他のマメはみんな自分より格下だと思っているサーラル。何かというとカゴの上にわざわざ行って威張り散らさずにはいられない。
案の定、しっぽ(仮)のカゴにも行き始めた。
ひすい達他のマメどもはもうサーラルが来たぐらいではびくともしないが、まだ経験値の少ないしっぽ(仮)はびくびくしている。
まあ上に乗ってるだけで何をするわけでもないから、慣れなさい。
昔チャンドラにそれやって、足の指を食いちぎられた事はもうきれいさっぱり忘れてるんだろうな。
「こんにちは、マメルリハ、ターコイズパステルライラックパイドの男子、しっぽ(仮)です」
「ターコイズとは、青系のマメの額や翼など、一部分に黄色や緑色が出たものです。
良く分かんないけど、本来青系マメでは抜けるはずの黄色の遺伝子が不完全に残った突然変異じゃないかな」
「ターコイズは人気がある色なんだけど、僕は12月に生まれて今日までずっと売れ残ってたんだ。
原因は多分このしっぽ。何かあって抜けちゃったのか奇形なのか分からないけどなくなっちゃっててかっこ悪いんだよね。だから仮名もしっぽにされちゃった」
もう鳥は買わないつもりだったのだが、ショップのサイトで写真を見てつい購入してしまった。色名が長い。
ショップでは、店員さんがカゴに手を入れるとおびえて逃げ回るので、大丈夫かコイツと思ったのだが、家に来たら他のマメどもの姿を見て安心したのか、普通に寄ってくるようになった。
なお、カゴはサムドラのために買ったもの。結局使わずしまっておいたのを、改めてデビューさせた。
しっぽは、ヒナの時の写真を見るとちゃんとあるので、事故か何かで抜けた可能性もあるとは思っているのだが……まあ繁殖するわけじゃないからしっぽのひとつやふたつなくても構わないんだけど、病気だと困るから病院では診てもらおう。
カメラを向けると金網に貼り付いてくるので、同じ写真しか撮れないティカル。
コミュニケーションする相手が人間だけだからか、ティカルは結構多彩な人まねをする。
このあたり、成長期を同じコミドリと過ごして、鳥の鳴き声を基本的な言語として学習したセノーテとは違っている。
その中でも、お気に入りっぽくて良く口にする定番の言葉はいくつかある。その中の一つが「アレクサ」。人間様がECHO Dotに命じるのを聞いていて覚えてしまったものだが、発音しやすいらしくて何かというと「アレクサ」と言う。
そして恐ろしい事に、ECHO Dotの側も、自分の名前と認識した単語の聞き取り機能を学習、最適化させているらしく、いつしかティカルが「アレクサ」と言うと青く反応し、ついには何やら返答し出すようになった。
なので最近はECHO Dotを使わないようにしている。これ以上双方が学習を重ねて会話が成立するようになると大変なので。
それからもう一つ良く口にするのが「ぽぽちゃん!」という呼びかけ。
ただ、我が家にはぽぽちゃんなどという名前の存在はいない。多分、何か別の言葉を誤って覚えて、そのまま定着してしまったのだろうが、いつもものすごく確信に満ちて「ぽぽちゃん!」と呼びかけてくるので、つい返事をしないといけない気になってしまう。
映画「教皇選挙」を見てきた。
もともとそれほど注目されていなかったんだけど、まさかのリアル教皇死去で一躍話題になった映画。本来の公開が3月半ばで、この時期はもう終わっている上映館も多く、やっていても上映回数の設定が少なくなっている。そのせいかこの映画だけ満員だった。
しかもパンフは品切れ中で、入荷がいつになるか分からないとのこと。
「教皇選挙」の原題は「CONCLAVE」。そのまま「コンクラーベ」でも日本では通用するところをあえて「教皇選挙」としたことで、コンクラーベが宗教行事などではなく、まさしく駆け引き、欺き、蹴落としなんでもありの「選挙戦」である事がうまく表現されていると思う。
