あるのだが、そのへんの事前知識を全く持たないまま気軽に上り始めてしまった。
 しかもこの階段、途中で割と折れ曲がっているので、下からだとどのぐらい続いているのかが分からないのだ。
 結果、ふと上を見て絶望する事になる。


 なお上から見るとこんな感じ。
 まだまだこれで半分ぐらい。


 なんか奈良に来るたびそんなつもりはなかった階段を上っているような気がする。


 着いたどー!
 こちらは空海(室生寺は真言宗)の像を祀る御影堂。
 一見新しく見えるが、作られたのは鎌倉時代。


 こちらは位牌堂。多分歴代の住職の位牌が納めてあるんじゃないかな。
 一見普通に見えるが、実は崖っぷちに建っているので……。


 下から見るとなんという清水の舞台。

 この後、また400段の階段を下りて例によって膝をやられたり、帰りのバスに乗り遅れそうになって走る羽目になったり、ひたすら体力を消耗し続けたのだった。


 山は野生の藤が盛りらしく、あちこちで見かけた。
 さわやかで柔らかい色合いなので目に楽しいのだけれど、藤って他の木を絞め殺す害木なんだってね。
 確かに、藤が絡みついている木は枯れたり元気がなかったりする木が多かった気がする。

 でもまだちょっと時間があったので、最後に天理にある石上神宮(いそのかみじんぐう)に寄っていくことにした。
 それほど大きな神社ではないが、創建は物部氏にまで遡る日本でも最も古い神社のひとつ。
 ただ、適当なバス便がなくて駅から歩いて30分ほどかかるため、今回も金で時間を買うことにしてタクシーを使った。
 道中、運転手さんが宗教都市天理の施設なんかをいろいろ教えてくれて、なかなか面白かった。


 石上神宮着いた。


 境内にはニワトリやチャボがたくさんいる。

 どうも、近所の人が持ち込んだ捨てニワトリが増えたらしい。
 勝手気ままにあたりをうろついているが、人慣れしていて近づいても全く逃げない。


 カメラ目線をしてくれるニワトリ。


 シャモもいた。
 気が荒いのか1羽だけ社務所の敷地に隔離されていたが、カメラを向けたら堂々たる足取りで近づいてきた。


 コケコッコー!(ドスがきいている)


 中ビナもいた。


「なんか若冲みたいですよね」とそのへんの見知らぬ人と盛り上がった立派なニワトリのつがい。
 かわいがられているらしくて、どの鳥も毛艶はいいし丸々していて顔つきもおだやか。
 でも良くケンカはしている。


 ひとしきりニワトリとたわむれた後で、ようやく本来の目的を思い出して参拝に向かった。
 神社にこういう門ってちょっと珍しいような気がする。


 拝殿。
 本殿はこの奥の禁足地の林にあるので、見ることはできない。


 さてお参りも済ませたから、またニワトリを見るぞ。
 小屋の中にもみっしりいる。
 しかも小屋は合計3つある。
 ……一体何羽いるんだこれ。


 手を出したら何かもらえると思ったのか、一斉に寄ってきてしまった。
 ごめんよ、悪かったよ。


 きれいなニワトリ。


 黒目がちの瞳がかわいいニワトリ。

 もういつまでもまみれていたかったのだが、タクシーを待たせているので後ろ髪を引かれる思いで現場を後にした。
 やっぱりニワトリ飼いたいなあ……烏骨鶏とか。

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