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秋の星空を見る旅

 10/5、6と、新穂高ロープウェイの「星空鑑賞便」に参加するツアーに行ってきたので、後追いでアップします。

 新穂高ロープウェイは、岐阜県の新穂高温泉を出発する1、第2の2本の路線で構成されるロープウェイで、乗ると標高2156メートルの場所から、穂高連峰を一望できる。
 このロープウェイが、春と秋の月のない夜に行う特別運行が「星空鑑賞便」で、その名の通り、2156メートルの第2ロープウェイの発着場屋上から、全天遮る物のない星空を眺めようというもの。
 1度行ってみたかったのだが、このロープウェイ、また例によって、車のない個人が到達するのがなかなか困難な場所にある。
 バス路線もあるにはあるが、始発が飛騨高山からと、もうそこから関東人にはハードルが高い。そして何より、バスは夜には運行しない。従って、参加するには第1ロープウェイに隣接するホテルに泊まるというのが唯一の選択肢になるのだが、ここがまたそこそこ良いお値段がする。
 まあそんなわけで、いろいろ調べて無理だろうという事になっていたのだが、最近、なすどとか上高地とかの経験から、そういう風に行くのが困難な場所には、大抵どこかしらのツアー会社がツアーを組んでいることが多いというのに気付いた。
 で、調べてみたらやっぱりツアーがあったので、参加してきた次第。

 ところがこのツアー、旅行会社あるあるで、変な所に立ち寄りさせられる。
 まず、最終目的地は長野経由岐阜県なのにも関わらず、わざわざ山中湖に寄った。
 なんとかいう富士山が一望できるという公園なのだが、ちょっとした広場程度の所に草花が植えてあり、いくつかのお土産屋や地元の農家の青果販売が行われているだけ。
 さらにこの場所、駐車場に泊まっているのは全部外国人向けツアーのバスで、日本なのに日本語が全く聞こえないという(売店の店員も片言の英語で対応している)ものすごい事になっている。どうやら、外国人向けの近辺のツアーでは鉄板の富士山ビュースポットらしいのだが、なぜここに立ち寄る必要があるのかが全く理解できない。
 しかも滞在時間は20分だし。


 そして曇っていて富士山なんてまるで見えない。
 まあもともとこの日の天気予報は曇りとか雨とかしか出なかったしね。
 これは夜の星空も駄目な予感しかしないぞ。

 で、次に連れてこられたのがブドウ食べ放題。


 これを食う。

 数知れずぶら下がるブドウを自由に採って食べられるのだが、採れるのは1房単位で食べ放題の制限時間は30分(お手洗いや買い物に行きたい場合も含む)、食べきれなかったとしても圃場からの持ち出し禁止という代物で、みんななんとか自分が採った分だけでも完食すべく、ブドウ棚の下で1房のブドウを無言でひたすら食べ続けるというシュールな光景が繰り広げられた。
 まあブドウはおいしかったけど。

 と、謎の立ち寄りを重ねた上でようやくホテルに到着。早めの夕食の後でロープウェイに乗った。
 が、やっぱり天気予報の通りでというか、上空には雲が広がっていて星は全く見えない。


 雲海が下の新穂高温泉街の光で照らされて発光している。
 これはこれで珍しい風景っぽいが、今日見たいのはそれじゃない。


 時々下の発着場から、ロープウェイが出て行ったり入ってきたりする。
 これもこれでライトアップみたいできれいだが、今日見たいのはそれじゃない。

 そんなこんなで時間が過ぎ、もう売店で買い物でもしてようかなという気分になってきた時、突如雲が切れ始めた。
 そして見えたのは無数の星。


 わあ!


 星空はどんどん広がっていく。
 さすがに全天一面にというわけにはいかないが、それでも天頂あたりはほとんど雲がなくなった。


 天の川も出現した。
 雲と混じっちゃって良く分からない感じになってるけども。


 これは天頂付近。
 空を横切る天の川がはっきりと見える。

 これは全部iPhoneのナイトモードで撮っている。
 今回、実はα6000に新しく買ったシグマの広角レンズを付け、三脚まで持ち込んだのだが、いちいちセッティングするよりiPhoneを手すりとかに接触させて動かないようにしてナイトモードで撮る方が手軽で楽だった。
 明かりがないので落とすと二度と見つからないというリスクはあったけど。

 そんなこんなでしばらく星を楽しんでいたが、帰る時間が近づいたら、また元通りの曇りになってしまった。
 でも、絶対に無理だとあきらめていたので、見れて嬉しかった。
 次は全天を覆うぐらいの星空を見たい。

黒船で横浜クルーズ

 久里浜金谷フェリーの「黒船で行く横浜港特別クルーズ」に行ってきた。
 なんでも黒船来航170周年企画で、フェリーの1隻『しらはま丸』を黒船仕様に塗装して運行しているのだが、それに乗って久里浜-横浜港を往復する特別クルーズ。
 母親は横須賀市の広報紙で見つけてきて行きたいといいだし、つきあう事になった妹が誘ってきた次第。


 停泊中の普通仕様のフェリー、『かなや丸』。
 これが出港すると『しはらま丸』がやってくる。


 来た。

 それほど大々的に宣伝をしていたわけでもない感じだが、500人の定員は満員。
 ただ、『しらはま丸』のスペックを見ると、実際に乗船可能なのは680名なので、船内は座席も含めてかなり余裕があり、結構贅沢なクルーズだった。


