お灯明の夜

 2/2、3と奈良東大寺の修二会と高野山の火祭りを見るツアーに行ってきたので、後追いでアップします。

 というわけで、ツアーで東大寺の修二会(お水取り)と高野山の火祭りを見に行くことにした。
 京都まで新幹線、その後は添乗員つきの団体バスで各地を回り新大阪で解散というもの。旅行会社のメルマガでたまたま見つけて、まああまりない機会だからと参加してみることにした。
 ただ、6万円という内容の割にかなり高いツアーなのに、具体的なタイムスケジュールがほとんど分からない。混雑などを見越してわざとぼかしてあるのかもしれないが、これは添乗員の仕切り次第ではグダグダになるなと思っていたら、ついたのがどこからどう見ても完全に新人で、案の定各地でグダグダを重ねる事になった。


 京都からバスで出発。
 よっぽど人気があるツアーなのか、参加者は150人以上。観光バス3台を連ねて修学旅行みたいになっている。


 そしてまずは北野天満宮に連れて行かれる。
 奈良にも薬師寺とか唐招提寺とか、東大寺の近場で見れる自社はたくさんあるのに、なぜ京都の北野天満宮なのか。


 国宝の本殿。
 1時間もない滞在時間の中で、ここと末社をお参りして、御朱印をもらって、梅園も見なくてはならない。


 このところの暖かさで盛りは過ぎてしまっていたが、それでもまだまだ華やかな梅園。


 曲水の宴をする場所らしい。

 頑張って回りきってまたバスに詰め込まれ、次に連れて行かれたのは錦市場商店街。
 ここで自由に昼食を、とのことだったが、やっぱり滞在時間が1時間程度しかなく、しかもものすごく混んでいるので、結局何も食べずにバスに戻る事になる。
 そしてようやく2時間ほどかけて奈良の東大寺へGO。
 なんかもしかしてこのツアー、ものすごい無茶な行程組まれてない? 気のせい?


 東大寺に到着。
 まだお水取りの時間には早いので、ガイドつきで東大寺と春日大社を回るのだが、1時間半ぐらいしかない。
 しかも添乗員が参加者を掌握しきれなくて、いちいち集合するのに時間がかかるし、さあ出発という時になってやっぱり寒いからと防寒具を取りにバスに戻る人が出たり、他の2台のバスのメンバーがとっくに出発してるのにまだもたついている。
 大丈夫かこれ。


 鹿せんべいを買った瞬間、鹿にたかれていたおじさん。
 コートをくわえて引っ張ったりとか、鹿もなかなか容赦ない。


 大仏殿(9ヶ月ぶり3回目)。


 シーズンオフなせいか、今回は正面からの写真もOKだった。
 去年行った時は、恐らく立ち止まって滞留すると困るからだろうが、正面からの写真は禁止になっていたので。


 あんまり気にしたことなかったけど、国宝で奈良時代からある灯籠らしい。


 クラウチングスタート。


 春日大社。

 なんかもう、ガイドの説明を聞きながら歩くだけで精一杯で、写真もほとんど撮れない。
 この後は早めに夕食を取っていよいよお水取りを見るのだが、団体行動ではなく各自で自由に向かっていいと言われたのを幸い、即行で食べ終わって飛び出した。


 おかげでまあそこそこ前方のポジションの確保に成功する。
 陣取ってから20分ぐらいしてふと後ろを振り返ったら、もうみっしり人が押し寄せて来ていた。

 ところで、お水取りというのは、実は修二会と呼ばれる勤行の通称。
 そもそも修二会は国家や国民の安全と幸福を願う行事で、毎年3/1から2週間、11名の選抜された僧侶が様々な行法を行う。西暦752年に初回が行われてから実に現在まで、雨が降ろうが槍が降ろうが戦争が起ころうが大仏殿が焼け落ちようが、1回も欠かさず続けられているらしい。
 で、有名な、大きな松明を持った僧侶が二月堂を走って行くお灯明は、数少ない一般人も見られる儀式の1つになる。
 もちろんこの松明にも意味があって、修二会に参加する僧侶たちが二月堂に上がる時に、足元を照らすためのものなのだ。


 火の粉を散らしながら走って行く僧侶。
 本当は暗闇の中、提灯と松明だけが浮かび上がる幻想的な光景だったのだが、iPhoneの感度が良すぎてどうしても明るくなってしまう。


 30分かけて、10本の松明が次々と渡っていく。
 人によって、わざと火の粉を振りまきながら行ったり、足音を立てて走ったり、逆に静かにゆっくり歩いていったりとなかなか個性豊か。
 そして通路には完全防備の消防士さんが待機していて、松明が通った後火の粉をせっせと下に払い落としている。
 燃えたら大変だもんね。


 通路の端っこで、松明を高く掲げて派手に振り回し、燃えさかる火の粉をまき散らす事で消火する。
 どうやらお灯明の大きさも1本1本違うらしくて、大量に落とす時もあればあっという間に消えてしまう時もあり、やっぱり個性豊か。
 この後、11人の僧侶達は午前2時まで勤行をするらしい。

 実際のところ、距離がかなり離れていたし、淡々と松明が通路を横切っていくだけだしで、テレビで見るほど迫力があるかと言えば微妙。
 でもこれは観光用のイベントではなく、勤行の一つなのだから、それはそれでいいと思う。


 帰り道、暗闇から物欲しそうに見つめてくる鹿。


 夜の南大門。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です