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善通寺にて

 自衛隊の基地見学で四国に来ている。
 本来は毎年1回あるなのだが、コロナで中止が続いていたので、実施は実に3年ぶり。
 久しぶりの自衛隊分補給だ。まだまだ前の通りとはいかないけど、いろいろと見れるといいな。


 瀬戸大橋! 生まれて初めて!

 今回の目的は善通寺の陸自善通寺駐屯地。
 歴史をたどれば、乃木希典が初代師団長を務めた明治31年創設の陸軍第11師団にまでさかのぼるという、由緒ある駐屯地で、関東方面ではもうなくなってしまったような歴史的構造物も結構残っている。
 東京方面からだと新幹線を使っても4時間ぐらいかかるのが難点だが。


 まず司令部でブリーフィングを受ける。これは司令部の玄関と16式。
 ここはいわゆるまあ南方からの脅威に対して、素早く部隊を展開して対応する機動旅団が中核になっている。
 いつも思うんだけど、機動旅団ってすごく強そうな響きじゃない?


 ブリーフィングを済ませるともうお昼なので、一旦駐屯地の外に出て偕行社で昼食。
 通常だと隊員食堂で体験喫食になるのだが、コロナの影響で部外者が隊員と一緒に食事をすることは、現在できなくなっている。
 なお、偕行社というのは、陸軍の将校クラブ。海軍の水交社と同じもの。
 ほとんどの偕行社は終戦後に取り壊されたけれど、ここは進駐軍が使ったりしていたので、残ったらしい。
 ちなみに隣にあるのは市役所。


 お上品そうなホール。重要文化財らしい。
 一部はカフェに改装されて、ご近所の憩いの場になっている。


 ご飯を食べたら駐屯地に戻って、装備見学。
 さっきの16式のエンブレム。黒地の四国をバックに牙をむく白い狼(?)。かっこいい。


 最新式の短SAM。


 最新式の浄水装置。
 いわゆる南からの万一に備える「最前線」であるこの部隊には、新しい装備が優先的に配備されているそうな。
 なおこの浄水装置、海水かららも真水を作れるので、災害時にも大変役に立つらしい。


 最新式……かどうかは分からないけど、新しい銃。
 重さ3.2キロでとっても軽いので、女性も扱いやすいらしい。


 中距離多目的誘導弾。略して中多。
 これは割とあちこちで見るし、総火演でもおなじみ。


 とまあこんな感じで現代の装備を見た後は、歴史を見に行くことになる。
 乃木希典が団長を務めていたので、やっぱり乃木関係の話が多い。
 なおここは明治に作られた赤レンガ倉庫(現役)。


 旧師団司令部の2階を乃木関連の資料館にした「乃木館」
 ちなみに旧師団創設時に建設され、2006年まで司令部庁舎だった。
 現在も1階は音楽隊の施設になっている。
 長持ちしすぎ。


 素敵な階段。
 非常に雰囲気があるので、ここでウェディング写真を撮るカップルが多いらしい。お、おぅ……。


 業務用ハンコ。
 「済」とか「受領」とかいわゆるそんなのから、司令官印、部隊長印といった重要な物まで一通りそろっている。
 経緯は不明ながら、終戦後にここではなく高松で発見されたらしい。


 司令官室の机。
 右の小さな椅子は、乃木希典が使っていたもの。質素が好きなのでこういう椅子になったらしい。
 思うんだけど、乃木って形から入る人だよね。


 そしてなぜか飾ってあるF86(後ろはチヌーク)。
 なぜ陸自の駐屯地に空自の戦闘機なのか、全く経緯が分からない。
 非常に聞きたかったのだが、時間がなくて聞きそびれた。

 この後、音楽隊のミニコンサートを聞いて見学は終了。
 時間は短かったけどすごい面白かった。


 そしてこの後は善通寺にやっていた。
 そう、これもちゃんとした見学なのだ。
 前は旭川駐屯地のついでに旭山動物園を見学した事もあるので、駐屯地の後に寺見学が入ってきても全くおかしくない。
 ちなみに、駐屯地から五重塔が見えるぐらい近くにある。