 そして出港を撮り忘れたのでいきなり浦賀水道から。
 平日に比べて数は少ないが、それでもいろいろな船が通り過ぎていく。これを見ているだけでも楽しい。


 コンテナ船を追い越す。すごい積んでる……と思ったら、この後ブリッジが隠れそうなぐらい積みまくっている船がいくつも出てきた。


 第二海堡かな。


 猿島と米軍基地(クレーンが見えるあたり)と富士山。


 第一海堡かな。


 住友造船所と富士山。


 自動車運搬船と富士山。


 帆船『みらいへ』とすれ違った。
 前に写真で見た時には白かったはず……と思ったら、どうやら橋下徹が大阪市長だった時に事業廃止の憂き目に遭って、持ち主が変わったらしい。


『みらいへ』と富士山。


 後部デッキに行ってみたら、こんな解放感ある風景が広がっていた。
 もっとも吹きっさらしで直射日光と風が大変だったので、早々に退散したけども。


 実は横須賀を通り過ぎる時、米軍や海自の艦艇が撮れないかものすごく頑張っていたのだった。
 実は横須賀基地は浦賀水道航路からは見えにくい角度になっている上に、海上が霞んでいてなかなかうまくいかなかったのだが、タムロンの18-300mmを駆使してなんとか成功した。
 真ん中のあたりが米軍の駆逐艦、四角いのは消磁所で、かまぼこ形屋根の体育館っぽい建物の所にあるのはなんだろう、潜水艦救難艦かな……。


 浦賀水道を過ぎると、点々と沖留めしている貨物船が見えてくる。


 これは木更津の工業地帯。


 こっちはみなとみらい。


 オイルタンカーのすぐそばを通り過ぎる。


 製鉄所と沖留めする貨物船。


 ベイブリッジ。


 くぐりまーす。


 ベイブリッジをくぐるともう横浜港。
 ノースドッグに停泊する米軍艦艇。


 手前の青いのが海洋調査船『シーベンチャー』、次の2隻が音響測定艦『インペッカブル』、同じく『エフェクティブ』、奥が高速輸送艦『グアム』。


 音響測定艦は双胴型。海自の『ひびき』も同じ。


 これは米海軍のじゃないみたいだけど、委託を受けてるとかなのかな?


 横浜側は『氷川丸』。


 大岡川のあたりで回頭して来た道を戻る。


 海保の『さがみ』。


 大桟橋には『にっぽん丸』が来ていた。
 うーん、今見ると小さい船だなあ。だから横浜港に入れるんだけど。


 またベイブリッジをくぐって帰り道。
 行きに追い越した貨物船が入港していた。


 タグに押されて接岸中。
 祝日なのにお仕事ご苦労様です。


 自動車運搬船。イルカかわいい。


 引きにすると自動車運搬船以外もいくつも航路を通っている。


 お正月に鉄腕DASHで特集していた旧海軍の海中聴音所。意外と小さい。


 観音埼灯台。


 帰港。
 お疲れ様でした。

 うん、船見物を堪能してしまった。
 実は横須賀から横浜までなら、護衛艦の体験クルーズで何度か往復している。
 なので、航海自体はそこまで珍しい物ではないが、見られる船はその時々で全然違うので、何度行っても飽きない。
 あと久里浜金谷フェリーも10年ぶりぐらいだったのだが、その間に豪華かつ快適になっていて驚いた。


 ペリーは170年後に日本人の間で自分がこんなかわいいキャラクターにされる事を知っていたら、どういう反応をしただろうか。

恐竜と空母

 パシフィコ横浜の「巨大恐竜展」と横須賀に来ているイタリアの空母をハシゴしてきた。


 まずは「巨大恐竜展」。
 今回の売りは全長37メートルのパタゴティタン・マヨルムの骨格標本。
 パラリティタンなら知ってるけど、パタゴティタンは知らないな。近縁種なのかな……。


 入るといきなり全く恐竜ではないマンモス。


 恐竜もいる。


 なんか魚竜の頭骨。頭だけで3メートルぐらいある。こわい。


 右がガストルニス、左がエピオルニス。
 なんか漫才コンビみたいな語感。


 福井博物館にもあった動く模型も数体展示されている。これは頭がぐりぐり動くスピノサウルス。
 スピノサウルス好きなんだよね。
 この風体で魚が主食ってのがまた好き。子供に思いっきり恐がられてたけど。


 ティラノかと思いきや、祖先筋にあたる方だった。
 ティラノは後ろに頭骨だけ展示してあった。


 噂のパタゴティタン・マヨルム。確かに噂に違わずデカい。
 というか高い。腹の下とか普通に歩いてくぐれそう。


 足、そんなんでいいんだ……。


 木を手で押して倒してあげると食べ始める恐竜。名前は忘れた。


 アマルガサウルス。


 福井駅前にもいたやつ。フクイティタン。
 これも首をぐいんぐいん動かしていた。


 カマラサウルス。


 ……の頭骨とディプロドクスの頭骨の比較。
 ディプロドクスは櫛状の歯で植物をしごき取って食べ、カマラサウルスは幅広の歯で食いちぎって食べていたそう。


 このへんの鎧竜も福井で見たな。


 これも福井にあったパラサウロロフスのミイラ化石(のレプリカ)。
 正直実物と比べるとちょっと作りが荒い。


 みんな大好きトリケラトプス。

 特に尖ったところもなくて、無難にまとめてある感じだった。
 会期が夏休み中という事もあってか、子供が遊んだり操作したりしながら恐竜の事を学べるような展示が結構あった。
 大人が触っても面白そうだったのだが、どれも親子連れで大行列していたので諦めた。

 さて、恐竜は終わったし、イタリアン空母に行くか。


 左がイタリアン空母『カヴール』。右は随伴艦のフリゲート『アルピーノ』。
 前に来た『クイーン・エリザベス』は正規空母で巨大なため、米軍基地にしか泊められなかったけど、『カヴール』は軽空母で大きさも『いずも』と変わらない。
 なので、自衛隊のほうに停泊できている。


 もちろん軍港めぐりを予約してある。
 水曜日あたりにサイトを見た時は、まだ150名以上空きがあったのに、今日見たら全便満員。
 しかも1時間前に来てこの行列。
 客層もこう、いつもの観光客然としたグループや家族連れではなく、独特のバッグとファッションとカメラの似たような雰囲気の男性ばかり。


 出港してすぐの『カヴール』。
『クイーン・エリザベス』と同じスキージャンプ式。あと後ろに戦闘機がずらりと並んでいる。
 米軍の空母は搭載戦闘機を入港前に全部岩国(昔は厚木)に飛ばして空荷で入って来るから、こうやって戦闘機を乗せたままの空母を見るのは初めて。
 艦橋の窓が色とりどりなのは、偏光ガラスかなにかなのかな?


