その他生物」カテゴリーアーカイブ

御用邸初トライの日

 1月14,15と日光に行ったため、後追いでアップしています。


 奥日光の朝。

 おかしい、昨日の天気予報では朝から曇りだったはず……。
 曇りどころか雲一つない……。
 しまった日焼け止めを持ってこなかった……。


 でも中禅寺湖は天気予報通りの曇り。
 それどころか、下からガスがどんどん上がってきて景色も見えなくなりつつある。
 そういえば、買い物をしたお店の人が、湯元あたりは山奥すぎるので、天気が他と全然違うって言ってたっけ。
 なんと湯元には梅雨もないらしい。なにそれ北海道か。


 もしかするとガスに包まれた華厳の滝が見られるかと思ったのだが、そんな事なかった。
 ここだけ高度が下がるので、ガスは滝の頭上を飛び越していってしまっているらしい。


 湖面に触れんばかりに降りてくるガス。
 真冬にこうなるのは珍しいらしい。昨日暖かかったから、というのは地元の人の話。


 そしてこいつは、常に水面からこちらを監視していて、目が合うと即座に潜って逃げてしまう鳥。
 何度かの攻防の後、やっと写真を撮るのに成功した。
 ちなみに名前は知らない。

 さて、中禅寺湖も堪能したし、下の世界に戻るとするか。
 今日は現存する最大の御用邸、田母沢御用邸を見るつもりなのだ。


 田母沢御用邸は中禅寺湖からいろは坂を下って30分ほど。バス停の真ん前なのでとてもアクセスがいい。
 正式名称は「日光田母沢御用邸記念公園」。大正天皇の夏の避暑地として、明治に紀州藩の中屋敷や、赤坂の東宮御所、日光の資産家の屋敷などを移築、組み合わせて建設された。大正時代になってから、謁見所などの公的な部分が増築されて、実に部屋数100室を越える大規模なお屋敷になった。
 戦後は大蔵省の管理下から栃木県に譲渡され、一時合宿や研修施設などとして使われていたが、20年ほど前に大規模に復元して歴史的建造物として公開し始めたらしい。
 元々あった部分はもちろん、復元部分も宮大工の本気の匠の手仕事なので、ほぼ現物と言っていいんじゃないかと思う。


 中庭。
 こうしてみると田舎のおじいちゃんちみたいなのだが……。


 中はこんな感じ。
 地味ながらもめちゃくちゃ手間暇かけて作ってある。


 ここは紀州藩の屋敷だった部分で、大正天皇の皇太子時代の御学問所。早い話が勉強部屋。
 菅原道真にちなんだのか、梅の絵が白壁一面に描いてある。
 今は色あせちゃっているけれど、シンプルな部屋に紅梅の赤が映えたんだろうなあ。


 そして皇太子が大正天皇になったからは、滞在する度に三種の神器も一緒にやってくるようになった。
 ここがしまっとく部屋。
 いちばん格式の高いお内裏様とお雛様の畳が敷いてある。


 こんな絵も各所にあって楽しい。


 ここは梅の部屋の真上にある3階の御展望室。1月末まで特別公開されている。
 まあただの座敷なのだが、当時幕府は2階建てまでの建築しか許していなかったので、3階建てというだけで非常に珍しいそうな。
 当時吉宗を出した紀州藩が、権勢に物を言わせて禁令を無視した結果できたものらしい。


 ニワトリ。


 皇后の公的な部屋のシャンデリア。赤い縁取りがかわいい。

 さすがに100室全部を見せてもらえるわけではないが、それでもかなり広い。
 自分のペースでふらふら見られるし、途中見回りをしたり見張りをしていたりする係員さんが皆さん親切で、質問をするとものすごい蘊蓄を語ってくれる。
 なかなか楽しい。


 そして当然ながら庭もある。
 緑の季節だとかなり映えるんだろうなあ。

 面白かった。
 とにかく広い上に何しろ昔の建築なので非常に寒いのだが(足が冷える人のためにスリッポンの内履きが用意されている)、いろいろ小ネタ的な要素がすごく楽しい。

 これで見たい所もひととおり終わったので、適当にぶらぶらしながら戻ってきた。

明智平リベンジの日

 1/14、15と奥日光に行ってきたので、まとめてアップします。

 というわけで唐突だが、奥日光に行ってきた。
 本当は5月の連休に恐山と温泉に行く予定だったのだが、乳ガンが見つかってこの時期は大人しくしている羽目になりそうなので、じゃあ今のうちに勝手知ったる日光にでも行ってこようかとなった次第。
 去年見れなかった明智平にもリベンジしたいし。

 東武日光駅到着は朝9事半。気象情報では曇りと出ていたので今回も無理かと思ったのだが、雲が高くてふもとからは男体山とかもくっきり見えていたので、上がってみることにした。
 まあ駄目だったら中禅寺湖で遊ぶか、また下に戻ってどこかをうろうろすればいいし。
 しかし暖かい、暖かすぎる日光。
 例によってカナダグースのダウンを着ていったら暑くてたまらない。
 でも奥日光はきっと寒いし、15日は天気が崩れて気温も急降下するみたいなので、我慢なのだ。


 見えた!
 やっぱり雪少ないな……。


 明智平からしか見れない白雲の滝は、完全な氷瀑になっている。
 この滝も昔は遊歩道で近くまで行けたそうだけれど、今はこうやって遠くから指をくわえて眺めるだけ。


 これは中禅寺湖とは反対側、朝霧に沈む関東平野。

 どっちも素晴らしい風景なのでいつまでも見ていたかったが、いつまでも居座っていたら不審人物になってしまうので、ほどほどで諦めた。
 次はどこへ行こうかな。
 そうだ、やっぱり去年大雪で行けなかった立木観音に行ってみよう。


