その他生物」カテゴリーアーカイブ

見逃し北斎

 サントリー美術館の「大英博物館 北斎」を見に行ってきた。
 大英博物館の所蔵品を中心にした北斎オンリーの展示会。メインは版画だが肉筆画が比較的多い。
 北斎なんてそれだけで人が押し寄せるのは目に見えているので、開始初日にサクッと見てきた次第。


 入口パネル。
 この2点は実物も写真撮影可だったのだが、どこにあるのか分からなかった。
 後でカタログを確認したら、これを含めてまるまる1フロア分を見逃していた事が判明。全体的におかしな動線になっている上に目立つ案内もなかったので、フロアの入口に気付かなかったらしい。
 うーん、これはもう1回行くべきか……。
 ぶっちゃけるとそこまで好きというわけでもないんだけれど、北斎。

 入ると最初に、中国の故事や古典の一場面、百人一首の歌の状況を絵画(版画)化したものという、いきなり高度な教養を要求される作品がずらりと並んで心が折れたが、後はわかりやすい風俗画や人物、花鳥画等で分かりやすかったのでほっとした。
 北斎は版画がほんと有名だけど、どういう風に筆を走らせたか、色を塗っていったか、そんな微妙なものが伝わってくる肉筆画の方が個人的には好き。

ふつうだけど普通じゃない絵見てきた

 府中市美術館の「ふつうの系譜」展に行ってきた。


 現地で写真を撮り忘れたので図録。

 伊藤若冲や曽我蕭白といった「奇想」に人気が出ている今、あえて当時「普通」「正統派」とされていた作家や流派に注目した展覧会。福井県の敦賀市立博物館のコレクションが中心になっており、2020年に1度開催されたのだがコロナで途中終了したものを、今回改めてやり直した物だという事。
 日本画の系譜は正直良く分からないのだが、土佐派、狩野派、円山応挙、円山四条派と言えば、詳しい人は分かると思う。多分。


 ……の前に、同じ府中にある大國魂神社に立ち寄った。
 去年やっぱり府中市美術館に来た時に見かけて、行ってみたかったんだよね。


 名物らしいしだれ桜。
 結構花が残っている。


 社殿デカい。
 実は靖国神社、明治神宮、日枝神社、東京大神宮と並ぶ格式のある神社らしい。全然知らなかった。


 そして美術館。
 例によって展示は撮影禁止なので、館内のカフェの窓から見える桜と良く分からないオブジェ。
 時々風で花びらがさーっと舞い散るのがきれい。
 写真には写っていないが、手前にある植え込みでは丸々と太ったトカゲが何匹もちょろちょろしているし、良い場所だなあ。

「ふつう」と銘打っているが、いやこれ絶対普通じゃないよね、と思うような絵ばっかりで、面白かった。
特にすさまじかったのが岸礼の「百福図」。154人のお多福が2メートル近くある紙の上で勝手に好きなことをやっていて、何というかすごいとしか言いようがない。
 これだけでも見る価値はあると思う。

春のドームの蘭の園

 東京ドームシティのプリズムホールでやっている世界らん展2022に行ってきた。


 大量の蘭のディスプレイ。


 こちらは別の蘭園のディスプレイなんだけれど、似たような花を使っているのであまりかわりばえしない。
 合わせているのか、それともコロナとかの関係上、業界的に使える花が限定されてしまっているのか。


 ここからコンテストの入賞花。
 これだけ花をつけさせるのにどのぐらいかかったんだろう……。


 パフィオかわいい。


 リカステ。葉っぱは後ろでまとめてある。
 三方に広がる形が特徴的なんだけれど、これ実は萼で、花は真ん中部分だけらしい。


 家に帰って見直してから、鉢がスズメだった事に気付いてとてもくやしかった。


 パフィオは葉が大きくて花茎がとっても長く伸びるので、我が家の狭いスペースでは育てられないのだが、これならなんとかなりそう。
 でもお高いんだろうな……見たことない品種だし……。


 なんか良く分からないけど圧がすごい。


 ご家庭にありがちなシンビジュームだけど、ここまで本気にするのは結構大変。



 ここまで来るともはや良く分からないな……。


 これなんかホタルブクロみたいになってるし……。


 なぜかサボテンとかの展示コーナーもあった。
 真っ白でふわふわで触ったら気持ちよさそうなのだが、どうやらみんなおんなじ事を考えるらしくて、特にここにお触り禁止令が表示されていた。


