まあ鳥つながりということで。
13日に『はやぶさ』が地球に帰還した。
個人的には、これはアポロ13号や、事故また事故に見舞われながらも10年以上運用を続けたミールに匹敵する快挙だと思うが、今回の熱狂には、実際の所かなり困惑……はっきり言うと、気持ち悪いものを覚えていたりする。
当初『はやぶさ』が注目されていたのは、度重なる不測の事態にも、なんとか解決策をひねり出してしまうJAXAの技術者のとんでもなさだった。
JAXAの変態力動画はあれは私も大好きで、時々見ている。
が、突入が近付くにつれ、ネットにはなぜか「はやぶ君さがんばれ!」「はやぶさ君おかえり!」「はやぶさ君お疲れ様!」と、まるで『はやぶさ』を同じ人間とみなしているかのような声があふれるようになっていき、果ては大気圏突入の光を見て悲しくて号泣したとか、祈ったとか、まるで『はやぶさ』自身が意志を持って数々の危機を乗り越え、満身創痍で地球にたどりつき、そのまま息絶えたかのような雰囲気になっている。
余談だが、とある新聞では、『はやぶさ』のカプセルが着地した場所を“聖地”と称しているらしい……。
いや、頑張ってるのはJAXAの人たちなんだけど。
讃えられ、お疲れ様と言われるべきはJAXAの人たちなんだけど。
一体なにが起こってるの?
見ていると、『はやぶさ』の奇妙な擬人化が顕著になりだしたのは、Twitterでのなりきりツィートからのように見える。
擬人化が悪いとは言わない。むしろ、とっつきにくいものに親しみを抱かせるのには良い方法だと思う。
が、擬人化で作り出されたキャラクタ-が一人歩きを始めると、今度は逆に、その背後にある物事の本質が見えなくなってしまう。
今回、はやぶさ君にお礼を言い、別れを惜しむ声は多いのに、7年にわたって『はやぶさ』を支え続け、本来は主人公であるはずのJAXAの人たちに対する声が驚くほど少ないのも、『はやぶさ』の擬人化が一人歩き、というか暴走した結果、そういった本質が見えなくなってしまったからではないだろうかと、そんな気がしている。
『はやぶさ』のカプセル収容も完了した今、いつまでこの熱狂も続くのか分からないが、願わくばこれをきっかけに、少しでも多くの人が日本の宇宙開発に興味をもってくれればと思う。
『はやぶさ』に関する奇妙な現象
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