平城京で鳥三昧

 突然だが奈良に来ている。
 実は11月に京都と奈良の自衛隊の基地や駐屯地を回る研修をする予定だったのだが、災害派遣がかさんだために中止になってしまった。
 もともとついでに観光地を見るつもりでいたので、この際自分で奈良旅行をしてしまおうと思った次第。
 奈良なんて小学生の頃家族旅行で東大寺に行ったっきりだな。
 この辺の歴史は割と学期の最初の頃にやるから、むしろ京都より覚えていることは多いのだが。


 というわけで、とりあえずは無難な法隆寺にやってきた。
 着いたのは朝9時半頃。平日なのであまり人もいないだろうと思いきや、10時を過ぎたあたりから小中学生の遠足や修学旅行とおぼしき団体が陸続とやってきて、あっというまにあたりが制服や黄色い帽子に埋め尽くされてしまった。
 まあでもみんな行儀が良いし、ガイドさんの説明をさりげなく立ち聞きして楽しんだりとかできたから面白かったけど。


 金堂。教科書でおなじみの面長の薬師如来像がある。


 大講堂。よくわからない。


 日本最古の五重塔。


 秋に咲く十月桜と紅葉のコラボ。
 急に寒くなったので結構あちこち赤や黄色になっていた。


 寺と紅葉。


 松のてっぺんで一生懸命何かをやっていたカラス。


 日本最古の門。
 日本最初の寺だから当然といえば当然だが、法隆寺にはこういう「日本最古」が無造作にあちこち転がっている。


 鬼瓦かっこいい。


 寺と紅葉。その2。


 聖徳太子の供養のために建てられた夢殿。
 たまたま秘仏の救世観音を公開していて見ることができた。


 ここは法隆寺ではなく、聖徳太子のお母さんに由来する中宮寺。
 もともとは違う場所にあり、1度絶えたがその後今の場所に再建されたらしい。
 本堂は水の上にある珍しい形だが、行った時は掃除中で水が抜かれていた。
 ちなみに、ここの本尊も教科書でよく見る頬に片手を当てた菩薩半跏増。


 寺と紅葉。その3。

 ううむ……なんだろう。思ったより感動はなかったな。
 なんというか……僧侶の姿が全くなくて、受付とか案内とか整備とか、いるのがボランティアのおじさんおばさんばっかりなのですよ。
 一応、聖徳宗という宗派の現役の総本山ではあるのだが、生活臭のない観光地を見ているみたいな感じに見えちゃったのかもしれない。

 それでも結構ぐるぐる回って次の目的地、唐招提寺に行こうとしたのだが、地図を見たら歩いて10分ほどの所に藤ノ木古墳があったので足を伸ばすことにする。
 ここは盗掘を全く受けず、豪華な副葬品がそのまま、しかも人骨とセットで見つかったという希有な古墳なのだ。
 せっかく来たんだからひとつぐらいは有名な古墳も見ておきたい。


 斑鳩っぽい雰囲気の写真。
 斑鳩という地名は、一説によれば鳥のイカルが多いかららしい。


 そして藤ノ木古墳。
 えぇ……。
 いや、作られた当初は確かにこんな感じだったのだろうけど……なんか思ってたのと違う……。

 そして、中に入ることはできないが、出入り口のガラス窓から中がのぞけるという。
 人が近づくと自動で中に照明がつくとのことなのだが、なんと照明が故障中で見えるのはほぼ暗闇。ひたすら見てると遠くに微妙に常夜灯みたいな小さな明かりがあるっぽいぐらいしかわからない。
「ガラスに顔を近づけて目をこらし、闇に目を慣らしてご覧ください」とか書いてあるが、そんな10メートル先の闇を見通すとか超人的な能力はないので、カメラのF値に頼ることにする。
 行け、G9X!


 行った!
 G9X頑張った!

 もっとも、副葬品とかは全部近くの資料館に移されてるんだけどね。
 そこを見てから、改めて唐招提寺に向かうことにする。


 法隆寺から唐招提寺まではバスで40分ほど。
 途中の道路を歩いていたセキレイ。


 唐招提寺の駐車場のあたりにボンネットバスが停まっていたが、なんだろうか。


 唐招提寺。これも教科書で有名な鑑真座像があるお寺。
 普段は公開されてないけれど。


 金堂。


 数々の伽藍からはずれた奥のほうに、ひっそりと鑑真の墓(御廟)がある。


 苔が美しい墓への小道。


 墓。
 あの鑑真がここに葬られているわけですよ。
 教科書でしか知らなかった鑑真とここで向き合ってるわけですよ。
 なんかすごい。


 そんな感動にひたりながら墓の周りを回ると、墓を囲むように作られた池にはカルガモがいっぱいいいた。


 御廟を出て境内をぶらぶらしていたら、すぐ近くまでやってきた鳥。
 調べたらマヒワのメスみたいだけど、あまり人を怖がらないのか、カメラを向けても結構な時間ちょろちょろしていた。


 なんかの建物。
 実はここも僧侶の姿を全く見かけない。
 律宗という宗派の総本山ということなのだが、観光向けの運営は外部やボランティアに任せて、お坊さんたちは本業である修行に集中しているということなのかな。

 そんなわけで、法隆寺と違って感慨にふけりながら唐招提寺を後にしたのだが、この時点でまだ15時過ぎ。
 もうちょっと法隆寺の近所の寺とか神社とか回れば良かったと思いつつ、奈良国立博物館で正倉院展が今日までだったのを思い出した。
 ネットで混雑状況をチェックすると、行列はなし、快適にご覧いただけますということなので、行ってみよう。


 そして現地で、入場料1,100円がなんとご即位記念で無料ということが判明する。
 しかも確かに並んでいない!
 これはもしや超ラッキーな可能性?

 ……結論から言うと、上野の「正倉院の世界展」より若干ましという程度だった。
 まあ、辛抱強く待っていればそのうち前が空いて最前列で見れるので、そういう意味ではそれほど悪くなかった。


 とりあえず鹿撮っておくか。
 鹿ってたてがみがあるのね。

 しかし奈良、想像以上にボリュームがある。
 名所と名所の距離がそれほど離れていないので回るのは割と簡単だが、何しろ数が尋常ではない。
 多分これ、きちんと見ようと思ったら1週間ぐらいいる覚悟でないと駄目だわ。

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