 ディスプレイ部門。
 正直な所、花は花だけの美しさを楽しむのが好きなので、こういうのはあまりピンとこない。

 なんだか気のせいか、去年より店舗ブースが少なかったような気がする。
 あと、らん展なのに蘭以外のブースが多くてちょっとがっかりだった。

地球が生み出す奇跡の大混雑

 国立科学博物館の「宝石展」に行ってきた。
 一般受けしやすいテーマだし、始まる前から結構あちこちで宣伝されていたので、これは混むかもなあと思っていたのだが、案の定大変だった。


 このビジュアル、見たことある人も多いと思う。


 わー……。

 大混雑。
 昨今の例に漏れず、この催しも当然ながら入場は時間ごとに事前予約が必要なのだが、どうもこの予約とは単に「外に行列を作らせない」ためのものっぽい。
 だから、恐らく上限人数などはないし、外に行列ができさえしなければ、来た人を次から次へと入れてしまう。結果、中にどれだけ人が詰め込まれようが滞留していようが、そのあたりは一切お構いなし。
 この辺は国立博物館の方がきちんと管理しているように見える。

 あと、大体の展示が写真撮影可能というのも良くなかった。
 スマホを持った人達が、暗い中、ガラスケースの中で輝く宝石やアクセサリーを、ケースに覆い被さるようにしていつまでも撮り続けている。
 そうされると展示品が他の人から完全に見えなくなるので、終わるまで待つしかない。しかも若い女性とかは、撮り終わると再びケースに覆い被さって食い入るように眺め始めたりする。気持ちは分かるがそうやって後ろに10人以上溜めてる人(そしてそれに気付いてない人)が何人かいた。
 人間様は実は今回コンデジを持っていっていて、これだと混んでいる場所でも片手でさっと人の間に差し入れてさっと撮って引っ込めるという事ができるのだが、混む事が予想されるのに安易に撮影可にするべきじゃないなと切に思った。


 まあとりあえず気を取り直して。
 一抱えもあるトルマリンの原石。

 展示内容は、鉱物としての宝石→カットや加工の種類→宝石の種類→宝石を使ったアクセサリー(現代)→宝石を使ったアクセサリー(歴史上の傑作)と流れていく。
 この原石たちがなかなかすさまじい。
 アクセサリーなんかよりも、原石の展示を充実させれば良かったのでは? とも思う。
 だって絶対こういう博物館でしか出さないよ、この規模の原石なんて。


 なんか生物感漂う緑色の謎の石。1メートル以上ある。
 名前も謎だった。
 翡翠の代わりに良く使われるらしい。


 圧巻のアメジストドーム。
 高さ2メートル以上、幅1メートル以上の鍾乳石(?)の中の空洞が、まるごときらきら輝くアメジストに埋め尽くされている。
 もういつまで見ていても飽きないのだが、人がいっぱいなのでほどほどであきらめた。


 宝石のカットの種類。
 実はこのへんはあんまり興味がない。



 指輪を人類史に沿って、加工や流行の変遷が分かるように並べていったもの。
 古代の発掘物から20世紀のブランド品まで、100個以上にも及ぶだろうか、ずらりと並んでいる。
 こんな展示ができるのも恐らくこの科博だからで、できれば時間をかけてじっくり見たかったのだが、ものすごい人が群がっていてすき間から覗くことしかできなかった……。


 ここからは宝石の種類の展示。
 産地別のサファイアの指輪。
 微妙に色や輝きが違うのだが、お分かり頂けるだろうか。


 原石の形のまま磨いたアクアマリン(だと思う)。


 パライバトルマリンは、実はパライバ鉱山産のネックレスを持っていたりするのだが、最近は別鉱山の緑がかっていたりガラスみたいに透明度が高い薄い青だったりの物が主流なので、あんまり気付いてもらえないのよねえ……。


 ピジョンブラッドと呼ばれる最高級のルビー。
 ルビーは後付けで処理をすれば、いくらでも鮮やかな赤を作れるんだけれど、これは何も処理をしない産出されたままでこの色なのが価値が高いらしい。