 ここは空海の生誕地に建てられた寺院なんだって。
「善通寺」という寺及び近隣の地名は、空海のお父さんの名前「佐伯善通(さえきよしみち)」にちなむとか。


 門の上の謎のレリーフ。
 なにこれ……。


 五重塔。
 2階まで作ったところで資金が底をつき、中を上がって展望台みたいに外を見られるようにして入場料を稼ぎながら、こつこつと残りの3階を作っていった。
 なんか苦労がしのばれるな。


 金堂。大きな薬師如来がある。


 御影堂の山門からお堂に至る回廊。なかなか風情がある。

 案内のお坊さんがすごくいろいろ話してくれたので、大幅に時間をオーバーしてこの後の自由時間がなくなり、その時に行こうと思っていた金毘羅宮に行けなくなってしまったが、話がとても面白かったのでいいや。

久々の上野での陸自音楽

 東部方面音楽隊の定期演奏会に行ってきた。


 数年ぶりに会場は上野の東京文化会館。
 やっぱりここは音がいいな。


 こちらも久々の正統派クラシックだけで固められた、寝そうなラインナップのプログラム。

 そうでもなかった。
 曲調が大きく変動する曲が多かったので、割と飽きないで聞いていられた。
 ローマ三部作は好きなんだけど、吹奏楽だとずいぶん印象が変わって面白いなあ。

久々の陸自音楽

 陸自の東部方面音楽隊の定期演奏会に行ってきた。


 やりますという案内が来ては警戒宣言とかで中止になるのを繰返していたので、1年以上間が開いている。
 今回は密対策のひとつおき座りもなくなっていた。
 ゆっくり座れて荷物が置けて地味に楽だったんだけどな、あれ。


 プログラム。放映開始から半年で鎌倉殿を入れてきたのは、早いのかそうでもないのか。
 以前は定期演奏会は割と正統派のクラシック、音楽まつりは気軽な曲という棲み分けをしていたんだけど、コロナで演奏の機会が少なくなったためか、割と境界が曖昧になってきている感じ。
 あと、地元の中高の吹奏楽部の子を招待している関係からか、吹奏楽コンクールの課題曲をプログラムに入れるのが定番になりつつある。

 今回は第1部の方が面白かったな。知らない曲ばかりだったけれど退屈しないで聞けた。
 第2部はちょっと寝てしまった。
 鎌倉殿は編曲が若干微妙な感じ。
 割と吹奏楽向きの曲だと思ってたけど、そうでもないのかな。

久々の陸楽

 陸自東部方面隊音楽隊の定期演奏会に行ってきた。
 本来なら今年7月あたりにやる予定だったのが、コロナの緊急事態宣言のためここまでずれこんだもの。
 自衛隊イベントに来るのは1年ぶりぐらいかな。


 例によって開始前の舞台。


 プログラム。

 定期演奏会ではあるものの、久しぶりの公演でもあることから、割と軽めの選曲になっている。
 が、鬼滅もFFもカイトもあんまり興味ないので、結果としては頑張ったのだが気付いたらうとうとしていた。すみません。

女王陛下の空母見てきた

 横須賀に来日中のイギリス海軍の空母『クイーン・エリザベス』を眺めてきた。
 9月に来るということは割と早くからキャッチしていて、楽しみで仕方なかったのだが、昨日突然米軍基地に入港したというツイートが流れてきたので、慌てて今日見に行ってきた次第。
 だって世界に空母は数あれど『クイーン・エリザベス』ですよ? 女王ですよ?
 こんなん一生に一度見れるかどうかって代物ですよ?
 そりゃ行きますわ。