 来た。
 曇っているのにこんなに風景がくっきりしているのは、湿気が少ないからだろうか?
 上空風強そうだけど。


 立木観音に行く途中からしか撮れない湖に映る男体山。


 このオオバンたちは羽毛がもっもこなのか、中身がデブなのあ、どっちなんだろう……。


 湖にたたずむオオバン(矢印)と奥日光の連山。

 とかくだらないことをして遊んでいたら、時間もそろそろ15時過ぎ。
 それでは宿泊先の湯元に向かおうか。


 ……の途中の三本松で途中下車。
 いや、一度この三本松茶屋に来てみたかったのだ。
 単なるレストラン&土産物屋なんだけどね。明治4年創業の。


 そして店から道路を隔てて徒歩1分の所に、戦場ヶ原の展望所が設置されている。
 ……中禅寺湖の曇り空が嘘みたいに晴れてるな……。


 そしてまだ16時にもなっていないのに、この影の長さ。
 さすがにこのあたりになると、標高も1400メートルを越すので雪が多くなってきた。
 でもやっぱり全然寒くない。


 展望所からは、装備のない素人さんも楽しめる100メートルぐらいの木道が整備されている。
 もっとも見ての通りの状態なので、ヒールつきのスニーカーとかオシャレブーツとかで行くのはやめたほうがいい。

 20分ぐらい遊んで次のバスに乗るつもりが、雪を堪能したりここだけの名物のイチゴアイスを食べたりしていたら、1時間もたってしまった。
 でもここ、戦場ヶ原の反対側にも、自然遊歩道があるみたいなんだよね。
 まら来たらそっちに行ってみよう。今度は雪のない季節に。

 そんなこんなで気ままに楽しみながら湯元に到着。
 最期にいつもの温泉寺から源泉を見て、ホテルに行こうかな。


 温泉寺は冬には無人になるので、最低限の雪かきしかされていない。


 源泉には、いやに大きな鳥が木にとまっている。
 なんだろうあれ……猛禽の類かな。


 !?


 鳥じゃない、サルだ!


 気付けばあっちこっちにニホンザルがいた。
 源泉から出る通り道の真上に陣取っているので、無事に通り抜けられるのか不安になったが、人前に平気で出てくるのことだけはあって人間の存在に慣れているらしく、道の端っこをそろそろ通り抜けたらちらっとこっちを見たきり後はスルーだった。


 枝を折っては皮を剥いで食べている。


 すごい毛のボリューム。

 サルは日光で何度も見たけど、こんな近くで何かしているのに出くわしたのは初めて。
 面白いなあ。

晩秋のバラと庭園

 母親と妹と旧古河庭園に行ってきた。
 最初は六義園に行く予定だったのだが、急遽母親の気が変わったのはここだけの話。

 旧古河庭園は、元々古河財閥の持ち物だったのが、戦後困窮した古河家の税の物納で国有財産になり、その後庭園として一般公開されたもの。
 明治の建築史には大抵名前が出てくるジョサイア・コンドルが設計した洋館と、洋風のバラ園、和風庭園を併設する。
 丁度今の時期は、秋のバラと紅葉のイベントが行われている。


 入口とか撮り忘れたのでいきなりバラ園から。
 みんな太陽の方向を向いてた。


 春のバラみたいに成長期ではないので、勢いよく無数に咲いている感じではないけれど、つぼみを間引く事でひとつひとつの花を大きくする工夫をしているのが伺える。


 洋風庭園はこんな感じ。
 まあ良くあるタイプ。


 洋館。中には喫茶室があってお茶できる。


 その名も「クイーン・エリザベス」というバラ。


 ブルームーンだったかな……?


 緑色のバラ。


 で、洋風庭園からさらに一段下がったところに、今度は池つきの広い和風庭園がある。
 紅葉がいい感じ。


 東京ではファッションでしかない気がする雪つり。


 この巨大な石灯籠を何に使うのか、妹が不思議がっていた。
 多分ちょっと幽玄チックな池の夜景を楽しむんじゃないかな。


 小さな茶室もある。


 椿と紅葉と常緑樹。

 六義園にも行った事がある妹によれば、こっちの方が良かったらしい。
 確かに東京とは思えない閑静でいい庭だった。しかもこれで入場料は大人150円(ただし洋館は見学料別途400円)なのだからすごい。

ふわふわの拾いもの

 道端でメジロを拾った。
 近くのビルのガラスにでもぶつかったのか、道の真ん中でふくらんで目をつぶってじっとしていた。
 どうやら怪我はしていないようなので、拾って両手に包んでいたら、しばらくして目を開け、こちらをガン見したり首を回してきょときょとしたりし始めたので、人目につかない日当たりのいい植え込みに置いてやった。
 顔の前に指を出すとかぷかぷ噛んでくるくせに、首の後ろを掻いてやるとちょっと気持ちよさそうに目を細めるのがかわいかった。


 植え込みの中のメジロ。
 この頃にはもう自分でぴょいと跳ねて手から降りるぐらい回復していた。

 夜に様子を見に行ったらもういなかったので、どうやら良くなって飛んでいったらしい。
 メジロなんて触ったの初めて。マメルリハの3/2ぐらいしかなくて、ふわふわして小さかった。
 でも目つきは結構悪かった。