 紫外線で光る石達。


 オパール大好き。
 でもオーストラリア産のいいものはめちゃくちゃ値上がりしていてもう手が出ない。


 ここからは現代の宝石アクセサリー。
 これ、加工もだけど、サファイアがすごい。


 トラピッチェエメラルド(六角形の独特の模様が入る珍しいエメラルド)のカメ。かわいい。


 サファイアのありんこ。かわいい。


 下のグラデーションがきれい。
 でも重そうだな……(無粋)。

 そしてこの後に、古代エジプトからヨーロッパ各国の貴族のティアラまで、歴史上の宝石アクセサリーの傑作の展示のパートがあるのだが、そこは撮影禁止だった。
 でも、王侯貴族が金と時間に糸目をつけずつぎこむ事が許されていた時代の、今では絶対に作る事ができない豪奢なアクセサリーの数々はまさに眼福。
 結構個人蔵の物もあるので、原石と並んでこういう機会でないと見られないと思う。

 本当は常設展示も見たかったんだけど、もう人にまみれて疲れたので帰ってきてしまった。
 しかしこれはじっくり見たいと思ったら、平日の午前中とかにでも来るしかないな。

湖水の鏡と氷の滝もう1度

 今日も朝から良い天気。


 バスが来るまで源泉を散歩。
 日なたがまぶしい。

 また例によってどこに行くか決めずに出てきたのだが、そういえば中禅寺湖をちゃんと見ていなかったことを思い出した。
 帰りの電車の時間を考えると、あまり時間のかかる所へも行けないし、中禅寺湖あたりをぶらぶらしていくことにしよう。


 バスからの戦場ヶ原。


 中禅寺湖の水鏡。
 空を見たら、明日の雪予報の前触れか、早くも曇り始めている。


 男体山もこの直後に山頂に雲がかかり始めた。
 割とぎりぎりのタイミング。

 うーん、ちょっと物足りないから、もう1回華厳の滝まで行ってみよう。
 昨日1日の晴れで氷がどんな風になったか見てみたいし。


 やっぱり明るいと、アイスブルーも見えなくなるな……。


 これは一昨日行かなかったエレベーター上の観瀑台。ちょっと上から滝を見下ろす形になる。
 こっちからの方がスケールの大きな写真になるような気がする。


 中段の大きな氷の塊はなくなっていた。
 昨日の晴れで崩れてしまった模様。

 これで気が済んだので後は帰るだけ。
 神橋から東武日光駅まで、土産物を物色しながらぶらぶら歩いていったのだが、振り返るとすでに日光連山は厚い雲に隠れていたし、空気も何となく雪の予感を感じさせる冷たさになっていた。

 天候を始め、なんか普通の季節とはいろいろと勝手が違っていきあたりばったりになった冬の日光だが、それはそれで楽しかった。
 そういえば、2日目の夜は星空もすごくきれいだったんだよな。
 さすがに夜ひょこひょこ外出するのがやばいのは分かるので、窓から眺めるだけにしていたけど。
 今度行くときは、天体写真も試してみよう。

凍った湖と滝の神社

 日光2日目。
 昨日から打って変わってピカピカのお天気。


 これは確実に雪焼けするやつだな。
 夏用の強力日焼け止め持ってきて良かった。

 とかなんとかやっていたら下界(いろは坂の下)行きのバスに乗り遅れた。
 次のバスまで1時間もある。
 ホテルに戻ってぐだぐだしていようかとも思ったが、この際なので次のバス停まで道路を歩きがてら、凍結した湯ノ湖を見に行くことにした。


 ここはまだ温泉が湧いていて凍結していない部分。
 左側に見える緑の木の部分(半島)を過ぎると、一気に凍る。

 何しろ昨日の積雪なので、人が歩くゾーンは完全に除雪された雪の壁に埋もれているが、2車線の割と広い道路だし、たまにスキーに行く車が通る程度、しかも雪道で皆さん注意深く運転しているので、車が来たら雪の壁ぎりぎりまで端に寄って目立つように立ち止まっていると、大げさなぐらい大回りして避けてくれる。
 さらに、気温が低くて路面の雪もまだそのままなので、通りすがりに泥水シャーベットを跳ねかけられる危険もない。
 そんな感じで、とことこ歩いていたら凍結面が見えてきた。


 これはすごい風景だ。


 雪の風紋ができていた。きれい。
 ここの雪は本当にさらさらのパウダースノー。軽くてふわふわで、服についてもすぐ落ちるし、重くてすぐ濡れる知ってる雪とは全然違う。
 気温が上がって木からも結構落ちてくるのだが、よく知ってる塊がドサ! のトラップではなく、粉がそのままサラサラ……と来るので、真下にいてもぜんぜん気にならない。
 が、雪なのには変わらないので、気にならないからとほったらかしにしておいたら、帽子や髪がびしょびしょになっていた。