 それでもガチな人達は早々に浦賀水道に入る時間まで把握の上、昨日は観音崎あたりで待ち構えて撮影していたらしい。
 すごいな。

 当初ひとりで見る予定だったのだが、途中で母親と妹もヴェルニー公園まで見物に来ている事が分かったので、急遽合流した。
 なんでも珍しもの好きの母親が見たがり、妹がしょうがなくてついてきたらしい。
 ちなみに真っ先に食いつきそうな父親は、客船の方と勘違いしてスルーしていたって。うん、そういえば確かにあったね、同名の客船。


 そんな訳で、妹が割引券を持っていたレストランから良く見えた。
 乗っけてるのはF35とヘリはAW101マーリンらしい。
 なおここのレストランは、この横須賀においてランチコースが2000円を突破する本気のおもてなしレストランなので、ちゃんと大人の食事ができない人は入らないように。
 ちなみにこの撮影も、レストラン側にお願いして許可をもらっている。


 艦首の通称スキージャンプ。
 アメリカのように出力の大きな発艦用カタパルトを備えていないので(ていうか多分アメリカしか持ってない)、こうやって甲板に傾斜をつけて離陸しやすくしている。
 人が立っているのがお分かりだろうか?


 艦尾側の建物は、多分航空管制塔だと思う。


 自衛隊側。これは『いせ』。
 なお、左下の白い艦は、オランダのフリゲート『エファーツェン』。
 実は今回、対中国への圧力のために、米英オランダカナダ日本が共同で訓練を行っていて、入港もその一環。
 特にイギリスは空母打撃群を引き連れてきているので、横須賀だけでは泊まりきらなくて佐世保あたりに分散しているらしい。


 ヴェルニー公園から見るとこんな感じ。
 ほぼジャンプ台と艦上構造物しか見えないので、母や妹を筆頭とする一般の皆さんは何が何だか分からない模様。
 でも、米軍基地に泊まる空母って、昔から大体こんな感じの見え方だったよ。
 クレーンや倉庫の間から艦橋がにゅっと出ているかどうかで、在不在のチェックをしていたぐらいだし。


『エファーツェン』の正面顔。
 レーダーが多いけど、情報収集艦なのかな? と思って調べたら、防空艦という種類らしい。
 性能のいいレーダーを駆使して、艦隊に対する上空からの攻撃をいち早くキャッチして応戦する役目って感じ。
 自衛隊でいうところのイージスのミニ版というところかな?


 後ろは自衛隊の『あさひ』。


 お掃除始めてた。
 お疲れ様です。

 あともう1隻、英海軍の輸送艦が入港しているということだったけど、分からなかった。
 もしかすると見えない場所に泊めてあるのかもしれない。

 コロナでさえなければきっと『クイーン・エリザベス』も『エファーツェン』も一般公開して、暑いだの苦行だの言いながら何時間も並んで、自衛隊や米軍の艦とここが違う、あそこが違うと興奮しながら跳ね回って見てたんだろうな。
 いつになったらそんな幸せな時代に戻れるんだろう。

3音楽隊聞き比べ

 陸自の東部方面音楽隊定期演奏会と、青少年のための3自衛隊コンサートをハシゴしてきた。


 東方音楽隊が和光市のサンアゼリアで14時から、3自衛隊合同が三軒茶屋の昭和女子大人見記念講堂で19時からなので、時間的には余裕。

 東方音楽隊の方は招待だが、3自衛隊合同は普通に応募したら当たった。
「青少年のための」とあるとおり、最初は入隊可能年齢限定の募集だったのだが、どうやら応募者が少なかったらしく途中から全年齢対象に変更されていたもの。
 中央音楽隊はほとんど聞く機会がないので、結構楽しみ。


 というわけで東方の定期演奏会会場。
 コロナ対策のために、客席は1人座るとその前後左右が空席になるよう制限されており、多分キャパは通常の半分程度。
 でもこれ、見る側としては、荷物を隣の席に置けるし前の人の頭で視界を邪魔されないし、かなり快適。なんかずっとこれで良くない?