 なお、今朝になってフランスの駆逐艦『ブルターニュ』も来たらしい。そういえばフランスも見るの初めてな気がする。
 吉倉がイタリアと護衛艦でいっぱいなので、米軍の方に泊めていた。


『カヴール』に載っている戦闘機はハリアーIIとF-35Bとのこと。どちらも垂直離着陸が可能なので、『いずも』とサイズの変わらないこの空母でも運用できる。
 ん? F-35Bって『いずも』に載せる予定のやつじゃなかったっけ。なんかこうやって見せる背後に日本政府の思惑を感じるのは気のせいかな?


 他の人から言われて気付いたのだが、垂直尾翼になんかの足跡が描いてある。
 どうやら狼が部隊のシンボルらしいので、狼のかな? かわいい。


 海側からの『カヴール』。
 これが撮りたくて軍港めぐりをやった言っても過言ではない。


 オサレ搭載艇。


 F-35Bと翻るイタリア海軍旗。


『アルピーノ』。
 なんか上にすごいの乗っけてるな。


 そしてこちらは『カヴール』に場所を譲って沖に追い出されている『いずも』さん。
 あなたも近々あんな風にF-35Bをずらりと並べるようになるのね。どういうとこで使うのか良く分からないけど。


 良く見たら『くまの』も沖留めさせられてた。
 居住性良くないのにちょっとかわいそう。


 住友の造船所。


 今日は船越はあまり艦艇がいない。
 潜水艦も1隻だけ。


 海上保安庁。


 このへんはいつものメンバー。
 海洋観測艦『しょうなん』と掃海艇『ちちじま』。


 同じく海洋観測艦『わかさ』。


 掃海艦『ひらど』。


 どうも、普段船越にいる護衛艦も吉倉に集められているっぽい。
 あと潜水艦たちは訓練かな。潜水母艦と救難艦もいなかったから。


 ナンバー1トリオ。左から『むらさめ』、『おおなみ』、『もがみ』。
 左から右へ順に新しくなっていく。


 アメリカ、おフランス、潜水艦。


 おフランス艦『ブルターニュ』の尻。


 全身撮れた。
 すごい長旅してきた感。

 こうして軍港めぐりで『カヴール』を堪能しまくったが、折角艦載機を載せているのだから、もうちょっとこう良く撮れる高い場所はないかなと思い始めた。
 メルキュールは今回予約していなかったので、他の心当たりを探してみたが、これが精一杯。


 うーん、スキージャンプがなければ……。


 軍港めぐりがあるコスカーベイサイドストアーズの撮影スポットからも撮ってみたのだが、いろいろとコレジャナイ感じになった。

 そして最後はヴェルニー公園。


 正面顔。
 星マークがかわいい。


ヴェルニーからだとこの角度しか撮れないんだよね……。


 やっぱり色とりどりな艦橋。

 アメリカ以外の空母を見る機会なんてないだろうと思っていたのに、この数年の間にイギリスとイタリアまで見れてしまった。
 それだけ日本近辺の政情が不安定になりつつあるという事なんだろうけれど、でも、知らない船を見れるのは純粋に興味深いし面白い。

○おまけ

 横須賀駅からも見えてた。

弘法大師の展覧会

 母親と妹と一緒に、国立博物館の神護寺展に行ってきた。
 神護寺は京都の高雄にある寺で、唐から帰った弘法大師空海が拠点にした所らしい。
 母親は旅行で行ったことがあるが、我々姉妹はどこにあるかすら知らなかった。
 なぜそれで行こうと思ったのか。


 まあ最近弘法大師には結構縁があるから。


 会場は例によって撮影禁止だが、唯一撮影可能な額と四天王像(の2体)。

 若冲や鳥獣戯画のように人気が高い展覧会ではないから、それほど人もいないだろうと思っていたのだが、なぜだか大変混んでいた。
 切符売り場は行列しているし、会場の中もごった返していて、弘法大師直筆のメモとかめぼしい展示品の前は、人だかりのすき間から覗くしかない。
 最後の方の仏像はそれでもいくらか見やすかったが、そんな感じで展示品はほとんど印象に残っていない。あ、伝源頼朝肖像画の生が見れたのは良かった。

目黒にお参り

 用事で近くまで行ったので、目黒不動尊に寄ってきた。


 暑い……。
 でも小高い山の上で、湧き水はあるしちょっとした林になっているので、風が通って街中にいるよりは楽。

 ここも天台宗のお寺。
 毎月8日、18日、28日は縁日で賑やかになるそうなのだが、今日は27日なのでとても静か。
 でもぽつぽつと人が絶える事なく来ている。


 烏がハアハアやりながら手水で水を飲んでいた。
 黒いから余計暑いんだろうな……。

晴れる小田代ヶ原

 7/13も日光にいましたが、帰宅後体調を崩したため翌日アップとなります。

 日光3日目。
 昨日の雨が嘘のようないいお天気になったので、初日に見送った千手が浜に行ってみようと思い立つ。
 ただ、初日に自然博物館の人に聞いた話では、特に見る物もないっぽいんだよね、千手が浜。
 それより近くの小田代ヶ原の方が歩くのは楽しいらしい。
 実は前日の夜微熱が出たっぽくて少々頭痛もしていたりするので、千手が浜へ行ったあたりで次の行動を考えよう。
 なんかクアウテモック見学の日から、熱が続いたり数日すると下がったりで体調がちょっと変なのだ。
 コロナの検査は陰性だったので、熱中症かとも思うんだけど。

