なくした物が住む場所を歌う映画見てきた

「メリー・ポピンズ リターンズ」を見てきた。
 とりあえず、冒頭で凧につかまって降りてくるメアリー・ポピンズのつま先の開き方が秀逸。

 前作で主人公だったマイケルは大人になり、3人の子供達に主人公の座を譲っている。時代は大恐慌。ガスの普及により煙突掃除のバートは姿を消し(世界を回っているらしい)、かわりに登場するのはガス灯点灯夫のジャック。ブーム提督は車椅子のよぼよぼおじいちゃん、公園番はいい年のおっさんにそれぞれなっている。
 非常に良く練られた脚本を、いい役者ががっつり演じ、技術、演出全てにおいて、持っている最高の物を惜しみなくつぎ込んで作り上げている。何というかディズニーの本気を見せられた感じ。
 ディズニーはやれば出来る子なのにアナ雪とかなぜあんなになっちゃったんだろう……。

 もともと「メリー・ポピンズ」は、作者のトラヴァースが渋りに渋るのをウォルト・ディズニーが14年かけて口説き落として全力で制作したのだが、トラヴァースがあくまで子供を中心に回るおとぎ話として描いていたものに大人の世界の世知辛いエピソードを盛大に盛り込んだため、試写会でこんなひどいの私の作品じゃないとトラヴァースに泣かれたらしい。
 今回もストーリーの中心は父親であるマイケルの借金問題で、子供達はそれに振り回される立場でしかない。メアリー・ポピンズは子供達をいろいろなおとぎの世界に連れていくが、それはストーリーとはほぼ関係が無く、父親の借金という「現実」と子供達が対決しようとする時、彼女は姿を消してただ傍観しているしかない。そういう意味では、原作と比較するとかなり違和感はある。
 それでも、ひとつの作品としての完成度は非常に高いし、単純に見ていて楽しい。
 個人的に驚いたのは、アニメとの合成シーンはCGではなく、全て手描きのフルアニメだったということ。やっぱディズニーはやれば出来る子……。


 オウムの頭の柄の傘はインコオウム好きの憧れ。

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