猫と鉄道

 山種美術館の竹内栖鳳展に行ってきた。


 いつもこの絵がメインビジュアルなのがちょっぴり気の毒な竹内栖鳳。
 たまには他の絵をメインにしてもいいと思うんだよね。カエルとか。
 この人の描くカエル、すごく可愛いし。


 そして今回この絵は撮影可だったので、つい撮ってしまう。

 内容は、2年ぐらい前のアニマルパラダイスから、竹内栖鳳だけを切り出して、風景画とかを追加した感じ。良く言えば手堅い、ありていに言えば面白みがない。
 図録もなかったので、美術館側の位置づけとしてもそれほどの展示会ではないんじゃないかな。
 初展示も数点あったけど、いずれも栖鳳の晩年近くの小品で、目を見張るようなものでもなかったし。

 まあそんな感じで割とあっさり見てしまったので、東京駅ステーションギャラリーの「鉄道と美術の150年」もハシゴした。


 情報量が多すぎるパネル。

 うーん……。
 なんというか、なんかちょっと違うなという気がした。
 ペリーが持ってきたというミニチュア鉄道(といっても人を乗せて走れたらしい)に始まって、鉄道開業から現在に至るまでの鉄道にまつわる絵画や写真を展示している。
 最初にペリーの汽車とか鉄道開業の錦絵とかを見せられたので歴史資料的なものを期待していたのだが、実際には鉄道が含まれる絵画や写真をひたすら集めて展示しているだけだった。
 点数も多いし頑張って集めてきたなあとは思うし、興味深い物もいくつかあったが、これだったら素直に鉄道の歴史や鉄道を巡る風俗を正面から見せる形の方が面白かった。

呉(2日目)と宮島にて

 研修最終日。
 この日は午前中に呉のてつのくじら館と大和ミュージアムを見るだけ。





 もう何度も書いてる場所なので、画像適当に貼っておきますね。

 11時過ぎには解散になったので、宮島の水族館に向かうことにした。
 呉から宮島まで約1時間半。新幹線の時間を考えるとちょっと余裕がないが、前回宮島に行った時に気になっていたので、頑張ってみることにしたのだ。


「丸んせみ」ってなんじゃと思ったら、「みせん丸」(弥山、宮島の山)だった。
 そういえば弥山も行けてないな。いつもロープウェイ大混雑だし。
 今度はそれを主目的に来よう。


 これが有名な「隙あらば店内に入ろうと様子を伺う鹿」か……。


 牡鹿には角が生えている。
 奈良だと危ないので容赦なく切られているが、ここの鹿は大人しいからそのままなのかな。


 大鳥居は大規模修復中。まあ前回見てるからいいけれど。
 そういえば、この状態の鳥居を写生する写生大会という、鬼のような企画のチラシが貼ってあった。
 正気か。

 宮島水族館は、宮島港から歩いて20分ほど。厳島神社のさらに向こうにある。
 入場料を払って厳島神社の中を通っていけばショートカットになりそうだったが、さすがにそれは自制した。


 入ると最初にあるのは牡蠣の養殖いかだ。レプリカではなく実際に牡蠣を育てながら、いかだ周辺の環境を再現している。
 似たような物を前にどこかで見たぞと思ったら、仙台うみの杜水族館のホヤ養殖水槽だった。


 なんか良く分からない魚がいる……。


 シオマネキ、かわいい。


 ここでもモンハナシャコ。
 カメラを向けていたら隠れ家にするんと入ってしまったが、くるりと身体を丸めてターンする仕草がいちいち優雅。


 太刀魚。
 実はかなり暗闇に近い環境で、妙なリラクゼーション効果がある。


 瀬戸内海のイルカ、スナメリ。
 昔は良く見られたんだけれど、今は稀少動物と化しているらしい。


 タッククロス(違う)。


 最初に見た牡蠣養殖水槽の水面下。
 群れでぐるぐる泳ぐイワシの稚魚? がきらきら光ってとても美しい。
 いつまでも見ていられる。


 カメラを向けたら一目散に逃げていったタコ。
 そんな嫌がらなくても……。


 一方、たこつぼに入っている奴は全員片目とろうとをこうやって出して覗いているので、ちょっと恐い。


 ウマヅラハギ。
 名前は聞くけど実物を見たのは初めて。
 顔はともかく、白地に茶色の模様がある身体に青いひれがとてもきれいだった。


 海底に累々とするコウイカ。


 アナゴの皆さん。


 ヘラクレスカブトムシって始めるものなのかとか、ここは水族館ではないのかとか、いろいろとツッコミどころが浮かぶ展示。


 なんだっけ、食べるとミルクの味がするという説明しか覚えていないカニ。


 安定のタカアシガニ先生。
 これ見るとなぜかほっとする。


 ハゼはかわいいんだけど、気が荒くてしょっちゅうケンカしている。
 こいつらも次の瞬間ケンカを始めた。


 きれいな魚。


 泳ぐペンギン、下から。


 泳ぐペンギン、上から。
 同じ水槽の様子を下と上から見ることができる。


 ライブプールで、丁度オットセイの訓練をしているのに出くわした。
 オットセイだけでなく、先輩トレーナーが後輩トレーナーの指導もしているらしい。


 手のひらに鼻をぴたっとくっつけて動かずにいるというのが、言うことをきかせる基本の動作らしい。
 エサが欲しくて一生懸命頑張るオットセイと、そのオットセイの訓練を一生懸命頑張るお姉さん。
 微笑ましい。


 こんなことだってできるよ!