 千手が浜の最寄りのバス停は赤沼。
 千手が浜と、隣の小田代ヶ原を含む戦場ヶ原一帯は、ラムサール条約の対象地なので、自然を破壊する恐れのある車の立ち入りは制限されている。
 なので、赤沼からは定期運行されている低公害バスという代物に乗り換えて現地まで向かう事になる。


 低公害バス。要するにEVバス。
 導入が1993年で、当時はまだEV車が一般的でなかったので、こういう名称になってるっぽい。
 運行は通年ではなく、4月中旬~11月の間だけ。しかも運行本数が、平日6本、土日祝日と繁忙期(花の開花期や夏休み、紅葉の時期)は12本と日によって大幅に違うので、行く時は事前の下調べ必須。


 30分ばかり乗って千手が浜へ到着。
 ……うん、これはもう写真撮ってミッションコンプリートでいいや。
 気分も良くなってきたし、小田代ヶ原を歩いてこようっと。


 というわけで10分で千手が浜を終わって、小田代ヶ原で低公害バスを下車。
 あー、こっちにして良かったかも。良い眺め。
 左側に1本だけ生えているシラカバは、「貴婦人」と呼ばれている。
 今の季節は緑に埋もれがちだが、秋の紅葉や冬の雪の中では、白い枝振りがまわりの風景に映えて、まさに貴婦人といったたたずまいを見せるらしい。


 貴婦人、ちょっとアップ。


 その一方で、手前のこの変な花にしがみつく蝶たちが気になってしょうがない。
 風が吹くたびに花もろとも結構な勢いでブンブン振り回されているのだが、絶対に離れようとしない。
 イブキトラノオという花らしいが、そんなに蜜がおいしいんだろうか。

 小田代ヶ原は木道が完璧に整備されていて、道も平坦、基本木陰の中をあるいていくので実に楽。
 あれ、めちゃくちゃ体調良くなってきたぞ。フィトンチッドのおかげかな?


 なんか鳥が鳴いてた。
 しっぽをしきりにぴこぴこさせていたので、モズ? と思ったのだが確信はない。


 歩いていると突然出会うピンクのホザキシモツケの花畑。


 低い場所にも結構花が咲いてる。こちらはハクサンフウロと言うらしい。


 花のない所は一面のクマザサ。
 このあたりは湿地が草原に変わりつつある状態だそうで、とにかく何かしらがみっしり生えていて地面が見えないのがすごい。


 ショウブかな……。


 また鳥がいた。
 見ての通り結構大きめなのだが、調べてもなんだか分からない。ビンズイかな……。
 今回はそれほど撮る場所もなさそうだと思ってコンデジにしたのだが、こんな風にいろいろ会うなら上高地で大活躍したα6000とタムロンズームのコンビを持ってくるんだった。


 このあたりが、貴婦人が見えた場所の丁度反対側。
 30分ほど歩いただけなのに、鬱蒼としたカラマツ林の全然違う風景になっている。
 ここから赤沼に戻るコースには2種類あって、森を1時間弱かけて歩くのと、戦場ヶ原に出て2時間ほど歩くのがある。
 戦場ヶ原にもちょっと惹かれたが、ここは大人しく短い時間で戻るコースにした。


 なんか肋骨みたいな枯れ木あった。


 また鳥。
 大きいので猛禽かと思ったが、くちばしを見ると違うっぽい。
 カッコウかホトトギスの幼鳥かな。この季節は幼鳥が多いからほんとわかんないな……。
 やっぱりタムロン持ってくれば良かった……重いけど……。

 これで完全に元気になったので、中禅寺湖でビーフシチュー定食を食べて帰ってきた。
 もっとも、家に帰ったらやっぱり食欲がなくて、そのまま寝てしまったのだけど。

 小田代ヶ原良かったな。
 今度は近くにある西ノ湖という小さな湖にも行ってみたい。
 ここも低公害バスでないと行けないから。

雨降る日光白根山

 今日は日光白根山へ。
 雨が降っているのでさすがに無茶はしないが、2000メートルまではロープウェーで上がれるので、状況に応じて適当に遊んでこようと思う。

 日光白根山へは、バスを使ってアクセスできる。
 湯元始発で、中禅寺湖とは反対側の金精道路という道路に入り、山を縫いながら群馬県の沼田へ抜ける路線があって、それを使うのだ。
 だがこの路線、標高の高いところを通るため(始発の湯元からすでに1500メートル、途中の日光白根山は1800メートル)、毎年12月~4月の間は全面閉鎖されてしまう。
 なのでこれまで通る機会がなかったのだ。


 金精道路に入った途端、この状態である。
 大丈夫か。


 ところが、途中にある金精トンネル(日本で3番目に高所にあるトンネルだとか)を抜けたら、雨は降り続いているのだがいきなりガスがなくなった。
 まさに国境のトンネルを越えると状態。雪じゃなくてガスだけど。


 1時間ほど山間の道路を右へ左へ揺られて、ロープウェーに着きました。

 正確にはここは「丸沼高原」という。
 冬はかなり規模の大きなスキー場、夏はキャンプや高原アクティビティなどを運営するリゾート地である。
 ロープウェーはその中の1施設。


 600メートルの高低差を15分かけて一気に駆け上がる。
 途中で垂直に上っていくみたいになってるところも何カ所かある。
 そしてこれは晴れていたらとても眺めが良かったやつだ。
 

 そして着いた先はまさかの無人。
 えっ待って、この天気だけど暇つぶしに上がってみようかみたいになる、大抵どこにでも出てくる物好きなカップルとか友人同士とか、1人か2人ぐらいはいないの?


