女王とインドの青年の映画見てきた

「ヴィクトリア女王最期の秘密」を見てきた。
 老いて人生に疲れたヴィクトリア女王と、誠実で明るい植民地インドから来た従者の青年アブドゥルの友情物語かと思いきや、全然そんな話じゃなかった。また予告とサイトが華麗にミスリードを誘ってきているパターンだった。
 かといって、立場を忘れてハンサムで優しいインド人の青年に傾倒する愚かな女王と、その好意に立場を勘違いしていく青年の話とも、女王におべっかを使い、好意を利用して青年が恵まれた暮らしを満喫する話とも違う。どうもいまいち解釈が分からなかったので、後で調べてみた。

 すると、晩年の女王がインドにかぶれ、アブドゥルを「ムンシ(先生)」と呼んで寵愛していたのは、歴史的に知られた事実らしい。
 当然ながら、大英帝国の女王が植民地の青年に入れ込むなどスキャンダル以外の何物でも無いので、女王の死後、息子のエドワード7世は、女王とアブドゥルの間に交わされた書簡を全て焼却した。
 が、近年、女王自身がアブドゥルから学んで書き残していたウルドゥ語のノートが翻訳され、また、アブドゥル自身の日記が見つかったことで、これまで、卑しい身分の有色人種でありながら女王に取り入ったずる賢いアブドゥルと、ハンサムで優しい青年にのぼせあがって周囲の忠告も聞かず暴走した女王という見方とは違う、身内とも疎遠な孤独で寂しい女王と、個人的な思惑や欲はもちろんありつつも、老人の寂しさを無邪気に埋めてあげようとするアブドゥルの間に、疑似親子ともいえる関係があったという解釈が生まれ、それが今回の映画になったということらしい。
 なるほど。

 まあとりあえず、予告で見せてるほどロマンチックな映画ではないことは確か。
 特に後半の、アブドゥルをめぐる女王対王族王室職員連合軍の正面からの殴り合いとか、はっきり言ってゲスすぎて、こういう話を見るつもりじゃなかったはずなのに、なんだろう? と思いながら見ていた。


 我が家の今は亡き女王と女王に迫る青年の図。

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