 夢中で見てたら、オットセイをそばで撮影させてくれた。
 これは撮影のために「待て」をしている所。多分こういうのも訓練なんだと思う。
 オットセイは犬の仲間だそうだけど、訓練の時の表情やしつけのされかたを見ていると納得するな。

 こぢんまりしていて瀬戸内海の生物が中心なので、いわゆる大手みたいに華やかではないけれど、でも逆に見たことがない魚とか結構いて楽しい。
 入場料が若干お高めだが、展示のレベルも高いので十分満足できる。
 さて後はブラブラしながら帰ろうか。


 人間を気にしながらエサをとっているコサギ(野生)。


 厳島神社を裏側から。

 この後焼き牡蠣を食べて、もみじまんじゅうを山ほど買って帰ってきた。
 牡蠣はあんまりおいしくなかったけど、よく考えたら今シーズンじゃなかったね……。

お寺へはるんるんに乗って

 今日は平泉へやってきた。


 ゆかしい造りの平泉駅。

 平泉は奥州藤原氏の本拠地だった所で、ゆかりの寺や遺跡が割とコンパクトにまとまっている。
 各地点を結んでるんるんバスという観光専用の巡回バスが走っており、車がなければこれを利用できる。
 これまで散々免許がないがゆえの辛酸を味わってきたので、さすがは岩手屈指の観光地とつい賞賛しかけたが、よくよく調べたらこのるんるんバス、1時間に2本しか出ていない。
 ……うん、でもこれまでに比べたら破格の扱いかな。


 もっとも、平泉駅についた朝9時には、まだるんるんバスは動いていなかったので、普通に路線バスで中尊寺に来た。
 バス停のすぐそばに弁慶の墓があった。
 なお、るんるんバスで、義経と弁慶が討たれたと言われる場所も行くことができる。ちょっと興味があったのだが、時間的に微妙だったので見送った。


 そしてここが中尊寺入口。
 また坂!?(悲鳴)

 そう、ここからかなりの急坂をのぼっていかないと、中尊寺にはたどりつけないのだ。
 なんか早くも心が折れそう。
 しょうがないから頑張るけど。


 でも長めは素晴らしい。


 坂を上って最終地点の金色堂に行くまでに、こういう小さなお堂がいくつもある。
 これは通称弁慶堂。奉られているのは地蔵菩薩だが、弁慶の立ち往生と義経の像がおさめられているので、この名前になった。
 というかさっきから弁慶しか出てこないな……。


 萩がきれい。


 やっとついた金色堂。
 といってもこの建物は金色堂ではない。
 覆い堂と呼ばれる保護用の建物で、金色堂本体はこの中にすっぽり格納されている。
 中は撮影禁止。
 隣には資料館もあって、仏像とか収蔵品とか、昭和35年の金色堂の解体修理の時に調査した藤原4代の棺の副葬品とかを見ることができる。
 泰衡の首桶とかもあって生々しい。
 というか、この人達のミイラの写真、みんな素っ裸で葬られた遺体としてはどうかみたいなポーズをしていて常々疑問だったんだけど、あれは副葬品とか着ていたものとか調査で全部剥がれてああなってたのね。
 この資料館には、発見時にミイラが着ていた袈裟とか経帷子とかも展示されていて、やっと謎が解けた。

 金色堂は、うん、すごかった。
 割と小さいのでがっかり名物などと言われる事もあるが、といっても、奥州藤原氏の3人の遺体+1人の首が中に納められているのだから、決してそこまで小さい物ではない。
 むしろ、小さなお堂のなかにこれでもかとばかりに金にあかせて豪華な細工を施し、さらにお堂全体を金箔で金ぴかにするというトンデモ発想に、もしかすると朝廷と同等か、それ以上かもしれなかった奥州藤原氏の権勢と羽振りの良さがひしひしと伝わってくる。ぶっちゃけ、秀吉の黄金の茶室とか鼻で笑うレベル。
 これは義経を口実に頼朝が滅ぼすわけだわ。絶対鎌倉より金も力も持ってたもの。


 どこかで見た顔だと思ったらうちの社長に似ていた松尾芭蕉。
 金色堂を見て「五月雨の降り残してやひかり堂」という句を残している。


 そして、古い寺社に良くあるように、ここも仏と神が一緒に祀られている。
 境内内にある白山神社にある能舞台。作ったのは伊達一族。
 能舞台なんて良く分からないけど、伊達と聞くだけでセンスがいいように見える。


 丁度お坊さんが鐘を撞いているところに出くわした。

 全部見るのに大体2時間半ぐらい。このご時世で御朱印がほとんど書き置きなので、その分時間がかからなくなっている。

 次に行ったのは毛越寺。
 中尊寺に行くと行ったら父親が熱烈に推してきた。なんでも庭園がすごいらしい。


 これが本堂。
 これだけだと普通の寺なのだが……。


 ちょっと奥に広大な池の庭園が広がっていた。なるほどこれはすごい。
 性質が全く違うので単純比較はできないが、規模で言えば足立美術館にも匹敵する。
 何度も火災に遭ったため、当時の主要な建物はほとんど残っていないが、元々は一番奥(真ん中の白い杭が立ってるあたり)に金堂(本堂)が建っていて、池に渡された橋を通ってお参りする形になっていたとのこと。


 ここも萩がきれい。
 ちょうど萩祭りをやっていた。


 左側の木の塊が経堂跡、右側が鐘楼跡。といっても土台石しか残ってない。


 噂の金堂跡。杭の説明文によれば、吾妻鏡に「金銀をちりばめ、紫檀赤木等を継ぎ、万宝を尽くして釈色を交う」と書かれた程の、それこそ金色堂並みの豪華絢爛さだったらしい。
 またしても奥州藤原氏の財力すごすぎる。