 白根山も見えない。
 なお日光白根山の標高は2578メートル。あと578メートルがとてつもなく遠い。


 このあたりはロックガーデンとして整備されていて、いろんな高山植物を見ることができる。
 休憩用の四阿もあったり、足湯もあったりする。
 もちろんカフェやレストランも抜かりない。
 ……まあ今日は誰もいないんですけどね。


 とりあえず、二荒山神社を勧請したという神社にお参りする。
 この雨よ。


 二荒山神社から戻ってきて、さてどうしようかと考えていたら、あちこちにコマクサの大規模な花壇がしつらえてあるのに気づいた。
 しかも今を盛りの満開。高山植物の女王をひとりじめ見放題! やったー! 来た甲斐があったー!


 コマクサ、地上はこんな可憐で繊細なのに、根っこは1メートル以上のびるらしい。
 まあ、吹きっさらしの礫場とか、最も過酷な環境に生える高山植物だそうだし。
 逆に言えば、徹底して過酷な環境じゃないと生きていけないので、間違っても取って持って帰って生ぬるい地上の環境で育ててやろうなんて思わないように。


 30分ぐらいうろついただろうか。
 存分にコマクサを愛でて満足したので、レストラン(右側、左はロープウェー)でカレーを食べて降りることにする。
 ここのスタッフの1人が東南アジア系の女の子なのだけれど、今日初めて現場に出たのか、挨拶の言葉から品物の出し方から、ひとつひとつ挙措を直されながら一生懸命対応してくる。
 口には出さなかったけど、心の中で応援しといた。

 なおこの時になると、雨装備の登山者が数人、ぽつぽつと戻ってくるのを目撃した。
 この天気の中白根に行ってたのかな。まあ山好きな人にとって天気は関係ないらしいけれど。

 さて、そんなわけで下に戻ってきたが、実は帰りのバスまで3時間以上ある。
 ここには日帰り温泉施設があるので、そこで時間を潰せばいいやと思っていたのだが、この施設、本当に温泉と脱衣所、10畳ぐらいの休憩場所しかない。どんなに長湯をしても粘れるのは1時間程度が精一杯。
 温泉ランドみたいのを想像していたのだが、完全に当てがはずれてしまったぞ。
 しょうがない、もう1回コマクサ見に行くか。


 出発する時は1回目より小雨になってきていたのだが、逆にその分雲が上がってきた。


 これが地名の由来の丸沼。
 ダム湖らしい。


 やあ、また見に来ちゃった。


 コマクサはよく見るピンクの他に白、赤もあるらしい。
 きれいだなあ。本当に来て良かった。


 カラマツ林とコマクサ。


 白根山の山頂が見えるようになってきていた。


 もちろん、コマクサ以外にもいろいろ花は咲いている。
 こちらも盛りできれい。


 ロープウェーとコマクサ。


 キヤノンのコンデジだと、どうしてもどちらか一方にピントが合ってしまうので、iPhoneで撮り直してみた。
 絵はがきっぽくなった。


 そんなことをしているうちに丁度いい時間になったので、またロープウェーで降りてバスに乗って帰ってきた。
 楽しかったなあ。コマクサは本当に眼福だった。


 湯元でバスを降りたらいたので、またお前らかと思ったが、どうやら母親と子供のペアで昨日とは違うらしい。


 背中どうしたの、猫。

雨降る日光

 日光に来ている。
 たまには秋と冬以外の季節も来てみようかなと思っただけなのだが、ついでに前から興味があった日光白根山に登ることにした。
 ……が、予定日が全部雨予報なので早々に断念した。
 奥日光って梅雨がないんじゃなかったの? ねえ。


 東武日光駅に着いた時点で雨がぱらついている。
 今回は日光白根山以外に、中禅寺湖の千手が浜も行きたかったのだが、ここも自然探索路を歩くので雨だといささか行きにくい。
 日光は箱根みたいに雨天の時に駆け込める施設や設備がないのが弱点なんだよな。
 まあ1日温泉入ってればいいじゃんって話もあるけど。

 というわけで、前からちょっと興味があった日光植物園に立ち寄ってみる事にした。

 この植物園はあの小石川植物園の分園で、東京大学が植物学の研究や教育のために使っている。
 田母沢御用邸のすぐ隣で、バスもほぼ前(100メートルほど歩く)に止まるので、ロケーションとしては行きやすい。


 ただ、あくまでも研究施設で、娯楽向けでは全くないのが難と言えば難。
 ここは森林限界より上に生息する高山植物を集めたロックガーデン。

 うーん、植物の種類は豊富なので楽しいには楽しいのだが、今日来るべきところではなかった感がある。
 気温28度で蒸し暑いし雨はぱらつくし、おまけにこの天気だとヤマビルが大変元気になるそうで、用意された虫除けをたっぷりつけて絶対道からはずれないようにとスタッフの人から念を押された。
 もうちょっと条件のいい時に出直した方が良さそうだな……。


 雰囲気はすごくいいんだけれど。

 というわけでちょっとしょんぼりしながら、とりあえず中禅寺湖まで上がることにする。
 現地の天気次第で千手が浜か遊覧船かどっちかを選択しようと思ったのだが、着いてみたら困ったことにどっちもいけそうな雰囲気。


 でも結局遊覧船にした。
 良く考えたら、遊覧船が運航している季節に来たのはこれが初めてだった。
 だったら乗らないとなるまい。先日軍港めぐりに乗ったばかりだけど。