 演奏曲目。
 定期演奏会は音楽まつりと違い、比較的いろんな意味で高難度の曲が演奏される事が多いのだが、今回はずいぶんと分かりやすい選曲で来た。
 ていうか、いつも幕間の演目でしかなかった寅さんコントが、今回堂々のプログラム入りしてるじゃないか。
 あと、ドリフも番組の中のコントをそのまま隊員が再現してたけど、いまいち微妙な仕上がりで、オチが分かっていてもちゃんと笑わせてくるドリフはすごかったと改めて思った。

 今回は、前半が隊長、後半の最終曲以外が女性の音楽班長の指揮だった。
 普段は隊長と副隊長が指揮するから、あえて初の女性指揮者をもってきたんだと思うけど、ちょっと大味気味の隊長と比べて音が細やかで聞きやすかった。

 ちなみに、飛沫対策として、演奏者全員がマスクで入場、吹く楽器以外の人はマスクつけたまま演奏していたのが面白かった。
 あと、吹奏楽器からの飛沫用に、床にシートを敷いていたけど、多分あれペット用トイレシートじゃないかな。

 というわけで、次は3自衛隊コンサートへ。


 会場の昭和女子大人見記念講堂。
 昭和女子大のキャンパス内にある。ここ来たの初めて。
 広いし快適だし、聞きやすそう。


 しかし、3自衛隊という割に、フラッグが空自と海自しかない。
 はて、陸自は持って入場でもしてくるのかな? と首を傾げていたら、陸自の中央音楽隊はコロナ罹患者が出たため急遽出演を取りやめ、空自と海自のみで演奏する事になったとアナウンスがあった。
 うわぁ……。


 左がプログラム(というかチラシ)……なのだが、陸自がない分空自と海自が曲目を増やしたので、実際の内容は右だった。
 空自の「The Simmer of the Air」は、ブルーインパルスの飛行展示でウォークダウンの時にかかる曲、「あの日聞いた歌」は、「ふるさと」「浜辺の歌」「椰子の実」「春の小川」「花」といった唱歌をメドレーにしたもの。

 結果として、陸自の分まで空自と海自が気を吐いたので、すごく聞き応えがあった。
 音の好みといては空自の方かな。繊細で音楽性の高い表現だった。海自も悪くはないんだけどやっぱり若干大味でブンチャカ気味。
 アンコールの時、海自が空自の指揮者で「空の精鋭」を演奏したんだけど、これは空自の演奏の感じに寄っていたので、多分指揮者の好みの差なのかな。

土浦で武器見学会行ってきた

 土浦の陸自武器学校の広報地区見学に行ってきた。
 これは一般公開ではなく、基地の広報に日時を指定して申し込みをするものになる。
 なぜ申し込んだかというと、経緯を話せば長いのだが、父親が何やらNHKスペシャルでナベツネの話を見た時に、映像に映った旧日本軍の火砲とかに興味を引かれたらしい。
 で、娘に対して、昔の火砲はどこにあるのかとか見れるのかとかさかんに匂わせ発言を始めたので、しょうがなくて見学の手続きを取ったのだった。
 連れてってもらいたいなら素直に連れて行けと言えばいいのに。


 広報地区は、火砲コーナー、小火器コーナー、車両コーナーの3ヶ所を回る。
 まずは火砲コーナーで戦前戦後の古い火砲を見学。
 これは戦後、警察予備隊とかができた時に米軍から供与されたもの。

 なお、今回の参加者は20人近く。意外と多かった。
 客層も、マニアの友人同士が一緒にというものから、家族連れや夫婦、友人らしきおじさん2人連れなど、結構幅広い。
 この日が小火器コーナーの見学可能日(後述)だったせいもあるのだろうが、WebサイトからPDFの申込用紙をダウンロードし、手書きで記入後広報に電話してFAX番号を聞いて送信するというハードルの高い申し込み方法にも関わらず、これだけ来ているのがすごい。