 紅葉が色づき始めていい雰囲気。


 曲水の宴とかやる水路。


 萩と紅葉。


 今も残る数少ない古い建物(といっても享保年間の物)。

 確かに父親推しなだけの事はある。
 まあ残っているものだけ見たら、ただの庭園と言えば庭園なんだけどね。

 で、最後に行こうと考えたのが、達谷窟毘沙門堂。
 岩に貼り付くようにお堂があるとか、岩に仏の像が彫ってあるとか一部で有名な寺。
 ただ、またしてもここはバスがないので、タクシーに頼る事になる。
 毛越寺ではタクシーがつかまらないので、一旦歩いて10分ほどの平泉駅に戻り、そこから出発した。
 ちなみにお参り中の待ち時間も含めて、かかった料金は5,000円。


 大きくはないが手の込んだ鳥居。律儀に一の鳥居から三の鳥居まである。
 奥に見えるのが噂の毘沙門堂。
 ん? 鳥居……? 寺なのに鳥居……?


 創建は坂上田村麻呂らしいが、なぜこんな所に作ろうと思ったのか……。


 これが岩の仏、岩面大仏。
 岩が脆いのかかなり消えてきている。もう10年ぐらいで危ないかもしれない。

 これで行きたかった所はコンプリート。でも新幹線の時間まで3時間近く残っている。
 早割で予定を変える事ができないので、とりあえず乗車駅の一ノ関まで戻ってぶらぶらして過ごした。


 ぶらぶらついでに撮った岩手山となんか山。
 橋の下を流れるのは磐井川。冬には白鳥が来るんだって。

 実は、中尊寺に行きたいなと思ったのが、今回の旅行のそもそもの始まりだった。
 どうせ行くならもうちょっと別の場所をと考えた結果、八幡平とか藤七温泉とか小岩井農場とかが加わり、気付けば岩手県内陸部を大縦断することになっていた。
 とにかく交通の便が悪くて苦労したが、結果としては割とスムーズにいったと思う。

森へはトラクターに引かれて

 岩手2日目。


 昨日とは打って変わっていいお天気。
 上の方でちょこっと湯気が見えているのも藤七温泉だが、こっちは完全な高温の源泉ばかりで人は入れない。

 さて、昨日も書いた通り、八幡平と盛岡駅は、1日1往復のバスでしか結ばれていない。
 そして、帰りのバスは15時にならないと来ない。
 チェックアウト後も居残って別料金で温泉に入る事は可能だが、そこまで入り続けていたいほどではない。もう1度八幡平に行こうか、どうしようかと悩んで宿の人に相談したら、チェックアウトの後、用事のついでに最寄りの路線バスの始発バス停まで車で送っていってくれるという。
 なんというホスピタリティ。

 というわけで、車で30分ほどのバス停に送ってもらい、そこから路線バスに乗って11時頃には盛岡駅に着くことができた。
 彩雲荘のおじさん、ありがとう!
 思いがけず時間に余裕ができたから、近くの小岩井農場まで行ってみよう!


 来た。

 実は全然近くなかった。
 確かに小岩井農場は盛岡から田沢湖線で2駅なのだが、この田沢湖線のダイヤが1時間に1本。しかもこの時間は1時間半以上間が開いている。
 盛岡からの路線バスもあるにはあるが、こちらは1日2往復で全然時間が合わない。
 しょうがないので盛岡からタクシーで5,000円かけて行ったのだった。
 運転手さんにいろいろ説明してもらって楽しかったけど、なんでこのあたりは無免許の人間に優しくないのだろうか。

 小岩井農場は牛乳でおなじみのあの小岩井農場。
 岩手山山麓に、東京風に言うと山手線の内側ぐらい、地元風に言うと田沢湖よりちょっと広いぐらいの広大な敷地を持っていて、その中で牧畜、養鶏(卵ではなく採卵用のヒヨコを出荷する方)、農業(乳牛用の資料を作っている)、林業(牧畜に最適な環境の保全のため)、観光をやっている。
 今日来た小岩井農場は、その広大な敷地の中の指先ほどのごくごく一部をレジャー施設に整備して一般公開している場所になる。


 なんか園内を歩いているのに出くわした。
 ドラえもんのパチモンみたいだと思ったが口には出さなかった。

 そして入園後すぐに向かったのが「ファームトラクターライド」というアトラクション。
 トラクターが引く客車に乗って、非公開エリアの森林を見せてもらうガイドツアーなのだ。
 ウェブサイトで見た時に、これだけは絶対乗りたいと思っていたのだが、首尾良く最終回である14時半の回の予約に成功。
 しかも最前席。やったね。
 後は名物牛乳ラーメンでも食べた後、適当に回って時間を潰そうかな。

 
 物陰に隠れてこちらを伺うウサギ。


 餌やり体験のポニーはニンジンが欲しくてこちらを伺っている。
 ごめんよ、まだ餌やり体験の時間は遙か先っぽいんだよ。


 エサを食べるのに夢中な馬。


 秋の花に虫がたくさん来ている。
 いろんなシジミチョウとアブだと思うがもしかするとミツバチかもしれない。


 トンボもわんさかいる。アカトンボは早くも真っ赤。
 ところで、こうやってとまっているトンボにちょっかいを出すと、いち早く察して逃げたり、羽をぴしぴし触られても動じなかったり、いろんな反応のがいるのだが、やっぱり性格なのだろうか?