 中禅寺湖遊覧船は、1隻の船が3カ所の乗降場所を1周55分で巡回するコースで運行している。
 段々と近づいてくる船を乗船所からぼんやり眺めているのもまた楽しい。


 着いた!
 さあ乗るぞ。


 天気は悪いけど、気温は低いし風も冷たいので快適。


 湖上から眺める男体山も、いつもとちょっと違う形。
 富士山みたいななだらかな成層火山かと思ってたけど、実は頂上結構ひらべったいんだ。


 日光を開いた勝道上人と天海の遺骨が葬られているという島。


 右の方にちょこっと出ている白い雲のあたりが、中禅寺湖が華厳の滝に落ちるあたり。
 華厳の滝を通路に上がってきた暖かい空気と、中禅寺湖の冷たい空気がぶつかって雲になるんだそうな。


 アップにすると爆発でも起こってそうだが、雲。


 なんか半島。


 ここで雲が切れてあたりが明るくなってきた。
 水の色が深い緑でとてもきれい。


 立木観音に到着。
 ここで一旦降りてお参りして、また乗って元のところに帰ってきた。

 面白かった。
 やっぱり、陸上とは違う風景を見られるというだけでもう楽しい。

 この後は買い物をしたり、これまでお手洗いを借りたことしかなかった日光博物館を見たりしていたら、そろそろいい時間になってきたので、いつもの湯元に向かうことにする。


 バスターミナルで子ツバメが親からエサもらってた。


 途中で三本松から戦場ヶ原を眺める事にする。
 やっぱり緑の季節だとだいぶ雰囲気が変わるな。


 今気づいたけど、湿原って英語ではムーア(Moor)なのね。
 ムーアというと、秘密の花園のムーア(荒野)のイメージが強いけど。

 しばらく遊んで満足したので、またバスに乗って湯元に到着。
 いつものコースで温泉寺から源泉を散歩していたら……。


 鹿の家族がいる!


 袋角が生えたオス。
 まあ多分何かいるだろうと思ってはいたが、結構堂々と出てきていた。


 こっちはきっとメス。
 これよりもうちょっと小柄なのがいたから、それが子供じゃないかな。

 こっちが物音を立てると一応ぱっと見るのだが、見るだけでまた草を食べに戻ってしまう。
 完全に分かっていて存在を無視している。
 ここの鹿は奈良とかとはまた違った意味で人慣れしてるからな……。


 カモの親子もいた。
 ヒナはもうほとんど親と同じ大きさと模様になっている。


 でもヒナたちがエサを食べている間、お母さんはあたりをじっと監視している。
 仁王立ちでカメラを警戒するお母さんと、無造作にその前を横切っていくヒナの無頓着っぷりの差よ。


 ヒナたちを先に行かせて撤収。

 思いがけず鹿とカモを堪能したので満足したが、一方、源泉には小学生が大量にあふれていた。
 その場にいるだけで数十人、みんな源泉を触って大騒ぎしている。
 そしてさらに追加が来るらしく、「鹿だー!」「鹿がいるー!」「すげー!」という興奮しきった叫びが向こうの方から聞こえてくる(多分さっきの鹿一家がまだいた)。
 そういえば小学校の修学旅行で源泉まで来たわ。さすがに泊まらなかったけど。
 そしてやっぱり源泉触って喜んでたわ。
 うん、君たちは数十年前の私なんだね。
 楽しんでいい思い出を未来に持っておいき。

鳥と蝶と大正池

 6/15、16と上高地に行ってきたので、後追いでアップします。

 上高地2日目。


 あまりお天気がよろしくない感じ。

 この日は初心者向けのトレッキングコース岳沢に行って、上から上高地を眺める予定だったのだが、足のマメがとうとう潰れた。
 あと、なんだか食欲はないし食事をしてもおいしくないし、夜に寝ようと横になると胃がうすぼんやり気持ち悪くてすぐ目が覚めてしまう。
 悩んだのだが、天気も悪そうだし、また機会もあるだろうし、無理をして救助される羽目になってニュースネタになったりするのも何なので、今回は岳沢は諦めることにした。

 で、岳沢をやめて行くことにしたのが大正池。
 文字通り、大正時代に近くの焼岳という火山の噴火でそれまで林だった所にできたせき止め池で、当時は水に浸かって立ち枯れた木々が昨日の自然探索路みたいな景観を作っていたっぽいが、今はほぼ倒れて1~2本しか残っていない。
 ここならホテルからなだらかな道を歩いて3キロほどなので、今のコンディションでも行けるだろうと判断した。
 まあ、行ったら戻ってこなくてはならないのだが、幸い大正池にはバスターミナル行きのバスの停留所があるので、もし厳しければこれを使ってもいい。


 川沿いの湿地帯を歩いていく。
 流れには良く魚がいる。イワナかと思ったら昔放流された外来種のカワマスぽい。


 花が咲いてる。


 空は時々晴れ間も見えるのだが、かと思うとぱらぱらと雨が降ったりしてくる。
 これはやっぱり岳沢行かなくて良かったわ。


 前を歩いている人のすぐ脇の草むらから、突然何か小さなものが飛び出してきた。
 近くの木にとまったのでカメラで覗いてみたら、何やら植物をくわえたヒガラ。
 どうやら巣材を集めるのに夢中になって、人の接近に気付かなかったらしい。びっくりして後頭部の羽が逆立っちゃってる。


 大正池のちょっと手前にある田代池。
 昔は池だったのだが、段々と土砂で埋まって今はほぼ湿地になってしまった。
 レンゲツツジがここでもきれい。そしてとうとう本格的に雨が降り出した。


 ニッコウキスゲとレンゲツツジ。


 大正池到着。
 ……水面に景色が映ってきれいだけど、こうやって見るとただの池だな……。

 雨も結構降っているので、早々に近くの大正池ホテルへ休憩に上がってしまった。
 帰りはバスを使おうかともちょっと思ったが、足はまだ大丈夫そうだし時間もあるしなので、また歩くことにした。


 変な花。


 このジュラ紀みたいなシダ、標高が高いところで時々見かけるんだけどどういう種類なんだろう?