 日露戦争からWW2に至る旧日本軍の火砲。さりげなく鹵獲品のクルップ砲が混じっていたりもしたが。


 米軍は当然として、旧ソ連の火器火砲が割とある。
 多分、仮想敵国の兵器の研究のために入手したとかなんだろうけど、入手経路が気になってしょうがない。


 1920年代に開発された八九式中戦車。これ実際に走るらしい。なにそれ見たい超見たい。
 例のガルパンに登場して人気になったので、レストアして走れるようにしたらしい。


 三式中戦車。こことアメリカに1両ずつしか残ってないらしい。


 この辺は米軍とか旧ソ連軍とか。


 ひとつだけいやにめかめかしいのがあると思ったら、戦後の陸自の火砲だった。


 小火器コーナー。
 火砲と戦車は申し込みをすればいつでも見れるが、この小火器コーナーは毎月1回、指定日しか見ることができない。
 人間様は正直、あまりこのあたりは興味はないのだが、男性陣は老いも若きも(小学生除く)一様に目をキラキラさせていた。
 そうか皆さんこれが見たかったんですね。


 旧ソ連の対戦車ライフル。
 巨大な銃で力任せに装甲板を撃ち抜いて中の人間を殺傷するものなのだが、戦車を銃で狙撃するって発想がすごい。


 ひとつだけ異彩を放つかわいさだった擲弾筒(手榴弾を打ち出す装置)。


 戦後に武器学校の医務室から出てきたというゼロ戦の照準器。
 なぜ医務室なのかみんな首を傾げていた。


 これ、照準円があらかじめ書いてあるわけではなくて、レンズに光学的に映し出してる光学照準器なんですよ。
 ずっと普通の書いてある照準器だと思ってました。戦前の技術力なめてました。すみません。


 桜花の模型。ここは戦前予科練だったので、その時に教育をしていたらしい。


 最後が野外戦闘車両置き場。


 戦車回収車大好き。


 多連装ロケット砲。上の格子部分にロケット砲が入っていて、次々発射されていく奴。


 変形戦車(正確には対戦車砲)。これが……。


 こうなる。
 なんでわざわざ二連装なのかは不明。


 もちろん米軍の車両も置いてある。
 みんな大好きシャーマン戦車。

 実はこの辺は3年前の創立記念行事の時にも見てはいたのだが、今回は中の人の解説付きだったので、いろいろ注目ポイントとかが分かって面白かった。
 父親も満足していた模様。
 とりあえず、次は走っている八九式が見たい。

練習艦隊お帰りなさい

 海自の練習艦隊入港歓迎行事に行ってきた。
 2月の『たかなみ』の中東派遣の出航以来、5ヶ月ぶりの自衛隊になる。
 東京で感染者が連日200人を越えたりとかしていたので、正直これも外部の参加者はシャットダウンされるのではないかとぎりぎりまでひやひやしていたのだが、どうにか当日を迎える事ができた。
 今年はサマーフェスタも第2術科学校のオープンスクールもないし、各駐屯地の創立記念行事もやらなそうだし、もしかするとこれが今年最後の自衛隊行事への参加になるかもしれないな……。


 すでに入港している練習艦『かしま』。
 隣に同じ練習艦『しまゆき』が目刺しで停泊しているのだが、『かしま』に比べて小さいので全然見えない。


 なんか歓迎の太鼓演奏をしていた。この前には歌もやっていた。
 通常はこういう事はしないのだが、今回この練習艦隊、フィリピンまで航海したはいいが、コロナで上陸できないまま燃料だけ補給して帰ってきたのだった。
 かわいそうなので、ささやかながら何かやってあげようという事になったらしい。