 羊牧場。
 暑いのかみんなゼイゼイやっている。
 台風前のこの蒸し暑い日に分厚い天然ウールだもんね、無理もない。


 少しでも身体を冷やそうとしているのか、地面にぴったりとくっついて謎の生物化している。
 なんだか可哀想になってきた。


 遠くの日陰がある所にいる群れは、割と平気っぽいし。

 なんだろう、なんだかあんまり楽しくない。
 那須の南が丘牧場の方が、動物と人との距離が近くて断然楽しい。
 もっとも、全力で観光牧場をやっている南が丘牧場と、プロ畜産業の片手間に観光事業をやっているだけの小岩井農場を、同列に見るのが間違っているとは思うけれど。


 まあそんなことを考えながら、上丸牛舎と呼ばれる歴史区画にやってきた。
 ここには小岩井農場創設当時の設備が保存されていて、牛舎を中心とするいくつかはまだ現役で使用されている。


 搾乳可能な雌牛がずらりと並ぶ牛舎。
 今はお昼寝タイムなのか、みんな反芻しながらまったりしている。


 ずらりと並ぶ牛の尻。
 ちなみに、可能な限り清潔にしてあるのだが、フンの臭いやら何やらで独特の悪臭がする。
 畜産関係の設備なんて20年以上近づく機会がなかったから、こういう臭さがあるというのを久しく忘れていた。
 というか、日本人がささいな臭いまで気にするようになったのは最近の話で、昔の日本はこういう臭いが日常的にしている悪臭の国でもあったんだよね。別に日本に限らないけれど。


 こっちは妊娠中の牛がいる牛舎。


 優しい顔してるね。カメラ向けたら目を背けちゃったけど。
 牛もカメラが駄目なのか?

 んーまあこんなもんかなという感じ。個人的には、昔の物より今の最新の畜産設備の方を見たかったけど。
 そうこうしているうちに、ファームトラクターライドの時間がやってきた。


 でかいトラクター来た!
 イギリス製だって。


 この後ろについている客車に乗っていく。後ろ姿がガイドさん。


 最前列なのでトラクターの尻がすぐそばに見える。


 そしてマフラーにとまるオニヤンマ。
 このマフラーはトンボにとってよっぽど魅力的に見えるのか、この後も隙あらばトンボがとまろうとしていた。


 走り出すとこんな感じ。
 客車の車高が高いので、意外と遠くまで見渡せる。


 まず最初は牧草地に連れて行かれて、トラクターと遠くに見えるD51とブルートレインをバックに記念撮影。
 この車両は農場名物らしいが、なんで農場にD51とブルートレインがあるのかは良く分からない。


 いよいよ森へ。このあたりは不整地なので振動がすごくて、手ぶれ写真しか撮れない。
 周囲のスギの森林は全て、小岩井農場が植林して育てているもの。


 その森林が見渡す限り続いていくので圧倒される。
 スギたちは10年、20年、30年……とグループごとに少しずつ年齢をずらしながら飢えられていて、道路沿いのきれいなスギは、樹齢100年以上とのこと。
 ちなみにこの森林ができる前は、住む人もいない荒野だったらしい。そこに文字通り1本1本木を植えて、今の小岩井農場ができあがったんだって。
 それが山手線の内側ぐらいの広さ。
 なんかすごい歴史を聞いちゃったな。


 森の中の広場にやってきた。
 これはキノコの一種が寄生してしまったスギ。もうこうなると材木にはできないらしい。


 ガイドさん「真下から見上げると、木がらせん状に育っているのが分かりますか?」
 ほんとだ! 不思議! なんで!?


 参加者の子供がその辺で発見し、ガイドさんが大捕物の末に捕まえたヤマアカガエル。
 山に住むので吸盤がなく、代わりにジャンプ力がすごい。
 かわいい。


 捕まったショックか、放されてもしばらく呆然としていた。
 かわいい。
 この後我に返ってぴょんと跳んだら、見ていた子供がとんでもない金切り声を上げたもんだから、そっちの方にびっくりした。


 森を出ると牧草地が続く。
 ここにそのまま牛を放して食べさせるわけではなく、収穫して保存用資料にする。草を7年、飼料用トウモロコシを3年、小麦を1年輪作しながら使っているんだって。


 トラクターにわざわざ挨拶しに出てきてくれた、羊牧場の牧羊犬とバディのお兄さん。
 牧羊犬はおじいちゃんだけどお兄さんに甘えるのが大好き。

 楽しかった!
 林業って畜産以上に触れる機会がないから、ほんと知らない事だらけだった。
 10年、100年という先を見越しながら、成果を次世代に渡す前提で計画をして回していくのって、どんな感じなんだろう。


 朝はあんなに晴れてたのに、もう岩手山は完全に見えない。

 帰りは今度こそ小岩井駅から田沢湖線で帰った(ただし小岩井駅まではバス路線がないのでやっぱりタクシー)。
 特定の時間しか駅員さんがいない半無人駅なのに、普通に秋田新幹線が通過していくのがちょっと面白かった。

山へは1本しかないバスに乗って

 9月16日から岩手に旅行に来ていますが、16日の宿がネットワーク環境のない場所だったため、2日分まとめてアップします。

 というわけで、いずもに気持ちを残しながらも、旅行の予定は変えられないので岩手の八幡平にやってきた。
 この八幡平、公共交通機関で行こうとすると、1日1往復の盛岡駅からの直通バスしかない(途中乗り換えであればもう1-2本あるらしい)。つまり、車を持っていないと限りなくハードルが高い山なのだ。
 さらにこの直通バス、盛岡駅発が9:10。東京を朝6時半ぐらいに出発しないと間に合わない。なぜそこまでして行きたかったのか自分でもよく分からないが、行くのが困難であればあるほど頑張って行こうとしてしまう、そこはもう性としか言いようがない。


 岩手を代表する山、岩手山。
 一方から見ると富士山に似た独立峰だが、他方から見ると連山という変わった山。
 なんか最近山道にカラースプレーでむちゃくちゃ落書きをされたらしい。どうもやったのは外国人らしいが、この山は標高2,038メートルあるそうで、落書きするためにわざわざ登るとかご苦労様な話である。
 というか、前にもどこかの山で落書きしてた外国人いなかったか?