 バスターミナル近くの林の中で、何かぴょいぴょい動いているのが見えた。
 カメラで覗いてみると、どうやらコゲラの親子らしい。幹を上ったり降りたり、枝を伝い歩きしたりしている。
 親はすぐどこかへ行ってしまったが、幼鳥の方はそこで帰りを待つのか、しばらくあっちこっちちょろちょろして遊んでいた。


 かわいい。
 そういえば、大正池への途中ではアカゲラが近くにいるのを見たのだが、カメラで追っているうちにワーワーヤーヤー集団が来たので川の向こうに飛んでいってしまった。

 そんなわけで、目的地であるバスターミナルに着いた。
 帰りのバスまで3時間ほどを残す余裕の到着になったので、引き続き河童橋までちょっと歩いてお土産屋を冷やかしたり、気になっていたリンゴレモネードを飲んだりする。
 そしてホテルで作ってもらったおにぎり弁当も食べなければ。
 相変わらず食欲はないんだけど、おにぎりが塩をきかせた梅干し、付け合わせもたくあんとか昆布煮とか味の濃い物だったので良かった。
 薄味だったら多分食べられなかったかもしれない。


 この頃までには雨もやんで薄日がさしてきている。
 風が吹き抜ける梓川の川べりの、木陰の涼しいテーブルでおにぎりをもぐもぐしていたら、蝶がやってきた。
 背中が毛深い。


 なぜそんなピンと立っているのか。
 しばらくすると飛んでいったが、トンビかなにかみたいに数回羽ばたいては風に乗って輪を描くような飛び方をしていて、アゲハチョウとか良く知ってる蝶とはなんか違った。


 そして昨日に引き続きキジバト登場。
 またお前か。寄ってきたって何も出ないぞ。


 しばらくあたりをウロウロした後、疲れたのか枝で一休みを始めたハト。

 なんだかんだでのんびり過ごした後、再度バスターミナルに行ってバスに乗って松本駅まで戻ってきた。
 岳沢が残念だったけど、いろいろな生き物はいるし歩く所もあるしで楽しかった。
 今度は秋とかに来てみるのもいいかもしれない。山が雪をかぶった頃。

鳥と猿と梓川

 6/15、16と上高地に行ってきたので、後追いでアップします。

 上高地。
 北アルプスの間にできた谷間に伏流水が流れ込んでできる梓川と、その周辺の湿地帯が、明治になって産業や観光に利用されながら今に至る場所である。
 ホテルは高いし取れないし、人は多いし良く分かんないしなのでそれまであまり興味はなかったのだが、穂高神社の奥宮があると知ってそこは行きたいと思うようになった。
 が、実は上高地は車がないと大変行きにくい(前にも書いた流れ)。
 まず松本に行って、そこからさらに電車で新島々駅まで行って上高地バスターミナル行きの路線バスに乗るか、松本駅または長野駅から出ている直通バスを使うかしかないのだが、新島々からのバスが1日13本、直通バスに至っては1日1~2本しかない。
 まあよっぽど余裕がなければ行く機会もなさそうだなと思っていたら、JTBで松本駅-バスターミナル間の送迎つき、値段もそこそこのフリーツアーを見つけたので、使ってみる事にした。


 来た。
 宿の都合で帝国ホテル前でバスを降りたので(帝国ホテルに泊まる訳ではない)、有名な河童橋とはちょっと違う風景。

 ホテルに荷物を預けてさて奥宮へ! と意気込んだが、ここで想定外のトラブルに気付いた。
 前日、『くまの』と潜水艦の見学に、必要に迫られて革のローファーを履いていったのだが、これでマメができてしまっていた。
 上高地に来るに当たっては、数年使ったローカットの軽いトレッキングシューズにしたので、普通に歩いているうちはまあ問題はないのだが、不整地を長期間歩き続けると分からない。
 河童橋から奥宮までは、自然探索路の山道を1時間ちょっと行く必要がある。ここは四輪二輪を問わず、関係者以外の車両の運行が認められていないので、途中で駄目になったからタクシーを呼ぼうとかいう技が使えない。歩き出したら最後まで歩き通すしかないのだ。
 大丈夫かな……とりあえず行ってみよう。


 ちなみに、上高地では物を食ってる観光客の足元をうろつき回っておこぼれを狙う役目は、ドバトではなくキジバトが担っている。
 こんな近くまで寄ってくるキジバト初めて見た。


 自然探索路を歩き始めたら、早速カモが羽繕いをしていた。
 ちなみに、今回もα6000×タムロンの18-300ミリを持っていっている。
 早くもこの重さに慣れてきている自分がちょっとイヤ。


 カルガモ……じゃなくてマガモの親子だ! かわいい!


 尻を見せるお母さんと、構わず泳ぐヒナたち。
 結構大きくなっているが、まだヒナ毛ぽやぽや。

 ヒナを堪能してからまたしばらくてくてく歩いていくと、突然開けた場所に出た。


 静かに音もなく流れる川(多分梓川に流れ込む伏流水のひとつ)と、立ち枯れた木々。
 すごい風景だ……。


 所々に咲くレンゲツツジが緑色を引き立てている。

 いつまでも眺めていたいが、実はこの場所、結構人でごった返している。
 外国人、特に中国人が多くて、彼らはわーわーやーやー言いながら、周囲などお構いなく一番いい場所にいつまでも居座って仲間同士で撮影している。
 なんで中国人って、写真撮る時にいちいちモデルポーズをしたがるの?


