会社帰りに薄暗い歩道を歩いていたら、前方からハトが1羽歩いてくるのが見えた。
いつも公園とかをうろついてる時みたいな人を小馬鹿にした歩き方じゃなく、何やら脇目も振らずに早足でせっせとやってくる。
なんでこんな時間にと思いながらよく見ると、そのハトは片方の翼がだらんと下がっている。どうやら翼を痛めたらしい。良く太っていて姿勢も羽の色つやもいいので、ケガをしたのは一両日中あたりぐらいだろうか。もしかすると、飛んでねぐらに帰った仲間の後を、ひとり歩いて追っているのかもしれない。
立ち止まって眺めていると、ハトはどんどん接近してきた。そして人間様を避けるどころかチラ見ひとつせずすれ違い、そのまままっすぐ歩道を遠ざかっていった。
どんなに状態が良くても、飛べなくなった鳥の先は短い。そういう意味では、このハトが今も生きているかどうか分からない。
でも、頭を高く上げ、夜道をただひたすらに歩き続けるハトの後ろ姿を見て、彼だか彼女だかが目指した場所につけるといいとなんとなく思ってしまった。