 10時半過ぎごろ八幡平に到着。山頂のレストハウスでバスを降りて、登りを開始する。
 富士山の森林限界は2,500メートル付近だそうだが、寒冷地の八幡平では1,500メートルぐらいでもう高い木はなくなってしまう。


 道はこんな感じで、完全に観光地として整備されている。登山装備を整えてくるまでもない。
 でも石が結構でこぼこしているので、ハイヒールやサンダルだとちときついかもしれない。


 岩と飛行機雲。


 ちょっとゲートっぽくなってる感じの木。


 鏡沼。
 春、円形の氷の周辺だけが溶けて青い水になった「ドラゴンアイ」と呼ばれる写真を見たことがあるだろうか。
 それが起こるのがこの沼。元々は火口だそうだが、大きさといい形といい周囲の草木の生え方といい景色といい、これは完璧なバランス。
 氷がなくても十分に美しい沼だった。


 めがね沼。
 向こう側にあるもうひとつの似たような沼と並べて眼鏡に見立てる、良くあるパターン。


 アオモリトドマツという松らしい。青くてきれいなのか気持ち悪いのかよく分からないまつぼっくりをつける。
 風雪のせいでこんな風にいびつに変形してしまっている。


 頂上ついた。


 でも眺めは微妙だった。
 晴れていればもっといろいろ見えるらしいのだが……。

 でもここが最終目的地ではない。
 多分次に行く所では、もっとよく見えるはずなのだ。
 気を取り直して、次の目的地に向かうことにする。


 次に向かう所とは、この地図の右側にある「源太森」という場所。
 源太って誰だよと思うのだが、ネットでの情報によれば、ここからの見晴らしが素晴らしいらしい。
 源太森の先にもうひとつ、茶臼岳(那須の茶臼岳と同名)という絶景ポイントがあるのだが、ここまで行くと明るいうちに戻って来れなくなる可能性があるので、源太森までで我慢することにした。


 丁度初秋の花と晩秋の花の間の時期で、野生のリンドウぐらいしか咲いていないが、結構あちこちにあるのでそれなりに楽しめる。


 あと、ところどころで紅葉が始まっている。
 いびつな松と何かの紅葉と岩手山。


 八幡平最大の沼、八幡沼。
 周辺の黄色い部分は全部高地湿原なんだって。
 湿原を越えて中央左よりの地平線にぽつんと出ているのが、目標の源太森。ずいぶん距離がありそうに見えるが、1時間程度で行ける。


 湿原に踏み込むと、平日だからか人が全くいない。見渡す限り自分一人。
 これはあれだ、踊りながら歩いてもばれないやつだ。


 上の地図の「源太分かれ」を越えたあたりで、道が段々悪くなってきた。
 木道が次第に壊れがちになり、とうとうそれすらなくなって石ころだらけの山道に。
 さすがにこれぐらいになると簡単なトレッキング装備ぐらいはしていた方がいいかも。
 あと、湿原が終わって森に入ったので熊が出る。しかも人がいないので熊鈴必須。
 用心のために今回は持ってきておいて良かった。


 熊鈴をチリチリ鳴らしながら歩くことしばし。源太森へ到着。
 名前こそ「森」だが、ここは八幡平山頂に次ぐ高さの山のてっぺんになる。
 しかも、八幡平のようになだらかではなく、ここだけぴょこっと突き出している(おかげで登りがとても大変)ので、八幡平より遙かに見晴らしがいい。
 これ、雲がなかったら遙か遠くまで見えるんだろうな。


 歩いてきた湿原が一望できる。
 結構遠いな……。


 なんかの実と岩手山。

 しばらく滞在して景色を堪能したので、また引き返すことにした。
 低くて厚い雲がちらほら近づく様子も見えてきているので、いろいろ見えるうちに帰ろうっと。


 これは草紅葉と言うらしい(うしろでおじさんが連れにそう言ってた)。
 確かに、単純に枯れてるのじゃなくて、赤や黄色やら紅葉っぽいな。


 緑の部分が草地で、黄色の部分が湿原。
 こんなきれいな色分けが見れるのはこの季節だけ(多分)。


 案の定、雲が急に降りてきた。


 あっという間に岩手山も雲でふさがれる。


 そしてレストハウスに到着。
 なんだか原初の風景が広がっていた。日光でも同じような風景はあったけど、山の深さが比べものにならない。
 なるほど、これは確かにいろんな何かがひっそりと息づいていそうだ。