内容はぶっちゃけると、カトリックの偉いおっさん達が、教皇の座を巡ってすったもんだやってるだけなのだが、コンクラーベを仕切る重責にピリつく首席枢機卿のローレンスがかもしだす固い雰囲気がそのまま画面を伝わってくるので、一体どうなることかとハラハラする。
派手なアクションはほとんどなく(1回爆破テロが発生するぐらい)、ほぼ全編おっさんたちが歩いたり座ったり、話し合ったりしているだけなのだが、それでいて状況がめまぐるしく変わっていく。嫌々派閥から押し上げられた人が、根回しがうまくいかず得票が伸びないと途端に得票できないのはお前が悪いと噛みついてきたり、有力候補が過去の過ちを引っ張り出されて失速したり、それを仕掛けた側が証拠を掴まれて自滅したり、死んだ先の教皇が残した思惑の謎も絡んで、一体次は誰が何をしでかすのかと目が離せない。
そして、最後に誰もがその清廉さと誠実さを認めて教皇に選出したのが、実はカトリックの聖職者として最も不適格な人物だった(信仰に忠実であるが故に不適格となる道を選択していた)といううっちゃり食らった感半端ないラストは、若干尻切れトンボな感じはするものの、確かに、この先までやっちゃうと、見る側に残る印象が制作側が意図するものと違ってきちゃうというのはあるんだろうな、というのはあった。
そういえば昔に見た「ローマ法王の休日」も最後はぶつ切りみたいな終わり方してたな。あれは、あそこから先をあえてやっても意味はないというのがあったんだろうけれど。
とりあえずパンフどうしようかな……買うためだけに映画館行くのもめんどくさいな……。
最近、サーラルのくちばしが元に戻ってきた。
写真を撮りたいだけで遊んであげるわけじゃないから、そういそいそ出てこなくていいよ。
写真が荒いので分かりにくいが、真ん中あたりの表面がちょっと剥けてるっぽいあたりで、くちばしの質がはっきり変わっている。
以前はくちばし全体が先端に近い感じで、黄色っぽくガサガサした貝の化石みたいな質感だった。が、ここ数ヶ月、伸びてくる部分が他のマメどもと同じようなピンク色でつやつやしたくちばしになっている。
下のくちばしの変化はもっと顕著で、気付いたらほぼ正常に戻っていた。
ちょっと嬉しいので、遊ぶついでに何かとくちばしを触ってみては、サーラルに怒られている。
肝臓の障害そのものは生まれつきなので、一生薬は飲み続けなくてはならないだろうが、このままくちばしは良くなってほしい。
日常生活に支障がないとはいえ、やっぱりちょっと不憫だしね。
国立科学博物館の「古代DNA」展に行ってきた。
……の前にサンシャイン60でやっていた「オーキッド&ボタニカルフェア」へ。
欲しいランがあったのだが、まだ育成中との事で出品していなかった。
でもなんやかんや買ってしまった。
さて、楽しくランを買ったのでDNA展へ。
田町の工事で一部路線が運休しているので、利用者も少ないだろうと思ったら、運行区間もダイヤが10分に1本ぐらいに間引きされていたのでむしろいつもより混んでいた。
到着したのが16時半ぐらい。
土曜日は19時までやっている。
結構じっくりみるつもりだが、2時間半もあればさすがに大丈夫だろう。
アフリカから6万年かけて世界中に広がっていった人類。
こうやって見るとすごいなあ。何が人々をそこまで前に進ませたんだろう。
今回話題の石垣島の白保人骨。2万年前の日本最古の日本人(多分)。
復願もあったのだが撮り忘れた。あー沖縄にこういう顔立ちの人いるわって顔だった。
この間のサイエンスゼロではすごい大盛況! みたいな話だったので、覚悟しながら行ったのだがめちゃくちゃすいてた。
でも17時を過ぎたら、閉まった動物園や美術館から流れてきたとおぼしい人達で混み始めた。
礼文島で発見された縄文人の女性の頭骨。
これをDNA分析で外見的特徴を再現して復願すると……。
こうなる。あれ? 割と美人じゃない?