 直立したまま太鼓を聞く実習幹部の皆さん。
 自衛官とはいえ20代前半の子たちが、こういう「歓迎」を嬉しいと思うかどうかは正直なかなか微妙な気がする。


 太鼓が終わったので下船する皆さん。


 最前列の女性から右側は実習幹部ではなく、『かしま』乗員代表。
 女性は号令をかけていたので、先任伍長(下士官で一番偉い)かもしれない。


 一番前の人は練習艦隊司令官。
 後ろの二人は『かしま』と『しまゆき』の艦長かな?
 今は両方とも男性艦長だと思ったけど。

 プログラムは例によって、偉い人の挨拶と花束贈呈、司令官の帰国挨拶。
『たかなみ』の派遣の時はわさわさ国会議員が来てたのに、今回の参加は阿部知子とあともう一人だけ。すごくわかりやすい。
 地元の小泉進次郎も秘書を寄越しただけだった。


 雲行きが怪しかったのだが、式典が終わる頃にはもう本降りだった。
 この後、コロナ対策で小グループに分かれながら『かしま』を見学させてもらえることになっている。
 割と後の方のグループだったので、一旦屋内のPX(売店)で休憩がてら待機することになった。


 右のが今年3月に就役したばかりのピカピカのイージス艦『まや』。
 いつか中を見れる日は来るのだろうか。


『かしま』と『しまゆき』の尻。
 どちらにも実習幹部は乗るのだが、見ての通り『しまゆき』はかなり狭いので、こっちに割り振られると大変らしい。


『かしま』の砲と艦橋。


『かしま』から見下ろした『しまゆき』。
『かしま』は最初から練習艦として作られたのだが、『しまゆき』は古くなった護衛艦を練習艦の転用している。
 なので実践的な訓練は『しまゆき』の方が向いている。


 これは『かしま』の将官用の艇(の船底)。寄港した先々で現地のお偉いさんを迎える事も多いので、特別に用意してある。


 全景はこんな感じ。
 まあ連絡艇なんだけどね。


 並ぶ『かしま』と『しまゆき』の写真。こんなに大きさが違う。


 緑がきれいな『しまゆき』の渡り板? の横断幕。


 ちょっと風があって海自旗がいい感じになびいていた。
 奥の艦は米軍。

 見学は密にならないよう、狭い艦内には入らず甲板をぐるっと一周しただけだった。
 でも久しぶりに甲板を踏めて楽しかった。


 なお今回はパンフ以外におみやげもついていた。
 内容は巾着袋、ミニノート、練習艦隊のメダル、缶バッジ、絆創膏。
 ……多分、フィリピンで現地の歓迎レセプションや、見学に来た人に配る予定だったものなんだろうな。


 そして、久しぶりの海自分に興奮して、PXでピンバッジをあさりまくった。
 レジで7000円とか言われてしまったと思ったのだが、心が弱いのでそのまま買ってしまった。

派遣行事と神社とカラス

 海自横須賀基地での『たかなみ』の出航式典に行ってきた。
 いろいろと大騒ぎになっている情報収集派遣任務とかいうふんわりとした内容の中東派遣、あれを『たかなみ』が担当するのである。
『たかなみ』は昔からしょっちゅう見に行っているし、丁度日曜なだしなので、送りに行ってきた。
 始まるのは10時からだけど、9時過ぎにはデモの交通規制が入るので早めに行った方がいいですと言われて、9時には横須賀駅着。
 でも良く考えたら、横須賀駅からなら基地は徒歩1分なので規制関係なかったじゃん。もっとのんびり出れば良かった。

 で、そのデモだが、何というか、ヴェルニー公園に右翼と左翼が大集合してそれぞれ主張をしているわ、警察や機動隊がほんと数メートルおきに立ってるわ、その間を縫うように海自の案内係がひっそりたたずんでるわで異様な雰囲気。
 なにかの記念に撮っておこうかともちらっと思ったのだが、海自以外のどこを撮っても何か言われそうで恐くてできない。「ママあの人何?」「しっ見ちゃいけません」の意味が実に良く分かった。
 そういえば、子供の頃は空母が来るたびにこんな騒ぎが繰り広げられていたような気がするが(もっとも当時右翼はいなかった)、いつの間にか目にしなくなっていたなあ。