 とまあ、こんな感じで八幡平を堪能したのだが、今回はこのまま下山しないで、山頂近くにある藤七温泉という温泉に泊まることにしている。


 これが藤七温泉。旅館の名前は彩雲荘。
 行きのバスから撮ったもの。

 この温泉、標高1,400メートルにある上、お風呂は地面を掘って木材で簡単に縁をこしらえると、そこにお湯が沸いてくるという、源泉掛け流しどころか源泉にそのまま入る温泉なのだ。しかもお湯が白濁しているので、入ったら足で慎重に探りながら歩かないと、うっかり源泉を踏んで熱い! となる。
 そして、さらに大きな特徴があるのだが、写真からおわかりいただけるだろうか。
 露天風呂が敷地内どころか、道路からも丸見えなのだ。
 さらに言えば、混浴なのだ。
 さすがに女性はバスタオルや湯あみ着で入浴できるし、簾で周囲を囲った女性専用風呂もあるので、そうそうけしからんことにはならないのだが、男性は基本、すっぽんぽんを全世界に晒していると思っていい。
 建物も、豪雪地帯で年間半年程度しか人が常駐して営業していないためか、1階部分を中心に大きく痛んでいる。客室へ向かう途中の廊下や、食事をする大広間などは完全に床が傾いていて、初めて見るとぎょっとする。
 が、建物の作りそのものは頑丈だし、客室は全く問題ない。きれいに掃除されて手入れも行き届いており、スタッフの皆さんもホスピタリティが高くて、そのへんの民宿などよりよっぽど居心地がいい。風呂さえ気にならなければ、すごくいい場所だと思う。
 電気が通っていないため自家発電とのことで、各部屋にテレビはないし(ラウンジにはある)、ドライヤーは洗面所に1個あるだけだし、電波もほとんど入らないが、たまにはそういう物から離れてみるのもいいかもしれない。


 あと、星がものすごかった。

どうぶつナイトフィーバー……でもなかった

 妹が母親をよこはま動物園ズーラシアのナイトズーラシアへ連れていくというので、くっついて行ってきた。
 2年ぐらい前から母親は行きたがっていたのだが、コロナでここまでずれこんでしまっていた。

 このズーラシア、なんだかいつの間にかできていた動物園で、人間様はずいぶん長いこと、同じ横浜にある野毛山動物園とごっちゃにしていた。
 なんでも希少種を中心に繁殖や飼育に取り組んでいるらしい。

 混雑を避けるために早めに行ったので、着いたのは17時頃。
 まだ普通に昼間の動物園が広がっている。


 リカオン。
 エサの時間が近いのか、やたらと走り回っていてこんな写真しか撮れない。
 しょっぱなからこれでは先が思いやられる。


 厩舎の中にいるのが子キリン、外にいるのが親キリン。
 そういえばキリンもあんまり人見知りしない動物だよね。


 身じろぎひとつしないケープハイラックス。
 ネズミっぽいが、身体特徴的には象に近いらしい。
 足かわいい。


 ライオン。ガラスのすぐ前を右往左往しているので、見ている分には楽しいが近すぎてカメラに入らない。


 そしてなんかぼろっちい。
 この後別のエリアで見たインドライオンの方がずっと立派だった。まだ若いのかな?


 ちっちゃくてやんちゃでかわいいミーアキャット。
 イメージしてたのよりずいぶん小さいと思ったが、多分ポーズとかからプレーリードッグと混同していたっぽい。


 好奇心がすごい強くて、人間がスマホを構えているとわざわざ見に来たりする。


 そして立つ。

 とにかく見ていて飽きないので、写真を撮りまくってしまった。


 これもガラスに近すぎるチーター。
 そっぽを向いて耳だけこっちに向けているが、しっぽの先をパタパタしているので、機嫌は悪くないらしい。


 こっち向いた。
 胸割れてる。


 これは実家の猫が良くやってるポーズだ。


 シマウマ。


 ヒガシクロサイ。サイって可愛い顔してるよね。
 泥水の中も平気で歩くので泥だらけ。


 なんかきりっとしていたホウシャガメ。


 ものすごいにょいんにょいんしていたニシキヘビ。
 こんな活発に動いてるの初めて見た。


 特別扱い感の強いオカピ。


 厩舎に入れてほしくて仕方ないオオアリクイ。
 そろそろ18時を過ぎて暗くなり、写真を撮るのが難しくなってきている。
 他にもこうやって厩舎に入れてアピールをしている動物は結構いたので、きっと普段はもう厩舎でご飯をもらっている時間なんだと思う。
 こういう姿を見ちゃうと、イベント的なナイト展示もどうなんだろうなという気がする。


 威厳のあるテングザル。
 カメラを向けてシャッターチャンスをうかがっていたら、わざわざ計算したように写真を撮りやすい場所で、良いポーズを取ってくれた。
 まあ分かっててやってるわけでは絶対ないと思うけど。


 顔が陰に入って良く分からなくなったセスジキノボリカンガルー。
 顔も身体も何もかも全くカンガルーに見えない。


 こっちは普通のアカカンガルー。
 もう夜なのに元気だった。


 この動物園で困るのが、照明が必ず逆光になるように配置されている事。
 動物を見せたいのか見せたくないのか良く分からない。
 ちなみにこれはアムールヒョウ。暗さと逆光のせいで肉眼ではほぼシルエットにしか見えなくなっているのを、補正でここまで明るくした。


 ガラパゴスペンギン。


 もう真っ暗なのでさすがにみんな動きが鈍くて、ほぼ寝ているのも多い。
 うとうとしているペンギンかわいい。


 そして完全に寝ているレッサーパンダ。


 ウンピョウ。
 アジアのあちこちに住んでいるヒョウらしい。

 うーん……。
 普通に昼間来た方が面白いなという感じ。
 夜だからというので特に展示に工夫をしているわけでもなく、昼のをそのまま延長しているだけでしかない。
 昼と夜の行動の違いとか、夜ならではの解説でもついていたならそれなりに楽しめたのかもしれないけれど。
 あと、展示数の割に歩く距離が長い。元々山の斜面を切り開いて動物園にしているので、2ヶ所ある入口のどちらから入るかによって、ずっと上り道かずっと下り道か、どっちかになるので、歩くのが大変な人を連れていく時は気をつけた方がいいと思う。