 もちろんレンゲツツジ以外にもたくさん花が咲いている。
 なんだろうこの花。


 後でネイチャーガイドの人に聞いたのだが、元々林だった所に川の流れが移動してくると、そこにあった木が水につかって立ち枯れてああいう風景になるらしい。
 有名な大正池の例から、100年でほぼ全ての立ち枯れが倒れてしまうことが分かっているので、ここは大体50年ぐらい前に川になったところでは、ということだった。

 そしてまたてくてく歩いていくと、木の上にサルがいた。


 まだ子ザル。
 木の上でゴロゴロしていてかわいい。


 そして気付けばサルの群れが探索路のまっただ中に陣取っていた。
 どうもメスと子供の群れらしいが、全く人間を警戒していない。むしろサルが歩いてくると人間の方がよけて道を譲る始末。



 赤ん坊サルが親の側を離れてひとり遊びを始めても、親は全く気にしないで毛繕いなどしあっている。
 どんだけ警戒されていないんだ人間。


 動物写真家みたいな写真撮れた。
 よく見ると大人のサルは絶対こっちと目線を合わせようとしない。
 1回目が合ったら微妙な感じで威嚇された。

 これも後でネイチャーガイドの人に聞いたのだが、このサルたち、少々人間との距離が近くなりすぎて問題になってきているらしい。
 今はまだサルの方が人間に無関心でいるのだが、この先人間が食べ物など与えてしまうと、それを狙って人間、特に子供などをターゲットにする恐れもあるのだとか。
 欧米人は割と自然保護のルールが確立しているし、何しろ先祖が狩猟民族だから、野生動物は基本人間にとって危険な存在であるという事を実地で学んでいてちゃんとわきまえて行動するが、そういうのが全く頭にないお花畑のアホの子やアホの大人が、かわいいとか映えるとかいう自分の欲望だけで何も考えずに食べ物をやってしまう事例は、国を問わず存在するからな。


 水辺を過ぎると、今度はこんな感じで林が続く。
 涼しくて爽やかで良い感じだが、やっぱり人が多い。


 たまに視界が開けて梓川が見えたりする。
 流木すごい。


 川に根元を浸食されて倒れている木も見る。
 結構野生の川なんだな、梓川って。


 またサルがいた。
 今度は単独行動のオスザル。


 途中いろいろ眺めたりしながらなので、1時間半ほどかかっただろうか。
 ようやく奥宮に到着した。
 ご神体で嶺宮のある奥穂高岳の山頂を、ここから遙拝する。


 奥穂高。
 手前の池は湧き水が低地に溜まった明神池。


 山頂のアップ。
 意外と木が生えてた。


 またもサル。


 明神池と岸辺の笹を食べるサル。
 α6000持ってきて良かったわ。コンデジじゃこんな雰囲気ある写真撮れなかった。

 さて目的も果たしたしホテルに戻ろうか。
 距離が4キロほどあるけど……マメを無意識にかばって歩いているのか、足の疲れがちょっと小休止したぐらいじゃ取れなくなってきてるけど。
 でもやるしかないので頑張る。


 カケスがいた。
 明らかにこちらに気付いていて、カメラを向けると近くの木の後ろにすっと入ってしまう。
 でもちょっと位置を変えるとすぐ見えるので、移動してまたカメラを構えると、また近くの木の後ろにすっと入って隠れたつもりでいる。
 頭が良いのか悪いのかわかんないな、この鳥。


 山中なのに、地面はこんな砂浜みたいな白砂になっている。
 このあたりは花崗岩でできているのだが、花崗岩は脆くてすぐ砂になるので、こういうちょっと変わった風景になるらしい。
 確かにこれだと少し川に浸食されたら木も倒れちゃうな。


 本日4度目のサル。
 もう珍しくもなんともなくなっているが、2匹の子ザルが人目もはばからず取っ組み合いをしているのがかわいかった。
 この後、おっさんみたいに倒木に腰掛けてこっちを眺めるオスザルにも遭遇するが、こっちを見ている個体はちょっと恐いので写真は撮らなかった。


 なんか花。

 それでも土産物屋に寄りながら1時間半ぐらいでホテルにたどりついた自分を、ちょっと誉めたい。

 で、今日の予定はこれで終了ではない。
 夕食後の20:30から、近くのホテル(といっても徒歩20分)で行われるネイチャーツアーのナイトウォークに参加するのだ。
 ホテルまでは当然歩いていくのだが、なにしろこの上高地、環境保護のため街灯というものが全くない。
 さらに、クマ等の対策のため、夜間は人は外になるべく出ないように言われている。
「暗いですよ、本当に暗いですよ!」とホテルの人に心配されたのだが、たまたまこの日が曇りがちの半月だったのと、途中にいくつかホテルや建物の窓の明かりがあるので、懐中電灯さえあれば思っていた程真っ暗感はなかった。
 逆に言えば、動物と足元にさえ気をつければ、むしろ人間の不審者や犯罪者に遭遇する可能性がない分、懸念要素は少ないのではないか? という気もちょっとしたりして。


 夜の河童橋。
 iPhoneで撮ったら美麗補正されてしまったので、見たとおりに修正し直すのがちょっと大変だった。
 これでもまだ実際より明るい。

 ナイトウォークの内容は、夜の自然探索路を1時間ほど歩いて、夜の林を体感しようというもの。
 ガイドの人を含め数人で懐中電灯を使いながら行くので動物の類いは気配を消して隠れてしまうが、それでも静かな中にカジカガエルやフクロウの声が聞こえてくる。


 昼間行った川と立ち枯れ林。これも相当明るいのを修正しきれないでいる。


 雲間の半月。

 面白かった!
 夜のホテルの往復がちょっと大変だけど、それも含めて夜の上高地を体感できる、すごくいいツアーだと思う。
 ただ、何かにつけてギャーピー金切り声を上げるたちの人はやめた方がいい。