 さすがに基地の中からなら撮っても大丈夫だろう。
 こちらは右翼側。


 なんかヘリが降りてきて偉い人っぽいのが出てきた。
 そういえば今日は総理も来るんだろうか。来そうだな。


 整列する音楽隊。


 総理ヘリ来た。
 今回は報道もすごい。


 巡閲をする総理。


『たかなみ』に乗艦する総理。


 マストにはためく総理大臣旗(紫の方)。
 総理大臣が艦内にいる時にしか掲げられない激レア旗。


『たかなみ』から降りてくる総理。


 この頃になると他の偉い人たちも続々と会場してきている。
 こちらはヒゲの佐藤と小泉進次郎。
 国会議員が10人以上来ていたが、顔を見せているのは総じてパフォーマンス好きな議員ばかりという印象。


 各国の大使や軍関係者も大勢。いろんな制服が見れて楽しい。
 中東各国の大使が参列していたのは分かるが、フランス大使が来ていた理由はなんだろう?


『たかなみ』乗員が登場。


 この横へならえしながらもぞもぞ隊列整えるの好き。


 そして総理と防衛大臣の席は前方3メートルの所だった。1歩前に出て手を伸ばせば肩を叩ける。
 やらないけど。
 むしろすぐ隣にやってきたSPの、持ってる鞄の中身とか握ってるなにかとか背広の中にはやっぱり銃を持ってるんだろうかとかが気になってしょうがない。
(椅子席の後ろに一般人向けの立ち見席があるためで、禁止された場所にいるわけではありません、念のため)


 総理訓示。今回は割と短かった。
 しかしいいスーツ着てるなあ……。


 司令及び艦長の出発申告。


 乗員が『たかなみ』に戻っていく。
 全員が起立してしまったのでこんな写真しか撮れなかった。

 これで式典は終了。
 この後『たかなみ』は出港し、一路中東に向かうことになる。


 最上部から手を振る司令。
 司令がこんなことするの珍しくない?


 出港即旗下ろし待機する人たちと、甲板に整列する人たち。
 もう出港する気満々なのだが……。


 総理他議員たちが家族や参列者との撮影に興じていて所定位置になかなか向かわないので、出港できない。
 まあ皆さん的にはこここそ決めておきたいパフォーマンスタイムなのだろうが、総理たちの後ろを歩く各国関係者も先に進めなくて困惑しているぞ。


 そんなこんなで10分以上待たされただろうか。
 ようやく舫い綱を解いて出港にかかる。


 出港!


 少しずつ岸壁から離れだす『たかなみ』。
 いってらっしゃい。


 どんどん離れていく。
『たかなみ』には横移動できるバウスラスターは装備されてなかったはず……? と思ったら、2隻のタグボートが姿を見せないようにしながら後ろ側からひっぱっていたのだった。


 ゆっくりと向きを変えて……。


 総理を迎えに来たヘリとすれ違い、タグを従えながら港の外へと向かっていく。
 このあたりは家族に混じって見ていたのだけど、やぱり泣いている奥さんとかちらほらいた。
 のぼり旗を振り回し、ひたすら俺たちの誇りだ行ってこい的な威勢のいい支援団体やOB会のおっさん、同じ家族たちが笑顔で写真を求める様にニコニコしていた議員たちには、その姿が見えているかどうかは分からないけど。


 沖で変な方向を向いて泊まったので何してるんだろうと思ったら、どうやら総理ヘリをお見送りしてから改めて出て行くんだったらしい。
 律儀だな!