 湯滝の上からの風景は、雪が降っても原初の森っぽかった。

 湯滝の下に通じる遊歩道はさすがに昨日の雪で完全に埋もれていたので、また道路をてくてく歩いてバス停に到着。
 これまた雪に埋もれきっていたバス停と待合用ベンチを除雪しながら待っていたら、バスが来たのでそのまま乗って下界に下ってきた。

 が、実はどこに行くかまだ決めていない。
 明智平リベンジもちょっと考えたのだが、サイトの情報を見るとまたガスっているらしい。
 確かに、いろは坂を下るときに、丁度明智平のあたりが結構な濃霧になっていた。
 しょうがないなあ。



 とりあえず神橋まで来てみた。
 写す場所によって全然周囲の風景が変わる神橋。

 うーん、ここまで来たし、昨日諦めた滝尾神社に行ってみようかな。
 ガイドを読む限りでは、足元が悪い所もあるそうだけど。
 まあ時間はあるし、無理だったら引き返せばいいか。


 着いた。

 写真だけだとあっという間だが、実はここまで、未舗装のだらだら坂を30分以上歩いている。
 人通りが少ないので、雪がそれほどぬかるみになっておらず、歩きやすかったのは幸いだが、在宅勤務が普通になって運動不足に拍車がかかっている身にはつらかった。
 しかも、神社に入る脇道を見逃してさらに1キロほど登ってしまうという痛恨の体力消耗ミスをしてしまった。


 上の丸い穴に小石を3回投げて、入ると願いが叶うという鳥居。
 ご覧の通り周囲は雪に埋もれて小石などないのだが、前後してやってきた女子3人組が、どうしてもやりたいらしくていつまでも騒いでいた。
 帰りに見たら雪をほじくり返して小石を探し回ったらしくて、あたり一面汚い泥だらけ。
 まあ、3人寄ると自制が効かなくなる人たちっているよね……。


 拝殿と本殿。
 雪と緑に映えるいい朱色。


 神社のすぐ下にある白糸の滝。
 小さいけど動きがあって、なかなかいい感じ。
 今は冬で水量が少ないんだろうけど、水が多くなったら楽しそう。

 そんな感じで昨日の分まで堪能して戻ってきたのだった。


 ついでに山道を通って二荒山神社まで歩いてきた。


 お手洗いに行くために立ち寄った輪王寺。
 昨日の雪の面影は全くなくなっていた。

雪が見たくて奥日光

 奥日光に来ている。
 雪が見たくなったのだ。
 白状すると、人間様はこれまで大雪というものを1度しか見たことがない。
 生まれた時からずっと温暖な地方の暮らしで、ウィンタースポーツもやらないので、そういう地方にこれまで全く縁がなかったのだ。
 小学生の頃に1度だけ、妹ともども両親に白馬にスキーに連れて行かれたことがあるが、確かその時は大雪で電車が途中で止まり、レンタカーを借りたら道路の除雪が間に合わず、半日ぐらい大渋滞のまま立ち往生していた記憶しかない。
 そういえば、その時たまたま行き先が同じだったので乗せてあげたお兄ちゃんは元気だろうか。確かお母さんが有名な登山家という事だったのだが名前をもう思い出せないや。

 まあそんな感じであまり雪に思い入れもなく生きてきたのだが、一昨年の秋に奥日光に来て、こんなに簡単に来れるなら雪を見に来てもいいかなと思ったのだった。
 丁度その日に南岸低気圧とやらで東京まで雪になるのは想定外だったけどさ。


 東照宮。

 降っている。
 しんしんと降り積もっている。
 まだ朝の10時にもなってないが、もう人が踏んでも地面が出てこない。


 輪王寺の黒門も、真っ白な雪をかぶっていつも以上に真っ黒。


 モノクロと赤と金。


 そして陽明門は工事中だったのでがっかりする。



 でもまあ、他の所が美しいからいいや。
 エナガも見れたし。

 気付いたら2時間ぐらい東照宮と輪王寺をうろうろしてしまったので、次の行動を考えなくてはならない。
 当初の予定では、明智平に行って華厳の滝と中禅寺湖を堪能するつもりだった。
 が、サイトを見ると、霧のため風景が見えないと書いてある。
 とはいえ、他の候補(滝尾神社とか中禅寺立木観音とか)は全部雪で駄目だし、とりあえず行くだけ行ってみようか。