くせっ毛で目の色は茶色。肌にシミができやすく酒に強かったらしい。
6000年前の人形頭部、とのことだけど……。
……この顔さあ、多分死んだ人の顔を写したものだよね……。
とその中で見つかった新生児の骨。
家の前に埋められていたらしい。やっぱり寂しくないようにかな。
シャチの土器。かわいい。
5000年前には日本近海にシャチがいたのか。
弥生時代になると、朝鮮半島から渡来人がやってきて、混血と文化の流入が激しくなる。
縄文系の弥生人男性と、それより600年ほど後の渡来系の弥生人女性の頭骨比較。こうやって見ると結構違う。
でも縄文系の男性が朝鮮半島に由来する墓に葬られていたり、渡来系の女性が縄文の文化を色濃く残す葬り方をされていたり、まあ要するに隔てなく暮らしていたということらしい。
ここからは古墳時代。4世紀に水銀朱をかけられて埋葬された女性。
虫歯がひどくなりすぎて、顎の骨まで一部溶けていた。こわい。
古代人は割と虫歯の人が多いんだけど、そんな糖分取るような環境じゃないのになんでだろう? 衛生状態が良くない上に歯を酷使してエナメル質がすり減るから、ちょっとしたことでひどくなるのかな?
三浦半島の海蝕洞穴(波の浸食などで海沿いにできた洞穴)遺跡で見つかった骨製品。
実は三浦半島には、縄文前期から中世期まで40ヶ所以上の海蝕洞穴遺跡があり、内容も作業場跡から墓地まで様々な物が出土している。
行ったことないけど。
犬と猫の歴史もあった。
これは各地に残されていたニホンオオカミの頭骨。
最近DNAが抽出されて話題になったニホンオオカミの歯の根付。
上野動物園にいたというニホンオオカミの剥製。
頭でっかちに見えるのは、頭をこちら側に曲げているため。
縄文時代の犬の復元。シュッとしていて今の日本犬とかなり違う。
この頃の犬は日本で遺伝的にほとんど孤立状態にあり、アジアの古い犬の形質をそのまま残しているんだとか。
弥生時代になると、犬にも縄文系と、朝鮮半島から連れてこられた犬と混血した渡来系が出てくる。
手前の黒いのが縄文系、奥の茶色いのが渡来系。
骨だと結構違いがあるが、肉と毛皮がつくと良く分からない。
ネッコが乾いていない土器を踏んで足跡をつけてしまったもの。猫あるある。
実は今の日本猫は、平安時代に中国から入ってきた猫がルーツで、それ以前の事は良く分かっていないらしい。なぜなら、猫の骨はヤマネコなどの野生種と飼育種で骨に違いがなく、遺跡などで見つかってもどっちなのか判断できないからなんだとか。
そういう意味では犬も野犬と飼い犬の区別がつかなそうだが、こちらは食べていた物とかが明確に違うっぽい。
沖縄などの南方と、アイヌなどの北方については、特にコーナーが分けて展示されていた。
これは縄文時代の沖縄と九州の貝殻などの交易路。沖縄の貝で作る腕輪が九州で珍重されて、わざわざ航路が拓かれたらしい。
あの時代にこんな壮大な航路があったのか。すごいな。
これが話題の貝腕輪。
今ではこんな白くてガサガサになってしまっているが、イモガイもゴボウラも複雑な模様があったりつやつやピカピカしていたりで、これを身につける事は当時の人的には最先端の映えるオシャレだったんだろう。
ここにもイモガイの腕輪。何年も、もしかすると何十年、百年以上もかけて人の手を渡り、北海道にもたらされた、あの沖縄のイモガイ。
割とすいていてじっくり見れたからでもあるけど、DNA解析がブレイクスルーになって、どんどん古代の日本人像が変わっていっているのがとても面白い。
また10年後ぐらいには何か判明しているのかなあ。楽しみ。