甘言には乗らない


「#かいぬしー」
 五十鈴は何も考えていない文鳥なので、人間様が呼ぶとすぐに飛んでくる。
 その点、いずものほうは、例えば行くと人間様が遊んでくれるのか、そろそろカゴに入れられそうか、そういうようなことをちゃんと見極めていて、これは入れられそうだとなると呼んでも全然来なくなる。
 一応未来を予測してるあたりが偉いが、でも、飛んでいった五十鈴が人間様にかまってもらっているのを見ると、うらやましくなって結局やってくる。
 そんなあたりがやっぱり文鳥。

羽比較


 左がブロッサム、通称ちびころ。右が長門の羽。
 どちらも翼の大体同じ場所。
 体格はかなり違うのに羽のサイズは大体一緒。
 長門もマメルリハとかと比べると、かなり飛ぶのが得意な部類に入る体型をしていると思うのだが、それでも徹底的に流線型をし、徹底的に翼を大型化させたブロッサム、通称ちびころにはかなわない。
 恐らくセイキインコは自然界ではこの大きな翼と長くて幅広のしっぽを活かし、羽ばたくよりむしろ風に乗って高く高く飛ぶのだと思う。
 一度はオーストラリアに行って、リアル野生セイキインコを見てみたい気もする。

こらえる五十鈴

 構ってほしくて一生懸命金網に貼りつくんだけど、インコみたいにふんばれないので大股開きになってしまい、ちょっぴりなまめかしい格好になってる五十鈴。

「かまっ……かまってー」
 いずもと五十鈴は性格も違うが、頭の出来も明らかに違っている。
 五十鈴のほうがなんというか、頭が悪い。

カメラに夢中

 長門は、人間様がカメラを持っていると必ず撮ってほしがるので、実は撮影頻度はいちばん高い。

「撮って-」
 しかし、撮影頻度が高ければ面白い写真も多く撮れるかというと全くそんなことはなく、むしろ毎日同じポーズや同じアクションを撮る羽目になるので、実は長門の写真はいちばん面白くない。

ひらひらこわい

 ここのところ涼しかったので、冷房部屋に移住するタイミングを完全に逸してしまった。
 冷房部屋はシーズンオフにはほぼ物置と化すので、移住の時は時間を作って片付ける必要がある。なので週末にならないと動けない。
 まあ人間様は平熱が高いこともあって耐暑性能が比較的強いので(自衛隊の行事で鍛えられているというのもある)、湿度がそれほど高くなくて風があれば30度ぐらいならなんとかなる。
 というわけで、窓を開けて風を通していたら、カーテンがひらひらするのになぜかびびったいずもが巣に逃げ込んでいた。



 ひたすら巣の中からカーテンを気にしている。
 気持ちは分からないでもないのだが、人間様としてはむしろこの暑いのにそんな中に入っていられるほうが精神衛生上良くない。

ケンカでもしようかな

 なんだかやる気のなさそうな小競り合い。

 いずもの態度が何となく控えめなのは、今回自分の方が低い場所にいるから。
 鳥は基本的に上の位置にいる方が強気になる。
 よく見ると双方ともに時々人間様の方を伺いながらケンカしてる。
 人間様がどっちの味方をするのかが気になるらしい。

 お前も勝てないんだからいちいちケンカを買うんじゃないの。

一人掻き

 五十鈴がこんな格好で動かなくなっていた。

「…………」
 どうやら巣で頭を掻いてうっとりしているらしい。
 五十鈴は文鳥にしては身体に触られるのが嫌いで、頭を掻いてやろうとしても嫌がって避けるのだが、やっぱり掻きたいとは思っていたらしい。
 しかしインコでもないのに良くそんな方法思いついたね。

さえずる文鳥

 どうやら文鳥は個体によってさえずりがかなり違っているらしい。

 五十鈴のさえずり。
 完全に人間様の真似だった以前よりはかなり鳥らしくなった。

 なぜか五十鈴にアプローチをかけるいずものさえずり。

 そしてしつこくしてたらとうとう五十鈴が切れた。
 というかいずもは人間様の肩や手にいる時には容赦なく五十鈴をどつきまわすのに、五十鈴がカゴに逃げるとすかさず追っていって今度は愛の告白を始めるので、五十鈴が最近混乱してしまっている。
 無理もないな。かわいそうに。

 でもカメラから目をそらす時には息はぴったり。