 そして完全に雪国になっているいろは坂。
 しかしこんなになっていても、バスは定刻通りちゃんと来るし道路は普通に通れるし、移動に際して全く不安がない。
 日光すごい。


 車も人も全くいない明智平(2台いるのは職員さんの車)。
 ロープウェーも貸し切り状態で、他にお客がいないため、完全にこちらの都合に合わせて「行きますか?」「帰りますか?」と動かしてくれる。
 ちょっと楽しくなってきた。


 ガスの中の展望台。
 しんとした白い空間の奥から、華厳の滝の音だけがごうごうと聞こえてくる。なんだか神秘的な感じ。
 昔の人が山を神とあがめた心が分かる気がする。


 ついでに足跡つけまくって遊んできた。

 というわけで明智平が意外と面白かったので、華厳の滝にも足を伸ばしてみることにする。


 一昨年の11月は、華厳の滝の駐車場に入りたい車が、このあたりまで並んでいた。
 が、今は店すらやっていない。
 外に出ているのは華厳の滝を見物に行く観光客と、除雪の人だけ。
 店が閉まってるのは雪だからかそもそもこの時期はやっていないのか、どっちなんだろう。


 真冬の華厳の滝。
 なにこれかっこいい……。



 写真が白っぽいのは荒れているのではなくて、全部雪。
 滝のしぶきが凍った淡いアイスブルーが本当にきれい。いつまでも見ていられる。



 華厳の滝の反対側、滝などない山の斜面にもアイスブルーの氷瀑ができている。
 華厳の滝エレベーターのスタッフの人に聞いたら、このあたりから出ている湧き水が凍ったんだって。

 晴れの日の雪の滝ももちろんいいんだろうけど、雪で白黒になった景色の中で、淡い青がそこだけ色彩を持って浮かび上がってくるのもなんとも趣があって好み。
 氷瀑も含めてこれはいいものを見た。


 帰りはとうとう歩道が通れなくなったので、車道を歩いてバス停まで戻る。
 大丈夫、車全然来ないので。


 人はいないが、寒そうなカラスはいる。

 なお、気温はすでに氷点下になってるっぽいが、カナダグースのダウンコートと足元はアサヒトップドライのゴアテックスレインシューズで固めた上に、フェイクファーの耳当て付き帽子をかぶったら全然寒くない。むしろ坂や階段を上がると暑い。
 ただ、トップドライは足裏に雪がこびりついてたまに滑るので、ちょっと危ない。

 うーん、ここまで着たら、湯滝にも行こうかな……。
 どうせ最終地点は湯元だし。


 来た。

 実はここまで大変だった。
 普通の時は、湯滝のバス停から遊歩道を数分下っていくだけで、途中に駐車場はあるし、滝のふもとにはレストハウスがあるしの良くある観光地なのだが、この時は全然違っていた。
 まず、駐車場もレストハウスも完全閉鎖されてひとけが全くない。
 駐車場が閉鎖されているということは、行くことができないのかと思ったのだが、どうやら歩行者は入れるようだし、雪上車のわだちの跡もついている。
 つまり、物理的に行けないというわけではないようだと考えてわだちをたどって歩き出したのだが、とにかく、本当に誰もいないし、声も音もしない。生き物の気配すらない。聞こえるのは自分の足音と、傘に雪が当たるさらさらいう音だけ。
 このままやばい所に行ってしまうのでは、でも目印的にはこっちでいいはず、と不安になりながら歩くことしばし、滝の音が聞こえてきた時は本当にほっとした。
 観瀑台には、新しい雪で消えかけているものの、かなりの足跡が残っていたので、バス停からではなく、戦場ヶ原や湯ノ湖の上から下ってきている人はいたのかもしれない。
 とりあえず急いで写真を撮って、次のバスに間に合うように戻り始めたのだが、ほんの10分ほど前につけた自分の足跡が、もう降ってきた雪で輪郭がおぼろになっているのを見た時にはちょっと焦った。
 まあ実際にはそれほど長い事あるいていた訳ではないのだけど、バス停に戻った時は本当にほっとした。

 というわけで、思いつきであっちこっち寄り道しながら湯元へ到着。
 でも実は、まだ東武日光駅から別送した荷物は届く時刻ではないので、チェックインしても着替えも何もできない。
 なので湯元をしばらくうろうろすることにした。


 雪の中だとまた違う趣がある源泉。
 どうやらぬくぬくとくつろいでいたらしいヒガラやらカモやらが片端から逃げていくので、ちょっと申し訳ない気持ちになった。


 温水の中に転がる石の上に頑張って積もる雪。
 というかなぜ溶けないんだろう?