 とまあそんな感じで出航行事も終わり、これからしばしのフリータイム。
 海自は割と行事が終わった後そこらをふらふらしていても何も言わないので(身内の行事に限るが)、ちょっといろいろ見ちゃおうかな。


 見送りの時に偉い人が並んでいた赤絨毯。
 よく見たら立ち位置に名札が貼ってあった。


 総理と防衛大臣のお立ち台にも立ち位置が貼ってある。


 そういえば気になってたんだけど、普段米軍基地にいる潜水艦が珍しく吉倉岸壁にいたのよね。
 米軍基地のいつも泊まっているあたりはオイルフェンスが張ってあったけど、デモ船の立ち入り防止用かな?


 せっかくなので近くに行って撮ってみたけど、こういう撮り方してもただの訳の分からない物体でしかないな……。
 っていうか後ろに写ってるのJAMSTECの『よこすか』じゃない? なんでこんな半端な所にいるのか分からないけど、もっとちゃんと見とけば良かった!


『たかなみ』が去った後の岸壁に、他の艦艇が来るのか緩衝ブイ(正式名称不明)を引っ張っていって設置しはじめたタグボート。
 引っ張っていくとき緩衝ブイがぐるぐるまわってまるで外輪船みたいになってたのがちょっと面白かった。

 さて、堪能したのでそろそろ次の目的地に行くか。
 今日はこの後、観音崎近くの走水神社に行く予定なのだ。
 横須賀駅からバスで1時間弱。決して近くはないが、1本のバスに乗っていれば着くので楽と言えば楽ではある。
 祭神はヤマトタケルノミコトと妻のオトタチバナヒメ。ヤマトタケルノミコトの東征の時、荒れた海を鎮めるために海に身を投げたオトタチバナヒメの物語は、地元では割と良く知られた伝説だけど、この神社はこれまで行ったことがなかった。
 だって実家からだとすごい回り道行程しかないから大変なんだもん。


 走水神社。
 山の中腹にあるが、背中側はすぐ海。
 横須賀に良くある山がすぐ海際に迫る地形に作られている。
 由来や創建は資料が江戸時代の火災でなくなったため不明だが、浦賀水道に面しているので、航海の安全を祈るとか海難事故で死んだ人を慰めるとか、そういう意味合いがあったんじゃないかな。
 社の裏にある崖をくりぬいた小さなほこらに、観音像とおぼしき像や東京国立博物館で見た阿弥陀三尊仏龕っぽい浮き彫りの痕跡が残っていたし。


 そしてロシアの機雷なんかが献納されていたりする。すごいなオイ。
 上村彦之丞って日露戦争で第二艦隊司令官だった人だよね?


 本殿からさらに山道を登ると、神明社、須賀神社、諏訪神社の三社神社がある。
 途中に開けるのはこんな眺望。これはいい所だ。
 手前が漁港、先の方のタンカーとかが行き交っているのが浦賀水道、その先の陸地は房総半島。
 もしかしたら『たかなみ』が浦賀水道を下っていくのが見えるかも? と思ったが、時間的に無理だった模様。


 東郷平八郎や乃木希典その他軍関係者が奉納したという石碑。


 海を見つめる三社。小さい祠だけど静謐な感じ。


 住み着いているらしいカラス。人を脅威だと感じてないようで、すぐ近くの木立に止まっている。
 仲よさげだがつがいなのか兄弟なのか不明。


 上空をトンビが通った。


 微妙にシンクロしている。


 木の間からも海が見える。
 こういう景色を見ていると、昔の人がこの場所に神様を置いて祈りを託した理由が分かるような気がする。

 うん、楽しかった。
 最近ぼちぼちパワースポットとして有名になってきているらしくて、女子旅バスツアーなんかもできているようなので、行くならなるべく早めの女子力高い人たちが押し寄せる前をおすすめする。


 帰りに横須賀駅から見たら、『たかなみ』がいた場所には『いずも』が来ていた。
 あれ? 見かけなかったけど沖留めしてたのかな?