 湯ノ湖。
 手前の水の部分は、湖底で温泉が湧いていて水温が高いからで、奥の水平線が白い部分から先は全部凍っている。
 ここでもカモが泡を食って逃げていったので、ちょっと申し訳ない気持ちになった。



 そして外には本当に誰もいない。
 住民の皆さんはともかく、観光客は雪見物とかしないの? しないの?

噴火で滅びた都市の遺物見てきた

 国立博物館の「ポンペイ展」に行ってきた。


 入り込んできたおばちゃんをなんとか避けてトリミングしたら、中途半端に切れてしまった。

 ポンペイは言わずと知れたヴェスヴィオ火山で埋もれた街。
 日本人もポンペイ大好きなので、絶対混む予感がする。
 どこかテレビに出てしまう前にと思って開催2日目に早々に行ったのだが、まさに今日世界ふしぎ発見でやっていたので正解だったかもしれない。
 でもすでに人いっぱいだったけど。


 今回は基本写真撮影OK。
 展示品は壁画とか日用品とかだが、1体だけ遺体の石膏型があった。
 若い女性の物だというが、この人、上半身はトゥニカかなにか着てるのに下半身が裸なのは、スカートが薄い布地でそれだけ燃えたか、倒れた時に後ろから火砕流を受けて上にめくれ上がって、そのまま固められちゃったんじゃないかと思うんだよね。
 いずれにしても、こんな格好で永久にとどめられちゃって可哀想。


 面白い顔の口から水が出てくる奴。


 止水栓。
 右側の部品を左側の部品の上から差し込んで、四角い穴の部分に角材かなにかを通して回して、穴の位置を合わせたりずらしたりすることで流量を調節していた。
 今でも田舎の方で普通に使われてそうだな。


 すごい臨場感ある俳優の像。
 朗々とした歌声が聞こえてきそう。


 今回見たかった「辻音楽師」。
 数ミリの色石を並べて描いたモザイク画。構図といい動き、表情といい間違いなく傑作。
 これが発見されたキケロ荘と呼ばれる邸宅は、他の家とはレベルが違う洗練された装飾のオシャレハウスで、ものすごいセンスのいい人が多分建てたんじゃないかと思うんだよね。この絵を描いた人と同じかどうかは分からないけど。


 お風呂に入るのでサンダルを脱ごうとしているウェヌス。


 1個の黒曜石の岩を彫り抜いて石で装飾を象眼した鍋。
 アレクサンドリアで作られたのでエジプト風。


 紺色のガラスの上に白いガラスをかぶせて、それを彫って作り上げたボトル。
 良く見ると上の方とか、完全に葉の端が浮き上がってる部分があって、一体どれだけの技術なのかというのと、良くこんな繊細な物が壊れもせず保存されたなというのと、ほんと色々ある。
 あと単純に欲しいこれ。


 なんか食ってるミネルヴァ。


 元祖壁面広告。
 賃貸募集の公告らしい。


 古代ローマ人は日本人と同じく花鳥風月を愛したようで、日本人も描きそうと思うような動物や植物の絵が良くある。
 こんなの掛け軸にしたら良さそう。


 真珠のアクセサリー。
 真珠なんて劣化しやすいのに、良くこんな新品みたな輝きで残ってたな。


 噂のパン。
 なおこれをクッションにしたのがショップで売っていたので買ってしまった。
 大きさといい形といい、なかなか尻のおさまりが良さそう。


「豚の重し」とのことだが、漬物でも漬けてたんですかね?


 アヒルの形のケーキ型。
 全然アヒルに見えないと思っていたが、生きているアヒルではなくてアヒルのローストの形の型らしい。
 訳が分からない。


「猛犬注意」


 動物のモザイク床。かわいい。


 湯沸かし器。
 上から水を入れたボウルをはめ込んで、下で火を燃やして沸かす湯沸かし器というよりストーブみたいなものっぽい。


 氷ポケット付きデキャンタならぬ、穴に炭とか入れて壺の中の料理を温めておくやつ。
 温かい物を温かいままで供するという発想が、すでに紀元前にしてあるのすごい。
 でもローマ人だからな……やりかねないな……。


 竪琴(なくなっている)を抱えるアポロン。


 鳥がかわいい祭祀台。
 上に四角くくぼみが作ってあるので、そこで供物を燃したとかなのかな。


 食品棚に忍び込んでカモをちょろまかす猫の図らしい。
 すごい獣の顔してるなこの猫……。


「猛犬注意」
 実は結構あちこちにあったんだって。
 日本の家の玄関に昔良く貼ってあった「犬」ステッカーと同じようなものか。

 ポンペイだけではなく、やっぱりヴェスヴィオ噴火で壊滅したエルコラーノ、ソンマ・ヴェスヴィアーナの物もあり、かなり濃くて面白かった。
 同時に、展示品からは、貧富や職業の差はあれど、何の変哲もなかった「日常」が突然災害によって断たれた残酷さも浮かんできた。

○おまけ
個人的に非常にツボにはまったグッズ。


 パン持って踊るファウヌス。


 ここで買ったのか……。

空飛ぶカメでのお食事会

 ANAのカメ塗装のエアバスA380の見学と機内食体験会「レストランFLYING HONU」に参加するために、成田空港まで行ってきた。
 前に滑走路に迷い込んだカメに止められてたやつ。
 結構人気があるようなのだが、ネットでたまたま情報を見つけて申し込んだら運良く予約が取れたのだった。
 実は羽田空港と間違えてたのは内緒なんだけど。

 成田なんて行くの久しぶりだな。
 15年近く前にアメリカに行った時以来じゃなかったかしら。
 友達と行くと親に言って、実は一人でヒューストンのNASA見て、帰りにワールドコンに参加したんだった。
 まだアメリカがのんびりしていて寛容だった時代。


 機体が停めてあるのは南ウィングから滑走路を隔てて反対側にあるエプロン。
 一応「搭乗」扱いになっているので、ちゃんと国内線の出発エリアからセキュリティチェックを経て、正規の搭乗口からバスに乗って向かうことになる。
 待合室ではANAの人が手作り感満載の歓迎をしてくれる。


 ちなみに搭乗口のディスプレイがかわいくなっていた。




 あんまりバス使うような路線って乗ったことがないから、この風景を見るだけでもうテンションが上がる。
 でもやっぱりコロナの影響で飛行機は少ない。


 稼働していない機体がこんな風にずらりと並んでいるし。


 FLYING HONUが見えてきた!
 実は、これまでの見学は青の1号機と緑の2号機だけだったのだが、10月にオレンジの3号機が日本に到着。今回初めて3機そろい踏みとなったらしい。
 ラッキー。


 そしてJALに撮影を邪魔される。


 1号機。
 アントノフのAn-225に次ぐ世界2位の大きさだそうさけど、アントノフと比べると、低翼のせいか圧迫感がなくてそこまでデカいという印象はない。
 というか、高翼機の機体を無理に低翼にしたみたいな妙な感じがある。
 あと、翼。大きなエンジンを二つぶら下げている割には、すごい長くて幅が狭くてシャープな感じ。
 巨体な割に小回りがきいて操縦性能がすごくいいということなので、やっぱ翼も違うのかも。


 2号機とその奥の3号機。
 この後2号機で機内食を食べて、3号機を見学する流れ。
 タラップの横では機長や料理長(今回食べる機内食の開発責任者)との写真撮影会が行われていたが、とりあえずあんまり撮影する意味が分からないしいいかなと思ったのでスルーした。


 席は今回、食事だけプレミアムエコノミークラスにグレードアップしたエコノミーにしている。
 窓から見える1号機。
 実は、申し込みの時に座席はビジネスもファーストも選べるのだけど、やっぱりそれなりのお値段がするので、動かない機体で2時間過ごすだけと考えるともったいなかったのだ。
 だってビジネスで3万円、ファーストだと6万円なんだよ。


 で、これがグレードアップした機内食。これにハーゲンダッツのアイスクリームと食後の飲み物がつく。
 予想してたより抜群においしかったし、量も結構あってお腹いっぱいになった。今の機内食すごいな。
 というか、前に国内線のプレミアムクラスで出た弁当はふーんて感じの味だったから、さすが国際線のプレミアムといったところなんだろうか?
 そして、調子に乗って大量にアルコールを飲んで酔っ払ってはしゃぐおっさんが出るのはお約束。


 なお、クリスマスのサービスとして特製クッキーも出た。
 食べるのもったいないな……。

 そんなこんなで食事が終わると、次は3号機の機内見学。
 この3号機、コロナの影響で、日本に来たはいいが1回も客を乗せて飛んでいないらしい。
 つまり、未使用まっさらの状態が見れる。なにそれすごい。



 1、2号機は男の子だが、3号機は女の子という設定。
 ロールスロイスのデカいエンジン。人の身長ぐらいゆうにある。


 A380は客室は完全2層になっている。1階席はエコノミー。
 2号機ではこの席で食事をした。


 多目的ルーム(授乳とか着替えができるトイレとは別の部屋)の表示が何かおかしい。


 2階席にあるのはプレミアムエコノミーとビジネス、そしてファースト。
 写真はビジネス。ちょっと分かりにくいが、2席を1人で使う仕様。
 座席は完全にフラットになって寝ることもできるので、半分コンパートメントに近い。
 なお、天井のレインボー照明もこの機の特徴らしい。


 ファースト。これはベッド仕様になっているところ。
 ここまでくるともはやカプセルホテルと言っていいんじゃないかな。
「Don’t Distub」表示ができるランプまでついてるし。


 そしてファーストの記念品のアメニティボックスがめちゃくちゃ欲しかった。
 当然市販なんてしてないので、ファーストに乗るか、ファーストに乗れる人からもらうしかない。
 ……どっちも一生無理だなー。


 昇降口の所にあった面白い窓。
 老眼鏡みたいに上下で構造が分かれていて、こんな風に外の景色が二重に見える。
 何に使うのかは不明だけど。


 そんなこんなで意外と面白く過ごして見学は終了。
 またバスに乗って到着口まで戻る。



 帰りもまたテンションが上がる風景。
 でも、ほとんどの機材が使われないまま並んでいるし、ひとけもないし、何より航空機のエンジン音とか、いろいろ車が走る音とか、装置が動作する音とか、空港で普通聞こえてくるいろいろな音がほとんどなくてしんとしている。
 この後、国際線の出発ロビーをうろついてみたんだけど、本当に人がいなくて、海外旅行は壊滅状態なんだなあと改めて思った。


 展望デッキから。
 全く飛行機が動いていなくて、どこかの地方空港みたいになってる。

神在月の美術鑑賞

 庭園で有名な足立美術館に行ってきた。
 ここは明治時代、貧乏な農家に生まれた足立さんという人が、戦争直後のヤミ商売や不動産投資で大富豪になって集めてきた、主に絵画を保存展示している美術館である。そういう意味では、箱根の岡田美術館と経緯は似ている。
 これまで松江にあるのかと思ってたら、どじょうすくいの安来節の安来にあったのでちょっと驚いた。
 しかも行ってみたら、すぐ隣が安来節演芸館だった。
 そんな単体で演芸館作れるほどの強力コンテンツなのか、安来節……。

 朝の9時には最寄り駅の安来についたのに、無料送迎バス乗り場にはもう数十人が並んでいていきなり出鼻をくじかれたのだが、美術館についたらついたでまた入場券売り場で行列していた。
 こんなこともあろうかと、チケットは前もってネット購入していたので入場はスムーズだったが、中も人が多い上に、庭をあちこち経由させる順路の動線が複雑でなんか落ち着かない。


 まあとりあえず庭を見よう。


 こんな感じの広大なメイン庭は勿論、坪庭クラスの小さなものから池をメインにしたものなど、あちこちに様々な庭がしつらえてある。
 そして抜け目がない事に、どの庭も、鑑賞するのに一番いい場所は喫茶店やレストランが占めている。


 丁度木のてっぺんにアオサギが止まった。
 そして滝がある土が露出したあたりは、実は用水路と道路を隔てた先にある丘を削って崖を作った借景になっている。
 実は来る時に丁度この崖の下を歩いてて、なんでここだけ半端に土が出てまばらに木が植わっているのか不思議だったのだが、これを見て謎が解けた。


 メイン庭のパノラマ。

 ここの推しコレクションは北大路魯山人と横山大観らしいが、正直どっちもなんか印象が良くなくて好きではない。
 でも丁度特別展で日本画展をやっていて、こっちには好きな画家の物が結構あったので満足だった。

 この後、適当に松江をぶらついてから帰ってきた。
 また行く機会があるかどうか分からないけど、あったら美保の方に脚を伸ばしてもいいかもしらない。